一度プレイしたことがある人は分かると思いますが、聖剣伝説LOMエスカデ編の幼馴染4人はみんな結構ヤバい人です。何がヤバいかって、人の話をまた聞かず、自分勝手すぎるのです。
その中でもひときわクズ男と言われるのが、このエスカデです。
けれどもこのエスカデ、実はアーウィンよりもマチルダよりもダナエよりも、一番まともだったのではないかという声がちらほら聞かれます。
と言うことで、今回は聖剣伝説LOMのエスカデについてです。
エスカデとは
エスカデとは、1999年発売されたプレステソフト、聖剣伝説LEGEND of MANA(と言っても最近switchとかでリマスター版出ましたけど)に登場するキャラクターの1人です。スパッツ、ヘアバンドが特徴のエスカデで、人気投票なんかやったら最下位争いの超有力候補であること間違い無いくらい、ものすごくプレイヤーから嫌われています。
そもそも彼の登場するエピソードはどんなものだったかと言うと…(スイマセン、うろ覚えです)。
とある寺院に、幼なじみの司祭マチルダと、僧兵のダナエ、騎士エスカデ、そして悪魔アーウィンがいて、エスカデはマチルダが好きで、マチルダはアーウィンが好きで、アーウィンもマチルダのことは好きっぽいけれど、アーウィンの性である破壊衝動には勝てなくて、結局世界を滅ぼそうとしてしまいます。
ダナエはマチルダの妹です。お姉ちゃん大好きっ子で、だからお姉ちゃんのことを応援したくて、だからアーウィンとマチルダがくっつくよう応援するのですが、それがエスカデにとっては気に入りません。つまり簡単に言うと、幼なじみ4人の中で、エスカデだけはぶられるわけなのです。で、むかついたエスカデがダナエ殺して、アーウィンも殺そうとする、という話です。
こうして見ると、エスカデ、かなり最低です。
別な側面から見たエスカデ
確かに、これだけ見れば最低です。自分がハブられたからってダナエを殺し、恋が敵わないからって、嫉妬に狂って好きな子の好きな男を殺そうとするわけですから。
けれども、これは全体のほんの一面でしかありません。別な側面から見ると、エスカデの行動は正しく、まさに英雄と呼ばれる行為だったのです。
とある寺院に幼なじみの司祭と僧兵と騎士と悪魔がいて、司祭は悪魔に魅入られて、悪魔とともに寺院を抜け出してしまいます。結果、司祭は悪魔に精霊力を奪われて、死にかけてしまいます。
悪魔は奪った精霊力を使い、世界の滅亡を画策します。悪魔に魅入られた司祭、その妹である僧兵もまた、悪魔の側に寝返りました。騎士はそれを阻止すべく、僧兵を殺し、悪魔も殺そうとするのです。
で、その騎士がエスカデです。どうでしょう、ちょっと印象変わると思いませんか?
エスカデは英雄
聖剣伝説LEGEND of MANAの中で、このエピソードは『エスカデ編』と呼ばれています。そして、よくエスカデは「古い時代の象徴」と言われるのですが……まあ公式でもそう言われているわけなので反論しようがありませんが……。
もしこの一連のエピソードを、マチルダとアーウィンの恋愛感情を抜きにして、ただ事実ベースのみで語ったとしたら、世界を滅ぼそうとするアーウィンも、それにほだされたマチルダも、そしてマチルダのためにアーウィンにおもねったダナエも、みんな「悪」になるのではないでしょうか。
逆に、敵に寝返った幼馴染のダナエを泣く泣く殺害し、同じく幼馴染だったアーウィンもまた、世界を救うために殺害する。そんなエスカデは、きっと世界の英雄です。それも、もはや伝説として語られるレベル偉大なる勇者として、です。
真実は人それぞれ、けれども事実はたった1つ
マチルダの真実は、一言でいえば愛です。
実はマチルダがアーウィンのことを好きで、精霊力を奪われたことも完全に許していて、しかも世界を滅ぼすことすら容認しているなど、まさか外部の人は思いもよらないでしょう。
マチルダとアーウィンに焦点を当てれば、これはまさしく愛の物語です。愛が実らないなら、世界なんか滅んでしまっても構わない。世界は、2人の愛にとっては不要なものなのです。
けれどそのために、世界が滅ぼされるというのなら、まあほかの人にとっては冗談ではありません。
……まあ個人的に、愛のために世界が滅ぶみたいな物語は、嫌いじゃないですが。
ダナエの真実は、家族、でしょうか。
ダナエにとって家族はマチルダのことです。そして家族であるマチルダの幸せが、ダナエの幸せでもあります。そしてそのためならば、世界を滅ぼすアーウィンにも頭を下げます。マチルダが妖精界で平和に暮らせることができるなら、世界は二の次なのです。
アーウィンにとっての真実は、苦悩の一言に尽きるでしょう。
世界を滅ぼしたい欲がある。けれども、マチルダを無視できない。アーウィンは、内から沸く抗いきれない欲と、愛するマチルダとの間でずっと苦悩しているのです。もしかしたら、今後マチルダやダナエの説得で、世界を滅ぼすことをやめるかもしれません。自分の相反する感情に折り合いをつけて、うまくコントロールすることができるようになるかもしれません。
けれども、マチルダから精霊力を奪ったことで、若くして世界を滅ぼす力を得てしまったアーウィンは、現状、世界を滅ぼすことを目標としています。マチルダやアーウィンの甘い関係について知らなければ……客観的に見れば、アーウィンはただの世界の脅威であり、マチルダはただの被害者で、ダナエは裏切り者です。そしてそれを倒す、エスカデはただの英雄なのです。
エスカデは人の言うことを全く聞かない頑固者?ただの小物?
そういうイメージは、確かにあります。
マチルダが「アーウィンのことを恨んでない」といくら言っても、エスカデはまったく聞き入れようとしませんでした。ダナエが何度も「マチルダを助けるためにアーウィンに相談しよう」と言っても、エスカデはそれを間違っている、と否定するのです。
もう本当に「人の言うことをまったく聞かない男」という感じです。
なぜこんなに人の話を聞かないというイメージになっているか。それは、エスカデが、もしマチルダやダナエの言うこと認めてしまうと、それは全部、アーウィンに自分が負けたということになってしまうから、ではないかと考えられます。実際に負けかどうかはともかく、ですが。
エスカデにとって、アーウィンは恋敵です。だからマチルダやダナエがアーウィンをかばったり、頼ったりすることが気に食わないのです。つまり嫉妬であり、妬みです。幼なじみが自分を含めて4人いて、男2人女2人で、女2人がアーウィンの方についてしまっている。
女2人が自分に対して「アーウィンの言うことを聞こうよ、いつまでも意地張らないでよ」という状態になっているのです。これが、作中で明言されてはいませんが、ゲームプレイしていた人は察ししてしまうわけなのです。エスカデは本当に器が小さい男だ、と。意地を張って人の話を頑なに聞かない小物だ、と。
誰も人の話を聞かない
ただですね、人の話を聞かないという度合いで言うと、幼なじみ4人全員、人の話などまったく聞かないのです。
マチルダは誰に何を言われても「好きにしなさい」と言うのですが、要は「私は知らないからあなたたち勝手にすれば」という意味でもあります。ずっと、みんなを突き放しているのです。みんな、エスカデもダナエもアーウィンもみんな、マチルダのことをとっても心配しているのに。
ダナエは、マチルダの幸せを勝手に決めて、それを譲りません。精霊力を取り戻さないと幸せになれない。若さを取り戻さないと幸せになれない。アーウィンとくっつかないと幸せになれない。けれども、マチルダはそれを、特に問題視していません。むしろ解放されてかえってよかったとさえ言っているのです。
けれども、ダナエはそんなことまったく聞き入れません。マチルダの幸せは、マチルダが望むものとは違うところにあると信じて疑わないのです。
アーウィンは‥‥、まあ、横からいろいろ横槍が入ったり、余計なお世話が入ったりで、なかなか自分の想いを伝えられない男子高校生みたいな感じになっていますが、人の話聞かない、という程ではないかもしれません。少なくとも、ちゃんとダナエの提案を受け入れて、マチルダを妖精の国に招待していますし。
ともかく、人の話を聞かない頑固ものと言うことであれば、断トツでマチルダがトップ、次にダナエ、エスカデはその次じゃないかと考えられます。エスカデは人の話を聞かないって言うよりも、ただ単に「ちっちぇえ」というだけなのです。
まとめ
エスカデは英雄。けれども器が小さくて、何を言っても嫉妬しているようにしか見えない。
こんなところでしょうか。それにしてもこの聖剣伝説LEGEND of MANA、このように登場キャラに焦点を当てていくと、本当に考察が止まらない物語です。そろそろテレビでは「宝石泥棒編」のアニメが放送されるようですが、今度は宝石泥棒編のキャラクターについて考察していっても面白いかもしれませんね。
なお、聖剣伝説LEGEND of MANAは漫画も出ています。ゲームの雰囲気とはまたちょっと違いますが、これはこれで非常に面白い漫画です。もしよければこちらもぜひ見てみてください。
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