『新米オッサン冒険者、最強パーティーに死ぬほど鍛えられて無敵になる』、通称『オッサン冒険者』の最新刊、11巻のお話です。前巻ではリーネットの過去がクローズアップされましたが、今回の主役は、エルフとドワーフのハーフで、トンデモ武器を連発する発明家(?)ミゼットです!
主人公リックや頼れるブロストン、ツッコミ役アンジェリカに比べると、やや影が薄い存在だったミゼット。そんな彼が、ついに物語の中心に据えられたわけですが…どうやら、いつもの彼とは様子が違うようで……。
そんなミゼットについてお話していきます。
第11巻のあらすじ:舞台はミゼットの故郷エルフォニア

物語は、ミゼットの故郷であるエルフの国エルフォニアが舞台。次の重要アイテム「六宝玉」がこの国にあるらしい、という情報を得て、オリハルコンフィストのメンバーが再び集結します。
しかし、このエルフォニアという国、なかなか特殊な社会構造を持つ国です。なんと、エルフは髪の色が濃いほど差別されるという、なんとも厳しい現実が待ち受けているのです。

エルフは魔力が強いほど髪の色素が薄くなるそうで、魔力の少ない髪の色の濃いエルフは、良い仕事に就けないどころか、人権レベルで低い扱いを受け、飲食店から追い出されたり、暴言暴力を受けたり、最悪の場合命まで奪われたりすることも。法の保護もなく、王族からは使い捨ての駒のように扱われているという、かなりひどい状況です。
そんなエルフォニアには、国が管理する深さ1008メートルの巨大ダンジョンが存在し、その最深部に六宝玉があるとのこと。リックたちの今回のミッションは、このダンジョンを攻略し、六宝玉を手に入れることです。

ダンジョンの入り口が複数あるため、オリハルコンフィストのメンバーは、ミゼットとリック、ブロストンとリーネット、アリスレートとアンジェリカの3組に分かれて攻略を目指します。ブロストンとリーネットの安定感は抜群ですが、またしてもアンジェリカが同行しているのは、もはやお約束でしょうか(笑)。
いつものミゼットはどこへ? 彼の変化と読者の反応

ダンジョン探索中、リックとミゼットのペアは、フレイアという黒髪のエルフ女性と出会います。黒髪であるためにエルフォニア国内で激しい差別を受けてきたフレイアは、誰にも攻略できなかったダンジョンを攻略し、社会を見返したいという強い意志を持っています。しかし、彼女の魔力や身体能力は特筆すべきものではなく、リックたちの助けがなければ、おそらく脱落していたでしょう。

ここで注目すべきは、普段は女性に目がないミゼットが、フレイアに対してなぜか非協力的な態度をとる点。それどころか、エルフォニアに到着して以来、ミゼットは塞ぎ込んだ様子を見せ、何か過去に辛い経験をしたのではないかと思わせる描写が随所に見られるのです。
これまで、お調子者でスケベな一面が目立っていたミゼットのこの変化に、読者からは「どうしたの?ミゼットらしくない!」といった戸惑いの声や、「なんか今回のミゼット、ウザいんだけど!」といった否定的な意見も出ているようです。明るいキャラクターだった彼の急な変化は、読者に違和感を与えているのかもしれません。
過去の示唆と今後の展開への注目

物語の終盤では、ミゼットが自身の過去について語り始める可能性が示唆されています。これまで、オリハルコンフィストのメンバーに自分の過去をほとんど語ってこなかったミゼットが、故郷エルフォニアで一体何を語るのか。その背景には、エルフォニアという土地自体が彼の過去と深く関わっている可能性も考えられます。
一方で、物語における過去語りの連続に、一部読者は食傷気味であるという意見も。特に、これまで明るく振る舞ってきたキャラクターの悲劇的な過去が語られる展開には、「またか…」と感じる読者もいるかもしれません。

しかし、ミゼットの過去が、彼のこれまでの一風変わった言動や無気力そうな行動原理を解き明かす重要な鍵となる可能性も十分にあります。また、多くの読者は、ミゼットにはいつもの調子を取り戻し、スケベで面白いキャラクターでいてほしいと願っているのではないでしょうか。シリアスな展開も重要ですが、彼の持ち味であるコメディ要素も期待したいところです。
まとめ

『オッサン冒険者』11巻は、これまで脇役的な立ち位置だったミゼットがメインとなるエピソードですが、彼の態度の変化は、物語に新たな波紋を呼んでいます。今後の展開では、ミゼットの過去がどのように語られ、彼のキャラクターがどのように変化していくのかが大きな注目ポイントとなるでしょう。
そして、読者が期待するミゼット像とのギャップをどのように埋めていくのかも、今後の物語の重要な鍵となりそうです。
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