見える子ちゃん9巻のあらすじのネタバレと感想です。
アニメは一区切りつきましたけれど漫画の方はまだまだ不穏なオーラビシバシ漂う状況ですね。みこのクラスに転校してきた一条みちるには常にヤバそうな何かが取り憑いていて、あろうことかそのみちるがみこのことを大変気に入ったようで、何かと絡んでくるのです。
もはや気に入ったというレベルではありません。もはや執着と言っても過言ではない状況です。学校では常に一緒にいたがりますし、さり気なくみこのことを友人に聞きたがったり、みこと大の仲良しのハナわさりげなく遠ざけようとしたり‥‥。
けれども当のみこは、なまじ怪異が見えるものですから、みちるに取り憑いている何かのせいでみちるの顔をまともに見ることができないのです。それも比喩ではなくて本当に「見えない」のです。みちるに取り憑いた何かがずっとみちるの頭に存在するため、みこからはまるでヘルメットのように、みちるが怪物をかぶっているように見えるんですね。
そしてみこの不安をよそに、みことみちるの距離はどんどん狭まっていくのです。主にみちるの方から、半ば強引に。
見える子ちゃん9巻のあらすじネタバレ
みちると姉の歪な関係
みちるとその姉葉(よう)は、売れっ子モデルとそのマネージャーという関係です。基本みちるの行動はすべて葉に管理されて、みちるには放課後にお店でスイーツを食べる自由も、親しい友人を作る自由もありません。そして葉はそれがみちるのためと信じて疑わず、みちるを強く管理することにいっぺんの疑いも挟みません。
どんなことでも相談してねと言う葉の言葉に頷くも、みちるはミセドで一緒にドーナツを食べたみこやその友人たちのことを、葉には「ただのクラスメイト」としか話しませんでした。そして葉が部屋から出て行ってから、ペットのピィちゃん(イモムシ)に、みこのことを嬉しそうに語るのです。
そしてそれを、葉はみちるの部屋の扉に耳をぴたりとくっつけて聞いているのでした。その顔があまりにも恐ろしくて、読んでいてとにかくゾッとします。扉の向こうで自分の知らない人間のことを嬉しそうに語るみちるに対して、唯一の姉であり最愛のパートナーでもあると自負する葉は、果たしてどんな気持ちでいたんでしょうね。
みこの危機
みちるに取り憑いているヤバそうな何かについてロムに相談するため、みこは学校でみちるを隠し撮りします。けれども割とあっさりと、みちるにはバレちゃってましたね。人のいない部屋に連れ込まれて、みちるに問い詰められたみこは、つい「きれいだなって思って」と答えてしまいます。
みちる、もうめちゃくちゃ嬉しそうで、隠れて写真撮ってたことも全然許してくれて、それどころか「私も同じ気持ち」とみこに迫ります。きっとこれ普通だったらとっても美しい百合展開なのでしょうけれど、みこからすればクソヤバい怪物が迫ってきているようなものです。しかもなぜかそのヤバい怪物の触手のようなものが伸びてきて、みこの口に入ってこようとしたのです。
ただしこの時はたまたまみちるを探していたクラスメイトに声をかけられてことなきを得ましたけれど、もし声をかけられずにいたら、みこの口に入って行った触手が果たしてどうなったのか、想像もつきませんね。
みこの危機その2
先生に呼び出しをくらったみちるに付き添って、と言うか無理やり付き合わされて善先生のもとへ向かうみこ。最終的にみこは職員室の外でみちると善先生の話が終わるのを待っているのですけれど、そこでみこは小さなおじさんを見つけます。そして、みちるに憑いている怪物の触手がそれを勢いよく襲い捕食するところも。
その時点ですでに怖いのですけれど、なんとそれを受けて、小さいおじさんの親玉のような大きいおじさんの怪物がみこの前に現れるのです。そしてそれは、小さいおじさんを食べたのがみこだと勘違いして襲ってきます。壁ドンみたいな状況と言えば分かるでしょうか、もうとにかく超至近距離で追い詰められてしまうのです。
そんな窮地を救ってくれたのは、みちるに憑いている触手の怪物でした。ちょうどその時みちるが職員室から出てきて、その瞬間、みちるに憑いている怪物が大きいおじさんに総攻撃をかけたのです。触手を大きいおじさんの口に突っ込んで、中で爆ぜるといった感じです。ほとんど一瞬の出来事でした。
そんなことはつゆ知らずと言った感じで、みちるがみこに微笑みます。みちるには怪物が見えてないから仕方ないのでしょうけれど、みこにとってみればみちるが本当に恐ろしく見えたでしょうね。
みこのお父さんの危機
善先生の呼び出しは、みちるがあまりにも勉強ができないことに関してのヒアリングのようでした。そして善先生から、みこに一緒に勉強を教えてやってほしいと依頼されます。理由は単純に、先生の呼び出しに一緒についてくるほど仲の良い(ように見える)からです。
果たして、土曜日にみこの家で勉強会が開かれました。参加者はみちるのほかに、ハナとユリアという、まあいつものメンバーです。
はじめみこはリビングで勉強会をしようとするのですけれど、いつもは和室にいる死んだ父の霊が今日に限ってはリビングに居座っています。父の霊と仲が良いとされる父以上に大きい怪物と一緒に。つまりその時、リビングには父に憑いている大きな怪物とみちるに憑いている大きな怪物、2体が同時に存在していることになったわけです。そんな状態で何も起こらないはずもなく‥‥。
きっかけは、みちるがみこへのおみやげに持ってきたプリンを鞄から出したことでした。なんと父に憑いている怪物がそのプリンにめちゃくちゃ興味を持ってしまい、それに怒ったみちるの怪物が、何故かお父さんに触手を向けてきたのです。
けれどもその攻撃は、すんでのところてお父さん憑きの怪物に止められました。そしてお父さん憑きの怪物がその触手をペロリと舐めて‥‥。トゲトゲしていたみちる憑きの怪物がスッと丸くなり、触手を引っ込めたのでした。
怪物同士何かしらのコミュニケーションがあったのでしょうね。みちる憑きの怪物は、お父さん憑きの怪物を敵ではないと判断したのでしょうか。もしかしたらそもそも普段和室にいるはずのお父さんの霊がリビングにいたのも、家に入ってきた異物、みちる憑きの怪物の敵性を確認するためだったのかもしれません。あわやお父さんの霊がここでやられてしまうのか?というところでしたけれど、結局は大ごとにならずに済んだというワンシーンでした。
ハナの危機
みこの部屋にて勉強会が開かれます。みちるがなぜかみこの部屋の場所を知っていたり、ハナがなぜかめちゃくちゃ勉強できたり、ハナが糖分を外に逃がさないためにと度のないメガネをかけていたりと不思議なことがありましたけれど、概ね大きなトラブルはなく会は進みます。
ただし、とにかくみちるのハナに対する嫉妬心がこれでもかというほど表れていた会でした。ハナがみことの幼い頃の思い出を語っている最中とか、ハナがみこにポッキーを食べさせようと差し出した時とか、ハナ仲良しだよとみこにくっついた時とか、あとはハナがお泊まり用のパジャマをみこの家に置いていることを話した時とか。もうとにかくみちるの顔がすごいことになっていたり、みちるの怪物がいちいち反応していたり、みこにとってはなかなか気が休まらない勉強会だったようです。
廊下では、一度お父さんと憑いている怪物がやってきて、みちるの怪物を宥めているような場面もありました。先ほどと同様にペロリとひと舐めしてみちる憑きの怪物を鎮めるのですけれど、こうしてみるとやはりお父さんとその怪物はみこを守っているように見えますね。
見える子ちゃん9巻の感想考察
みちるの依存が病みすぎる
みちるがとにかくみこのそばにいたくていたくて仕方ない様子です。依存が過ぎるというか、もう完全に病んでるという感じです。
きっと今までずっと姉の葉に管理されていて、束縛されていて、自由に友人を作ることすら許されなかったんだろうなあとしみじみ思います。きっと人気モデルという職業柄これまでは気安く話をしたり遊べる友人も作りづらかったのだと思います。有名人の背負う宿命とでも言いましょうか、微妙に距離を置かれたり、逆にあくまでも有名人としてのみちるとしか見てもらえなかったり。それでもまあ気を許せる友人を作る機会が全くないわけでもなかったのでしょうけれど、それに加えての、あの姉兼マネージャーですからね。なにせGPSで追跡してきて友人との談笑の場に乗り込んでくるくらいですから。
まるで思春期の反抗期みたいに、姉でありマネージャーでもある葉の支配からの自立。というか言い方はちょっと悪いですけれど、新しい依存先を見つけたような感じなんだろうなあと思ったりしたのでした。
葉‥‥事件の予感
これまで見える子ちゃんでは、主にみこが、他の人には見えない怪異とどう立ち向かうかっていうのに物語の主軸がありましたけれど、どうやら今回は様相が違うのかな、と思った次第です。今回の敵は、ズバリみちるの姉でありマネージャーの葉です。
8巻までも、葉の異常さはだいぶ表現されていましたけれど、見える子ちゃん9巻ではそれがさらに際立っていました。みちるが部屋でペットのイモムシにをしているところをヤバい顔して聞き耳立てている様子とか、みちると連絡が取れなくて滝のように涙を流している表情とか。極め付けはみちるが無断でみこの家に泊まることになったあとです。葉はまるで絶望したかのような目つきでみこの自宅を見てるんですよね。そう、葉はどうやって調べたのかわかりませんけれど、みちるを追ってみこの家まで来てるんですよ。
ここからいきなりみこの家に乗り込むのか、それともそこでは一旦引いて、後日みこに突撃をかますのか。どちらにせよ葉がみこに何かをしようとしているのは間違いなさそうです。まじ怖い。
まとめ
なんだか大事件が起こる間近という感じがして、一層恐怖感が摂取できる巻だったなあと思います。特にみちるの姉兼マネージャーの葉。あの人は絶対にヤバいです。下手したら包丁持って襲われるんじゃないかってくらいになにかやらかしそうな人です。
一方、逆に今まで得体の知れない感じだったみちるがなんだか不憫に思えてくる場面も多かったように思います。あれだけみこに執着して、憑いている怪物もなぜかみこをすごく意識していて、まさか今度はこの怪物に襲われるのかなと思っていたところ実はそこまで悪い奴じゃないんじゃないかとか、みちるがちょっとかわいそう過ぎてこれまでの奇行をちょっとだけ許せる気持ちになったりとか。
あとはたまたま写真で見つけた、みこのそばにいる小太りのおじさんの霊も気になりますし、そもそも7巻だかでバスの窓からふと見えた巨大な黒い影もどうやって伏線回収されるのかな、まだなのかなとか、いろいろと謎を残したままではありますけれど、とにかく続きが気になって仕方がない、そんな見える子ちゃん9巻でした。
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