青のオーケストラの主人公・青野がモテモテです。特に漫画単行本10巻くらいになってくると、秋音もハルもかなりぐいぐい来るようになって、青野もだいぶたじたじなようです。
ということで、今回はそんな青野と秋音、ハルについて語っていきたいと思います。
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青のオーケストラの秋音、ハルから見た青野
それにしても、秋音もハルも、青野のどんなところが好きになったんでしょうね。そのあたりちょっと考えてみようかと思います。
秋音視点の青野
青野は秋音のバイオリンの先生
秋音にとって、青野はバイオリンの先生です。
秋音は高校に入学してから、オーケストラ部(通称オケ部)に入部しようとしていました。けれどもそのためには楽器を演奏できなければいけません。なぜ秋音がバイオリンを選んだのかは不明ですが(もしかしたら武田先生が勧めたのかもしれませんね)、完全なる初心者の秋音がバイオリンを弾けるようにと、教えてくれたのが青野です。
青野のバイオリンの教え方は、とてもうまかったようですね。もしくは秋音に合っていたのか。
青野の指導で、秋音はめきめきとバイオリンがうまくなっていきました。そしてそれを、秋音自身もとてもよく実感していたようです。実際にオケ部の部活見学でバイオリンの演奏を披露する場面がありましたが、青野も驚くほどに成長していたようです。
同年代の男の子に教えてもらって、実際に自分の腕が上達するのを感じられれば、たとえはじめは恋ではなかったとしても、秋音の青野への株はぐんぐん上昇していったこと間違いないでしょう。
初めて秋音が青野を意識したのは河原
秋音にあおられて、青野が河原でバイオリンを演奏する場面があります。それまで秋音は青野のバイオリンの実力を軽く見ていました。コンクールで入賞したと言っても、所詮子どものころだったと考えていたのかもしれません。
けれども実際に青野が初めて演奏したのを聞いて、秋音はとてもびっくりしていました。こんなにバイオリンが上手だったのか、という想いもあったかと思います。ただそれ以上に、自分の理想のバイオリン演奏を、青野の中に見つけた、というのもあるかもしれません。
以上から察するに、秋音が青野を好きになるきっかけは、青野のバイオリンの演奏と教える技術が先に立っていたと考えられます。ただそれだけだと、まだ好きになるには遠いですよね。そもそも秋音と青野の出会いは割と最悪で、しかも秋音も、ただバイオリンがうまいだけで惚れてしまうような女の子ではないように思います。
ではどんなとこに惚れていったんでしょうね。
秋音が青野に惚れていく場面
河原でバイオリンを弾く青野
この場面を載せないわけにはいかないでしょうね。青野が初めてバイオリンの腕を秋音に披露したところです。今まで青野を、ただ保健室で鼻血を出していた運動音痴と思っていた秋音が、青野をちゃんとバイオリンの先生として認めるようになった、そのきっかけとなった場面です。夕日に河原にバイオリンの音色。まあ感動しない方がおかしいです。
自信を無くしかけているときに、うれしいことを言ってくれた
上達したと言っても、まだまだバイオリンを覚えて1年も経っていないですからね。以前からバイオリンをやっていたようなうまい人たちに囲まれれば、嫌でも自分の実力を自覚してしまいます。しかもこの頃の秋音は、部活の同学年の経験者に「部活を楽しみたいだけならやめろ」と言われ落ち込んでいる最中でした。
秋音はどんな時でも前向きで、楽しそうにしてるから、部活に対する姿勢を誤解されてしまったんでしょうね。
さて、そんなとき、青野が秋音に声をかけてくれたのです。
「自分の音をどんな時でも精いっぱい出そうとしているから、すげーなって思うよ」
これ、秋音は絶対に嬉しかったと思うんですよね。自分を見てくれてた、って。
がんばりを褒めてくれる
オケ部のオーディションを前にして、一緒に軽く練習をする2人。演奏が終わった後、青野は秋音に「うまくなったよなあ」と声をかけます。
うまい人に囲まれていると、自分が本当に上達しているのか、分からなくなることってありますよね。秋音はまさにそういう状態だったと思います。だからそんな時、青野にそう声を変えられたことがとてもうれしかったんじゃないかと思います。自分をちゃんと見ててくれた、と。
まあ青野からすれば、完全なるバイオリン初心者のころから秋音を見ているわけですから、なおさら強く上達を感じるというのもあるかもしれません。それにどれだけがんばって来たのかも、青野が1番知っているわけです。けれども秋音にとってみれば、単純に自分のがんばりに気づいてくれる人がいたというだけで、強い励みになったのではないかと思うのです。
自分の気持ちに気づきそうで気づかない?
体育祭で青野を応援する秋音。そんな彼女を見て、クラスメイトがからかうわけですが、当の秋音は「……へ?」という反応。この時点で自覚なしか、と自分の気持ちに対してあまりに鈍くて笑ってしまいます。
なんとなくですが、秋音は、たくさんの人との人間関係構築を怖がっているように感じます。自分でも人との距離感つかめないと話していましたが、それで傷ついたことも決して少なくはなかったでしょう。そしてそういう人の特徴として、誰か特定の人に依存してしまう傾向があります。
中学時代はそれがハル(小桜ハル)だったと思いますが、高校に入ってからは、ハルに加えて、青野が追加された感じなのかな、と。ある程度空気を読まない言動があってもそこまで気にしない、気にしたとしてもそれを理由に離れたりはしない、そう確信できる相手が青野だったわけですね。
中学時代後半(ハルが転校してしまい、保健室登校だったころ)、秋音は先生と青野以外と話をほとんど話をしていなかったらしいことや、バイオリンの練習でずっと一緒にいたことも大きく影響はしているでしょう。
ともかく、この時青野は秋音にとって、恋愛対象ではなく依存対象であった(無自覚ですが)だったと思います。ただしクラスメイトにからかわれて、もしかしたら少しだけ、そういうことを意識するようになっていったのかもしれません。
一緒にバイオリンの練習をしたのがとってもいい思い出になっている秋音
秋音のお母さんの誕生日に向けて、青野に対して再びバイオリンを教えてほしいと頼む秋音。その代わり勉強を教えるから、と。それを受けて青野が「中学のころみたいだな」って話すわけなんですが、その時の秋音の笑顔がもう、ほんといい笑顔で。
秋音にとって、中学時代バイオリンと勉強を教え合ってた時期というのは、とっても大切なものなんでしょうね。
過去の楽しい思い出を反芻するというのは、男女の仲を深め合う方法としてとても手っ取り早い方法ですよね。少し冷え切った夫婦が、付き合いたてに行ったことのある公園にもう一度行くことで、当時の相手に対する想いを思い出す、みたいな。
そしてそれを無意識にやってしまい、なおかつそれでとっても嬉しそうな顔をしてしまう秋音。恋かどうかはともかく、青野のことが好きなんだなあーと思える1コマです。
自分の欠点を良い方に思ってくれているのは、うれしい
秋音のお母さんが青野に対して、この子は融通が効かなくて大変、といった趣旨の話をするわけですが、その時青野は、逆にそれがとってもいいことで、うらやましいことだと返します。
頑固、融通が効かないといった指摘は、おそらく小さいころからよく言われていたんでしょうね。そして別にそれで深く傷つくとか言うわけでもないですし、自分でも自覚している自身の欠点なのでしょう。でもそれを「うらやましい」と言われるのは、おそらく初めてなのではないでしょうか。
そして自身の嫌な部分を好意的に解釈してくれるというのは、裏を返せば「そのままの君でいいよ」と言われているようなものです。気安くて心を許せる人が、ありのままの自分を受け入れてくれる人だったというのはポイント高いですよね。
お母さんの話がつい聞こえてしまった
秋音のお母さんはだいぶ青野のことが気に入ったようです。そりゃそうですよね。上で述べたように、青野の秋音に対する評価は、お母さんからすれば満点でしょう。
そしてお母さんからのこのセリフ。
「青野君が律子の彼氏なら大歓迎だよ?」
秋音は遠くにいて聞こえなかったフリをしていましたが、ばっちり聞こえていたようです。
正直なところ、秋音はこれまではまだ自分の気持ちに気づいていませんでした(もしくは気づいていたけど気づかないフリをしていました)。けれどもここにきて、秋音はしっかりと自覚してしまったようです。
帰り際、秋音は青野にとんでもないことをしてしまったのですから。
ハル視点の青野
ハルにとって青野はあこがれの人
ハルが青野を知ったのは小学生低学年の頃です。そのころからすでに青野はコンクールで入賞するほどの腕前でしたが、まだまだバイオリンの演奏が得意ではなかった(というかコンクールなどで人前で演奏するのが特に苦手だった)ハルにとって、まさに雲の上の人でした。
けれどもそんな青野が、落選して泣いていたハルに、話しかけてくれたのです。難しい曲なのに、挑戦していてすごいね、と。
いわゆるギャップ萌えのようなものだったのかと思います。舞台の上で厳しい顔をして、大人顔負けの演奏をしていた男の子が、気安く笑顔で話しかけてくれる、そんなのまるで少女漫画のようなシチュエーションじゃないですか。
ただその後は特に交流もなく、実は一緒の中学校に通っていたにもかかわらず、青野に気づいてもらえず……しかもそのころはちょうど青野もバイオリンから離れていましたから、かかわりも薄く、なおさらハルとしては声をかけづらかったでしょう。
結局ハルは高校で同じオケ部に入部するまで、ずっと片想いのままだったのです。
ハルにとって青野はヒーロー
青野はハルにとって、小学校のコンクールで泣いていた時に声をかけてくれたヒーローです。難しい曲にチャレンジして、失敗して、それでも挑戦したことをほめてくれたのですから。
そして高校に入ってからも、やはり青野は、ハルにとってヒーローなんですよね。ここからはそんな青野のヒーローっぷりを、画像とともに紹介していきます。
ハルが青野に惚れていく場面
傘をそっと差しだす
強い風と共に雨が吹き荒れる中、ハルの傘が見事にひっくり返ってしまいました。その時に、青野がそっと傘を差しだしてくれたのです。正直タイミングの問題ではあるかと思うのですが、こういうことをさらっとやってしまえる当たり、青野はキザですよね。
そして傘をさして一緒に帰る際には、ハルの方に雨があたらないよう、青野は自分の肩を濡らしていました。こういうのを見て、ハルはさらに青野のことが好きになっていっちゃうのでしょうね。
浴衣を見てもらった
青野、佐伯、山田、秋音、ハル……いつものメンバーで夏祭りに行った時のことです。金魚すくいの話から、ハルの浴衣の話になるんですよね。こういう浴衣の柄を気にしてくれるというのも、結構ポイント高いのではないでしょうか。
自分の些細な変化に気づいてくれる
青野は本当によく人のことを見ていますね。
オケ部での演奏会を経て、ハルは少しだけ自信がつきました。演奏を聴いてくれる人が喜んでくれる。それが少しだけハルを前向きにしてくれたんでしょうね。これまでももちろん、コンサートなどで演奏を聴いてくれる人はいたのでしょうが……仲間と一緒に演奏するようになって、ソロで演奏していた頃よりも周りが見えるようになったのかもしれません。
そして道端でばったり会った青野が、そんなハルの些細な変化に気づいた、というわけです。自分の心境の変化を、ハル自身が気づいていただけに、そうやって指摘してもらえるのは、まあう嬉しいですよね。
蜂からかばってくれる(というかこういうシーン多くね?)
体育祭、競技の合間に2人で座っていると蜂がやってきて、青野がハルをかばいます。
ほかのキャラクターに比べて、ハルはこういう恋愛系イベントが多いように感じます(相合傘だったり、偶然会う系のイベントも、秋音よりハルのほうが全然多い印象ですね)。
一緒に満月を見る
学校から帰る途中、ハルは青野の背中を見つけます。青野はどうやら満月を見ていたようです。
声をかけて、一緒に満月を見るのですが……、まあハルはどちらかというと頭はいい方ですし、なんとなく文学にも通じているような雰囲気のキャラなので……、あの言葉を思い浮かべたりもしたのではないでしょうか。
どう訳しても愛の言葉にはならないのに、愛の言葉として有名なあのセリフです。
今の自分を肯定してくれる
デートの帰り道、かつてハルをいじめていた女子に遭遇したことで、ハルは全く動けなくなってしまいます。そして、青野に助けてもらってその場はしのげたのですが、ハルはめちゃくちゃ落ち込んでしまいます。
ハルはずっと、自分の弱さが嫌いでした。
自分がいじめられたせいで、家族は転校を余儀なくされました。引越しをすることになり、お母さんは仕事をやめなければいけなくなりました。それでも自分はいじめを克服することができませんでした。
また自分が学校に来なくなったせいで、今度は秋音がいじめのターゲットになっていました。ハルはそれに気づきながら、知らないフリをしていました。
どちらも自分が強ければ…ちゃんと学校に行けていれば、回避できたことなのだと、ハルは後悔しているのです(もちろん、いじめる方が100%悪く、むしろいじめられて傷つけられたハルは、学校やいじめの事実に向き合う必要などまったくなく、完全にハルの自己嫌悪の世界なだけなのですが)。
そしてそんな自分を青野に知られたことがとても悲しく、また知られて悲しいと思っていることが卑怯だとすら思いこんでさらに悲しくなり、そんな超悪ループに陥ってしまったのです。
「これが本当の私なの…」
けれども、そう涙を流すハルに、青野は強く反対します。「今の小桜さん(ハルのこと)をニセモノとは思わない」と。
会話に入れない人のさりげなく話しかけたり、楽器倉庫の大量の楽譜をこっそり作曲者の名前順に整理したり、誰かが閉め忘れたドアを閉めたり…そういうところが本当の小桜さん「らしさ」だと思う、と慰めるのです。
ハルの青野に対する好きって、自分を見てくれている、認めてくれている、ってところなんですよね。自分に自信がなくて、自分の弱いところも強く自覚していて、そんなハルの良いところを自然な感じで見つけてくれる、ハルはそんな青野が好きなんだろうなあと思います。
まとめ
こうして改めて見てみると、青野がモテるのはバイオリンがうまいとかではなく、人のことを良く見ているからだと分かります。
ほしい時にタイミングよくほめてくれる、自分の気づかなかった良さを見つけてくれる、自分のほんの些細な気遣いをちゃんと見ていてくれる。そういうところが、青野の魅力なのでしょう。
さて、単行本8巻くらいまでは、青野の隣はずっと秋音だったのですが、デートした後あたりから、ハルがどんどん積極的になっていきます。そして10巻では、ハルの方が秋音よりも多く青野の隣にポジショニングしています。
果たしてこの三角関係がどのように変化していくのか、今後の青野オーケストラの楽しみの1つと言えるかもしれません。
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