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天国大魔境

理由は妹を作りたかったから?稲崎露敏の奇行について考察|天国大魔境

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天国大魔境の稲崎露敏って結局何がしたかったんだろう、というのを考えていたら、意外と考えがまとまって来たので残しておこうかと思います。露敏は結局のところ、妹である稲崎真凛を生き返らせたかったというか、新たに作り出したかったのです。

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稲崎露敏とは

稲崎露敏とは、孤児院時代のキルコの兄貴分的な存在です。ケンカが強く、敵には容赦しないけれど味方の面倒見がよく、またダメなことをした時にはしっかりと叱ってくれる、孤児院の頼れる年長者でした。

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稲崎露敏は超頼れる兄貴分

キルコがまだ春希だった頃、春希がチンピラにボコボコにされているところを助けに来てくれた露敏です。「ウチの若いモンがずいぶん世話になってるみたいじゃねーか」と、まるでヤクザの兄貴みたいな登場の仕方ですね。

そして実際にまるでヤクザのように、春希を痛めつけていたチンピラたちを1人で徹底的にやっつけてしまったのです。そしてさらには春希にケンカのコツまで教えてくれたりとか。それでいて、チンピラをやっつけた手柄は春希に譲ってくれたのです。最後までちゃんと追いかけて追い詰めたからでしょうかね。ともかく、若い男の子にとってはこれ以上ない最高の先輩であったと思います。

叱るときはしっかりと叱ります。これは危ないからついて来るな言われたのにこっそりついて行ってしまった時の、露敏の怒りっぷりです。当時の春希からすれば、これだけ真剣に叱ってくれるのは、後輩である自分を危ない目に遭わせたくない、それだけ心配してくれている、と思ってしまうでしょうね。実際に10年前に春希と同い年の妹を亡くしていることも知っているからなおさらかもしれません。

稲崎露敏は最低のクズ野郎

キルコとして生きることになった春希は、マルを護衛しつつも、ずっと露敏を探していました。頼れる兄貴分に会えればきっと状況はずっと良くなるし、自分の体に起こったことも全部教えてもらえると思っていたからです。けれども実際に数年ぶりに再会して見ると、露敏は決して頼れる兄貴分ではありませんでした。むしろ最低最悪のクズ野郎でした。

露敏はキルコに対して、再会してすぐにお風呂を勧めて、その間に服を隠し、丸腰にしたところで手錠で拘束しました。そしてなんと二晩かけて乱暴したのです。キルコの脳が春希という男の子であることも、その春希の体が大好きなお姉ちゃんのものであることも承知の上で、です。しかも最中に、大好きな自分の姉の体がされるところをよく見てろ、とか言うのです。性癖的にもかなりやばいことが分かります。

その後キルコから連絡すらないことを不審に思ったマルに襲撃されて、最終的に露敏は逃亡しました。それ以来、今のところ一切登場していません。ただ、いつかまた再登場するのではないかと言われています。

露敏が逃亡した後に残っていたのは、ヒルコと管で繋がれた女性でした。女性はまだ息がありますし、ヒルコもまだ生きています。女性はどうやら過去に住民登録した移住者だったようで、ヒルコの方はどうやってここで飼っていたのか、皆目見当もついていません。

ただ、恐ろしいことを行っていたことだけは分かります。女性の命の尊厳を踏みにじっていましたし、もし女性に意識があったのだとしたら、それは生きながらにして地獄だったでしょう。

今となってはその辺は知る術はありませんけれど、ただ露敏が人として、倫理観が破滅していることだけは分かっています。

稲崎露敏はシスコン

露敏は重度のシスコンであったことが分かっています。幼児が集まって遊んでいる中、「どの子が妹?」と問われて真面目に「一番かわいい子」と答えてしまうくらいシスコンです。ただ両親が仕事で忙しく、家政婦さんはいるものの一緒に家にいる家族は妹ただ1人という状態ですから、そうなってもおかしくはないのかもしれませんけれど。妹の名前は稲崎真凛と言います。

大災害が起こった後も露敏は、両親が帰ってこない中、しばらくは妹の真凛と一緒になんとか生活することができていました。電気が来なくなった冷蔵庫の中身を、足の速い食べ物から片づけていったり、水道が来なくなってからも、お風呂にためていたお湯をうまく利用してなんとか凌いだり。露敏自身がとても冷静で頭が良かったことと、妹の真凛もとてもいい子だったからこそでしょうね。

けれどもほんの小さな怪我が原因で、真凛は亡くなってしまいます。それから露敏は心を壊してしまいます。船山通がそんな露敏の面倒を見つつ、1人もう1人と孤児が集まってきて、いつの間にか孤児院となって、それに伴って露敏も一見まともになったように見えました。少なくとも、船山通にはそのように見えていたようですし、春希からも頼れる兄貴分だったことから、やはり外側は頼れる兄貴分だったのでしょう。

それでも心に負った傷はずっと深く、いつまで露敏の中に残り続けていたのだと思います。

稲崎露敏は孤児院時代から実験を繰り返していた

天国大魔境11巻にて、実は露敏が船山孤児院にいた頃から人食いの怪物ヒルコを利用して、何かヤバいことを行っていたことが分かりました。桐子はそれを見てしまい、なおかつ写真に収めてしまったことから、露敏に銃で撃たれた可能性が非常に高いとされています。

そういえば人食いの怪物ヒルコが孤児院の近くに出た際に、一緒に行こうとした春希がこっぴどく叱られたと言っていました。これはもしかしたら、露敏は春希の身を案じて叱ったのではなかったのかもしれません。ヒルコと人間の実験を見られる恐れがあるので、そのことを知らない人間を近寄らせたくなかったからではないでしょうか。

稲崎露敏は妹の真凛を蘇らせたい

露敏がなぜヒルコと人間を繋いでいたのか、ずっと理解ができなかったのですけれど、最近ようやくなんとか分かってきたように思います。きっと露敏は、妹の真凛を生き返らせようとしていたのではないかと思います。

10巻の青島(今村)女史の言葉を覚えていますでしょうか。人工知能のミーナに医学の学習をさせるために関係者や生徒ら何人かの志願者を、生きたままミーナに繋いだと。そしてその体に様々な生体実験を試みデータを学習していった後、その志願者で得られたデータをもとに超人の子どもを作ったと。

露敏も、まさしくそれをしようとしたのではないかと思います。人食いの怪物であるヒルコは、もともとはミーナが人口子宮で産んだデザインベイビーたちです。ミーナが人間とつながって子どもを産むことができるなら、その遺伝子を受け継いでいるヒルコたちも、それが可能かもしれません。

もし露敏が妹の真凛の体の一部、例えば骨や爪などを大事に保管していたとしたら、それをもとに真凛と同じようなもの作れるのではないでしょうか。

キルコに乱暴をした理由

ヒルコたちは、その個体にもよるかもしれませんけれど、基本男性と女性両方の性質を持っていることが分かっています。トキオなどの例から、通常の方法で子どもを作れることも分かっています。

キルコは春希の脳に桐子の体を移植してなんとか一命を取り留めました。そして春希は以前人食いの怪物ヒルコに体を半分食べられていて、露敏はその場に居合わせていたことが分かっています。体が半分なくなっていたにも関わらず春希が生きていたのはヒルコの力なのではないかと露敏が考えるのも、ごく自然なことなのではないでしょうか。

最中に何度も春希は春希であることを自覚させていたのも、もしかしたらそういった理由なのかもしれません。もちろん、ただの嗜虐趣味の変態という可能性も大いにありますけれど。

稲崎露敏はどこでヒルコのことを知ったのか

1つだけ疑問があるとすれば、露敏はなぜ人食いの怪物ヒルコが今まで述べてきたような性質を持っていることを知ったのか、ということです。同時期に船山孤児院にいた猿渡(迫田)医師がヒルコの研究をしていましたけれど、その内容を聞いた、もしくは盗み見した問い可能性はあるかもしれません。もしくは、ヒルコが人間を食べたことでその食べられた人間にそっくりな生物を作り出したところを見た可能性もあります。

天国大魔境3~4巻では、恐らくいずくのえ島施設にいたオーマが怪物になってしまったらしきヒルコが複数いました。それももともとはオーマ1人(1体)だったものが、人間を食べて増えたのではないかと言われています。そしてその性質は他のヒルコにもあるかもしれません。

たまたま船山孤児院のそばにいたヒルコがそういう性質を持っていて、その現場をたまたま露敏が見かけたとしたら、真凛の復活につい希望を持ってしまうこともあるかもしれないのではないでしょうか。

まとめ

天国大魔境に登場するクズ男、稲崎露敏についてお話してきました。はじめ登場した時はとても頼れる兄貴分でした。けれども再登場時その評価は地の底まで落ちて、その後露敏が癒すことのできない深い傷を負っていることが判明しました。

ただ露敏の様々な行動には不可解な点もたくさんあります。なぜ人体実験をしていたのか。なぜキルコに乱暴をしたのか。今回はまだまだ考察ともいえない想像レベルでのお話でしたけれど、いつか秘密が明かされた時の答え合わせを楽しみにしたいと思います。

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