冒険には、武器が必要だ!〜こだわりルディの鍛冶屋暮らし〜という漫画があってですね、その主人公である鍛冶屋のルディが小さくてかわいいのでお話ししようと思います。
冒険には、武器が必要だ!ってどんな話?

冒険には、武器が必要だ!~こだわりルディの鍛冶屋ぐらし~ : 1 (アクションコミックス)
冒険には、武器が必要だ!〜こだわりルディの鍛冶屋暮らし〜は、2024年1月よりwebアクションにて連載が始まった、窓口基によるファンタジー漫画です。
物語の舞台は、広大な「魔の森」に存在する迷宮(ダンジョン)の入り口に位置する街「鯨の喉元(エールスロード)」。主人公のルディは、この街にある金物屋で働く鍛冶見習いの少女です。
親方に叱られながらも、ルディは「世界一かっこいい武器」を作ることを夢見て、日々、奇想天外な武器を創作しています。冒険者たちが危険な迷宮に挑む裏で、彼らを支える鍛冶屋という仕事に焦点を当て、ルディが様々な依頼や自身のこだわりを通して成長していく姿を描くクラフト・ファンタジーです。
「鍛冶屋」という仕事への深い視点

多くのファンタジー作品では、冒険者が主役となり、武器はあくまで道具として描かれがちですよね。しかし、本作ではその武器を作る鍛冶屋にスポットを当て、ルディの視点を通して、武器作りにおける工夫や苦悩、そして完成した時の喜びを丁寧に描いています。
奇想天外な武器の数々

ルディが作る武器は、ただ強いだけでなく、見た目や機能にこだわったユニークなものばかりです。「世界一かっこいい武器」を目指すルディの豊かな発想力が、私たち読者を楽しませてくれます。
キャラクターの成長

主人公のルディは天才ではありません。いくつかの成功の裏に数多くの失敗があります。ただ、失敗から学び、次の武器作りに活かす真摯な姿勢が丁寧に描かれているのです。彼女が試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ鍛冶職人として成長していく姿は、読者の共感を呼びます。
迷宮を支える日常の描写

危険な迷宮と隣り合わせの街で、冒険者を支える普通の人々の日常が温かく描かれています。他の迷宮モノのファンタジーでは味わえない、冒険の裏側にある、モノ作りの面白さや人々の暮らしに焦点を当てた、温かい雰囲気を感じることのできる作品なのです。
鍛冶屋ルディについておしゃべりたい
センスが厨二病

武器の名前もそうなのですが、そもそもおろし金で竜の鱗を削るという発想がぶっ飛んでいます。削れるほどに硬いならそれで殴るなり斬ったりするほうが余程いいでしょうに。
そもそも鱗をおろす余裕なんてなさそうですが。
ちなみに子どもサイズの道具鞄なんてものも作っていましたが、自分よりもはるかに年下の子どもに「デザインが子どもっぽ過ぎる」と拒否られていました。このセンスを理解してくれる人は、この先出てくるのでしょうかね。
頭の回転が速い

「また秘剣作ったのかい?」「売り物にならねぇ倉庫の肥やしが増えちまう」に対する返しがこちら。
「倉庫に秘められた剣、という意味では間違ってない!」キリッ
いやもううるせえよとしか。
ただ、この頭の回転の速さはさすがですね。これがきっと武器製作に大いに活きているのでしょう。
減らず口を叩くというか、屁理屈を並べるというか。
武器を作るのが楽しくてしょうがない

とにかくルディは武器を作るのが、楽しくて仕方ありません。チャンスと見るとこれだけ顔を輝かせます。
酒場で出会った”跳ね足”のイーシュの話を聞いた時も、パーティーを追放されて項垂れていた”百発一中”のユーゴーを捕まえた時も、これから迷宮に潜ろうとするかの有名な”雲裂き”ソローフィアに売り込みをかけた時も。もうギラッギラに目を輝かせて武器を作らせてもらえるよう営業をかけるのです。
しかもルディのすごいところは、こうやって武器を作らせてほしいと畳みかけている時点では、実際にどんな武器にするか、ほとんど全然考えていないところです。まずは作らせてもらうことを承諾してもらってから、どんな武器にするか検討するのです。相当の自信と熱意がなければ絶対にできることではないですよね。
寝起きがかわいい

別に普段が可愛くないわけではないですが。ただ普段はどちらかと言うとギラギラしていて、かわいいというよりもガツガツしている雰囲気が先行してしまいます。ですが寝起きの、髪をおろしているルディを見ると、もし仮にルディが髪を綺麗に梳かしておしとやかな装いをしていたら、きっとニコにも負けない美人さんなのではないかと思うのです。

ただきっと、目力が強すぎて、ナンパしたいだけの男性は近寄れないと思いますけどね。でも髪おろしてるの、やっぱりかわいいなあ。
子どもの気持ちにも寄り添う

園芸屋さんの小さな子どもがどうしてもこうも刃物を触りたがるのか、誰よりもルディが、その気持ちを分かってあげていました。刃物を触りたがる子どもに、お母さんは気が気ではないのですが、その子はお母さんのお手伝いがしたかったのです。
ルディが子どもの気持ちを理解できるのは、自身の幼少期の経験が背景にあるからです。ルディは今は亡き両親の影響で武器職人になる夢を抱き、今もその夢を追い続けています。だから、同じくお母さんのようになりたいと思う子どもの気持ちが分かってあげられたのでしょうね。
妄想がとびぬけている

いったんアイディアを思いついてしまうと、どこまでも妄想が止まらないところもルディの魅力の1つです。ほんのちょっとのきっかけからとんでもない武器の妄想を始め、いつの間にかその武器で最強生物のドラゴンを倒すところまで飛んで行ってしまいます。ちなみに画像の妄想は9ページ妄想し続けていました。
妄想しながら、いつの間にか壁にドラゴンのレリーフまで作っていました。壁の穴を修理するはずだったのですが。
とんでもないにぶちん

こっそりとニコに熱い視線を送る少年に、ニコの好きなものを聞かれたときのルディの回答が「切れ味のよい包丁とか…?」でした。これはひどすぎます。少年の恋心があまりにも分かりやすすぎるのに、ルディは全く気付きません。そしてすぐに武器や刃物に考えが行ってしまうのです。
今のところルディには恋愛は早すぎるのでしょう。ですがもしルディと同じように、年中武器の事ばかり考えて、一緒に四六時中語り合えるような男性が現れたとしたら、もしかしたら可能性はなくもないかもしれません。ちょっと見てみたい気もします。
なんだかんだ言ってもちゃんと仕事はする

拷問器まがいの妙なモノばかり量産しているかと思いきや、割とちゃんと普通の仕事もしている様子。そもそも、彼女は鍛冶屋ではなく金物屋の弟子ですから。ただ、武器に憧れて、勝手に鍛冶屋を名乗って、厨二病武器を生み出しているだけなので。あくまでも現実的に生活をしていて、その中に武器の製作がある。こういう生活感が温かく描かれているなあという印象です。
使う人のために真剣になれる1-81、1-12

普段は、「自分は何でもできる、自分は間違ってない」という顔をしてますが、実際にいざ誰かのために道具を作るとなると、本当にとても真剣な顔をします。これは友人ニコのために包丁を作るルディですが、いつものように派手な見た目にするわけでも、突飛な機能をつけるわけでもありません。ニコが料理をする様子を間近で確認して、重心はどうとか、とても細かく調整しています。

このエピソードが特に、この物語を端的に、的確に表してますよね。武器というのは、道具というのは使う人のためにあるモノだ、ということをとても丁寧に描いている気がします。
使う人のために、という話だと、ソローフィア隊副隊長のカリナのエピソードもとても印象的でした。カリナのために、何か1本武器を打ってみよ、というリクエストをルディは受けるのですが、そもそも曽祖父より代々受け継がれた剣を愛用するカリナに、それ以上の武器は不要に見えます。

それはカリナも、そして依頼を受けたルディ本人も感じていることです。そうして悩んだ挙句、ルディの出した結論は、新たに武器を打つのではなく、愛用する剣用の付属部品(アタッチメント)を作ることでした。
代々受け継がれた武器というのは、体に合わないこともあります。特に元々男性が使っていた武器を、女性であるカリナが振うには少々体躯に合っていなかったのです。だから、ほんのちょっとの工夫で、より剣が扱いやすくなるように、そんな想いの込められた付属部品だったのです。3-68
付属部品を作るという発想も素晴らしいですけど、ほんの数瞬でそれを見抜くルディの目というか、感性も賞賛に値しますよね!
全編通して、こういった「使い手のことを真摯に考える」スタンスが、ルディの最大の魅力なのです。
まとめ

冒険には、武器が必要だ!の主人公、こだわり鍛冶屋のルディの魅力をしゃべってみました。まだまだ自信と勢いが先行しすぎて、無鉄砲なところもありますが、それでもルディは少しずつ、着実に、最強の鍛冶屋に近づいています。まだまだ数少ないですが、ルディを認めてくれる人も増えてきています。初めは無名だった金物屋の変な子が立派な鍛冶師になっていく様子をこれからも暖かく見守っていきたいと思います。
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