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天国大魔境の人食いヒルコの正体を紹介!上仲園長や青島副園長企みも考察

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天国大魔境8巻が発売されましたけれど、それによってたくさんの謎が解き明かされてきました。

マルをキルコに託したミクラという女性の正体、ヒルコのルーツ、高原学園の子どもたち=ヒルコの確信、などなど。

ただし、代わりに新しい謎も出てきましたね。園長の企みや副園長の青島女史のこと、高原学園と復興省の関係も気になるところです。

と言うことで、今回は天国大魔境について、これまで明かされてきた事実や、まだまだ明かされていない謎について考察していきます。

天国大魔境(1) (アフタヌーンコミックス) 

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天国大魔境とは?

天国大魔境とは、地球全土を襲った未曽有の大災害を軸に、災害直前のとある外界から隔絶された施設である高原学園と、災害後15年が経ち文明がほぼ完全に壊滅してしまった日本。2つの時期の様子を交互に描くことで大災害の裏で起こった不可思議な謎が徐々に解き明かされていくという物語です。

高い塀に囲まれた高原学園では、学園以外世界を知らされないまま育てられている無垢な子どもたちがいました。けれど無垢だった子どもたちは少しずつ心が変化していき、また同時に学園内で次々と不可思議なことが起きていきます。内外様々な変化や出来事に動揺しながらも、子どもたちは日々を過ごしていました。

大災害後15年経った日本では、生き残った人たちは文明の残骸を頼りに細々と生活して、そんな中マルという少年とキルコという少女が、マルの保護者的な立場であったミクラという女性の頼みで、天国と呼ばれる場所を目指して旅をしていました。

けれども天国というワードと、マルによく似た人がいるという以外まったく手掛かりがなく、更にはヒルコと呼ばれる謎の怪物が日本中に様々なところに出没し、その旅はなかなか一筋縄ではいきません。

今回は、マルとキルコの旅の最大の障害である、ヒルコという怪物の正体について語っていきたいと思います。

人食いヒルコの正体について

ヒルコの正体は、高原学園で育っていた子どもたちです。登場する人食いヒルコすべてがネームドキャラではありませんけれど、ある程度は物語の中にちりばめられているヒントをもとに考察することが可能です。

宿屋の息子を食べた鳥型の人食いヒルコ→タカ(1巻登場)

作中で初めてマルとキルコが戦った人食いヒルコです。鳥の姿をしていて、鞭のようなものを振り回して、どんなものでもすっぱりと斬ってしまう能力を持っています。

このなんでも斬ってしまう能力は、タカの能力に非常によく似ています。1回斬る能力を使うと、二呼吸分くらいの時間能力を使えなくなることも一緒です(8巻以降のエピソードで、タカの能力にそういった制限があることが描写されていました)。

ただし、明確にこのヒルコがタカであると明示はされていません。確実ではないですね。

船を襲った魚型の人食いヒルコ→クク(2巻登場)

農園のあった場所から船で向こう岸まで渡る際に遭遇したヒルコです。手がたくさん生えている魚の姿をしていて、水のスーツをまとい、その水を高圧発射してきます。また壁や船体に張り付くことができます。

このヒルコの正体はククだと言われています。カエルのように手で壁にくっつく能力を持っているところが似ているほかに、予知ができるコナに、同じような姿の怪物の絵をもらっていました。また体に黒い斑点ができて死んでしまい、死んだあとは海に流してもらったことも分かっています。

不滅教団の地下の人食いヒルコ→オーム(3巻登場)

もはや生物の姿すら維持できていない人食いヒルコです。見つめた相手に幻覚を見せる能力を有しています。何の対処もできなければそのまま気を失うか死んでしまうほどの、強力な幻覚です。

これは5期生のオームであると言われています。オームもまた、人を死に至らしめるほどの強力な幻覚使いでした。またオームはミミヒメが大好きでしたけれど、怪物になりかけのミミヒメが治療を受けていたビルの地下にいたという点も、この人食いヒルコがオームであることを裏付けています。

天蓋の中の女性→ミミヒメ(4巻登場)

病を発症してしまい、発症した部位を切ることでなんとか人食いヒルコにならないように維持されていました。けれどもそれも限界に近付いているようです。一緒にいたのが宇佐美=シロだったため、ミミヒメで確定です。

壁の町の蜘蛛のような人食いヒルコ→ナナキ(5巻登場)

女性至上主義の壁の町の廃墟に生息している人食いヒルコで、周囲を凍らせる能力を有しています。

これはいつも女性同士でイチャイチャしていた2人のうちの1人、ナナキであると言われています。

壁の町に種豚として買われていた男性の子どもが、蜘蛛のヒルコと同じ能力を有したヒルコでした。となると、その男性が種を提供したのカップルのうちどちらかが蜘蛛の人食いヒルコになったことが推察されます。今のところ、高原学園においてあからさまに女性カップルでイチャイチャしていたのは、イワとナナキのカップルだけです。

咥えて、蜘蛛のヒルコが月をバックに佇む扉絵の窓枠が「ナナキ」に見えるというのも、この推察を裏付ける大きな要素となっています。

大濾過装置で女性と繋がっていた人食いヒルコ→不明(6巻登場)

誰なのかさっぱり分かりません。ヒントも少なすぎです。

稲崎露敏が人食いヒルコを使っていったい何をやっていたのか全く分かりませんけれど、下手をすればキルコもこうなってしまう可能性があったことを考えると、かなり怖いですね。

バリア持ちの人食いヒルコ→不明(7巻登場)

こちらも不明です。とりあえずこれまで、ビームを跳ね返す、あるいは攻撃を跳ね返す系の能力を持っている、高原学園のヒルコの描写はありません。モブヒルコかと思われます。

踊る規格外の大きさの人食いヒルコ→アンズ(8巻登場)

高原学園奈良施設へ向かう途中で遭遇した、巨大で、しかも動きも素早い人食いヒルコです。ただしキルコとマルを狙っているというわけではなく、単に踊っているだけのような動きだそうで、キルコとマルはただそれに巻き込まれただけの形になります。

その正体は、踊りの上手なアンズです。実は8巻以降のエピソードで、タカが、この人食いヒルコが乃亜=アンズであることを明言しています。

上仲園長は何を考えているのか…天国大魔境8巻でわかってきたこと

天国大魔境8巻では、特に上仲園長やその周辺についてわかったことが多かったように思います。その辺を考察していきます。

マルをキルコのもとに連れてきたミクラの正体

マルをキルコのもとに連れてきたミクラと言う女性が、高原学園の園長上仲詩乃であることが確定しました。

トキオの赤ちゃんを奪おうとしてトキオの硬質化に巻き込まれ、身動きが取れなくなってしまった上仲園長は、ちょうど高原学園が爆撃された際に頭を打って意識不明となった、ナタの体に脳を移植したとされています。実際にナタが意識を取り戻した際に、はじめは記憶がなかったものの、のちに記憶を取り戻してからは完全に上仲園長の意識がナタの体を支配していました。

ナタは脳外科手術後意識不明状態の間に自衛隊っぽい人たちの手で学園より救出され、のちに「三倉まなか」と名前を改名されていました。

上仲誌乃園長がやりたかったこと

「あめのぬぼこ」が来て世界に大異変が起きた時、ナタ(ミクラ)の体に入った上仲園長は、一緒にいたマコとサクヤに対して次のように話していました。

「おめでとうございます、地獄の時代は修復不能です。おめでとうございます、人類の時代は終わりました」

このことから、上仲園長はマコやサクヤたちヒルコを、人類に変わって地球の新人類になることを望んでいたことがわかります。またその丁寧な言葉遣いから、マコやサクヤたちヒルコを、人間よりも上位の存在として認識していることも推察できます。

以前から「天国を作る」みたいなことを言ってますから、ヒルコを天使のような存在に考えているのかもしれません。

あめのぬぼことは?

あめのぬぼことは、作中ではまだ漢字で出てきていませんけれど、恐らく「天沼矛」と書くと思われます。日本神話の国産みに登場する矛で、イザナギとイザナミが日本を作る際に、混沌をかき混ぜるのに使ったものです。

なお、古事記では「天沼矛」ですけれど、日本書紀では「天之瓊矛」と記されているそうです。

上記の通り世界の誕生の際に混沌をかき混ぜた矛です。上仲園長は、この隕石の衝突を「これまでの混沌とした世界の終わり」「ヒルコたちの新しい世界の始まり」と捉えていたのでしょうね。

マルが自分と同じ顔の人間に注射を打つとどうなるのか?

ミクラの遺言に従って、マルは「天国」にいるという「自分と同じ顔の人間」に会うために旅をしています。「自分と同じ顔の人間」に注射を打つ必要があるからです。けれどもなぜその注射を打たなければいけないのか、マルはまったく分かりません。遺言を残したミクラが上仲園長であることは分かったわけですけれど、では上仲園長はなぜそのようなことをマルに託したのでしょうか。

まず、マルと顔が同じ人間と言うのは、恐らくトキオの子どもかクローンのことでしょう。これはもう完全に推察でしかありませんけれど、マルはクローンの方ではないでしょうか。

高原学園で、トキオはコナとの子どもを出産しています。それを受けて、青島裕子は猿渡照彦と共謀して、トキオの子どものクローンを作りました。理由は恐らく、上仲園長を欺くためです。

当時80歳前後だった上仲園長は、トキオの子どもに脳移植をして自身の寿命を永らえるつもりでした。正確には、まず青島裕子に脳移植をして、トキオの子どもが脳移植できる年齢になった段階で2回目の脳移植をする予定だったようです。

自分自身に脳移植する予定だったことを青島裕子が知っていたかどうかは分かりませんけれど、ともかく上仲園長の企みを阻止する目的で、本来上仲園長が脳移植するはずのトキオの本当の子どもを守るために、その身代わりとしてクローンを作ったのではないかと考えられます。

さて、ではなぜマルがクローンなのかという話ですけれど。

まずマルが持たされている注射の中身が仮に病気の治療薬だった場合、その薬を自分自身に使わない理由がありません。上仲園長の脳が移植されたナタ(ミクラ)の体はすでに病気に侵されていましたので、注射の中身がその病気の薬であることは考えられないのです。上仲園長は何が何でも生きて天国をこの目で見たい、みたいなことを言っていましたので、他人のために自分の命を犠牲にするようなことはしないでしょう。

もちろん、ナタの体がかかってしまった病気以外の薬の可能性も否定はできませんけれど…。

それよりも、あの注射の中身はきっと、ヒルコ同士の子どもだからこそ意味のあるものなのではないかと思います。ヒルコの存在自体を変革してしまうような何かとか、あるいはその中に上仲園長の意識が入っていて、あれを注射すると上仲園長の意識に支配されてしまうとか。

さすがにこれは理論がぶっ飛びすぎですかね。

春希の脳を桐子に移植したのは猿渡で確定

春希の脳を桐子に移植した医者について、これまで医者としか語られてこなかったのが、6巻の稲崎露敏の言葉から迫田という人間であることがわかりました。

そして8巻にて、猿渡照彦は父と折り合いが悪いため母方の姓を名乗っていたことが分かります。本来の姓名は「迫田照彦」です。

もちろん偶然の一致という可能性も否定しきれませんけれど、顔の傷の場所が一致している点や脳移植できる技術を考えれば、春希の脳を桐子に移植した医者=猿渡(迫田)照彦であることはほぼ間違いないでしょう。

ヒルコのルーツ

今回の天国大魔境8巻で、ヒルコの気配と核を持ちながら、江戸時代から生きているという怪物の存在が明らかになりました。ヒルコとこの怪物が同種のものであると言う確証はありませんけれど、少なくともそういう人外のものというのは、確実に過去から存在していたというわけです。

またこの怪物を管理している一族についてもおかしい点が多く、絶対に何かある雰囲気を醸し出しています。今後必ずやキーになる部分と言えるでしょう。

怪物を管理している一族の村について

江戸時代からずっと怪物を封印しているという村の祠の入り口に描かれていた図形です。マルはこれを地図と勘違いしていましたけれどこれは家系図です。バツがついている黒丸が死んだ人かあるいは村からいなくなった人と考えればちょうど11人。そしてその祠を守る一族の村人の数もまた11人です。また黒丸が男、白丸が女だとすれば村人の男女の内訳とも一致します。

村では今まさに新しい命が産まれようとしていましたけれど、赤ちゃんが産まれてすぐおばあさんがインクを持って立ち上がり祠へ向かう描写がありました。これも恐らく家系図に印をつけに行ったのだと推察されます。

けれどもしこれが本当に家系図だとしたら、とにかく子孫を残すことに必死なんだなあという感じですね。今回赤ちゃんを出産したカナデさんは、すでに別な男の人と子どもを作っていることになりますし。

それと封印されていた怪物がかろうじて生きていると知った時のおばあさんの表情も、非常に興味深いものがあります。普通怪物が生きていると聞いたら恐怖するのではないでしょうか。それが、どちらかと言うと嬉しさを押し殺すような表情をしているのです。ここに封印されている怪物を使って、何かしら企んでいると見ていいのではないでしょうか。

おばあさんは「ちのこどく」が生きがいとも言っていましたけれどこれも気になるワードです。キルコは大地の地と独りきりの蟲毒と勝手に勘違いしていましたけれど、これはどちらかと言うと血液の血に呪術の蟲毒でしょう。

蟲毒とは蛇や百足などの虫を同じ容器に入れて共食いさせ勝ち残ったものを祀り、その毒を採取して使用する古代中国の呪術のことです。この毒を使って人を殺したりそれによって富を得たりしていたのだとか。

もしこのセリフの「こどく」が呪術の「蟲毒」なのだとしたら、このおばあさんは若い男女をこの小さな村に閉じ込めて果たしてどんな呪いを成就させようとしているのでしょうか。一節ではとにかく近しい親族間で子どもを産ませてることで血を濃くしていき、その結果が高原学園の子どもであり、その成れの果てがヒルコなのではないかとも言われています。

そういえば高原学園の園長上仲誌乃とこのおばあさんはどことなく似ているように見えます。親戚かあるいは兄妹か。真相が明らかになるのもそう遠くないかもしれませんよ。

青島裕子は何者か?

高原学園の副園長となった青島裕子ですけれど、どうやら高原学園の最大のスポンサーである大手自動車メーカー社長、今永美咲の娘、今永美月であることが分かりました。そしてこれが判明した時点で、ミクラ(上仲園長)は「気付きましたよ、あんたの目的に」と独りごちていました。

当の青島裕子(今永美月)はと言うと、副園長権限が与えられた時点で、園長に隠れて高原学園の中枢について調べていたり、爆撃があった際には誰かにその理由などを電話で確認していました。そして上仲園長に反旗を翻す際にも、誰かからの支持であることを語っていました。このことから、青島裕子(今永美月)はスパイであることは間違いないでしょう。

1番可能性が高いのは当然、スポンサーである今永美咲のスパイです。今永美咲は何かを期待して出資していたのに、その成果が見えてこない、その成果が疑わしいという理由から、青島裕子を潜入させていたというわけです。

実際に青島裕子(今永美月)は上仲園長を欺き、高原学園の子どもたちを脱出させる計画を立てていましたし…。ただ単に倫理的な理由で上仲園長を子どもたちを脱出させた可能性もありますけれど、裏にもっと大きな陰謀があるような気もしますね。高原学園が作り出した子どもたち=ヒルコを奪うつもりだったとか?

トキオを知る謎の人物たち

奈良の復興省にはトキオを知る人物がいました。マルとキルコが町に近づいた際に上のようなセリフを言っているようなのですけれど、トキオと同じ顔をしたマルが町に来る未来を見てそんなことを言ったのか、あるいはテレパシー的な何かで感じたのか、どちらにせよヒルコである可能性は非常に高いでしょう。

トキオをよく知る1~3期生の中でまだ生きている可能性がある人物というともうコナくらいしか残っていないのですけれど、コナがああいう言い方をするとは思えません。となると、「以前ここ(奈良の復興省=高原学園奈良施設)にトキオがいた可能性」の方が高いかもしれませんね。

いずれにせよまだしばらくこの奈良の復興省には滞在することになるでしょうから、今後の展開に期待ですね。

天国大魔境の人食いヒルコの正体を紹介!上仲園長や青島副園長企みも考察のまとめ


それでも町は廻っている(1) (ヤングキングコミックス)

天国大魔境の作者、石黒正数氏の作品は、非常にきれいな伏線を張り巡らせることで知られています。同氏の代表作「それでも町は廻っている」もまた、非常にきれいな伏線が綿密に張り巡らされている作品でした。

とあるメイドカフェに勤める(笑)女子高生と商店街を中心とした日常を描く物語でしたけれど、時系列がぐちゃぐちゃな状態でエピソードが連なっていて、読者にそれを考察させるというものでした。そして時系列順に並べた時、商店街に起こった様々な奇怪な出来事が見えてくるのです。

この「天国大魔境」もまた、謎が一つ一つ解き明かされていく過程が非常に丁寧に描かれていて、とても興奮します。何度も何度も読み返して、そのたびにいろいろな発見があります。ぜひこれからも楽しみにしていきたいと思います。

コメント

  1. クローン人間と言えば、昭和30年代の手塚治虫の作品「白いパイロット」を思い出す。創刊間もない頃の少年サンデーに連載されていた。物語のテーマがクローン人間だということは最後になってやっとわかった。主人公とラスボスである王子のいずれかがクローンなのだが、クローンには悲惨な運命が待ち構えている。天国大魔境の作者がこの手塚作品を読んでいることは間違いないが最後のシーンは違うよね。

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