こんにちは。今回は「魔女と傭兵」について、内容や登場キャラなどを紹介したいと思います。
それぞれ血生臭い生き方をしてきた魔女と傭兵が、これまで生きてきた場所から完全に隔絶された、常識がまったく異なる「新大陸」にて、ともに新しい生き方を模索していくというお話です。
突如投入された異物が、新しい世界で既存の価値観をぶち壊しながら生き方を模索していくというお話の構造は、ともすれば異世界転生もの、あるいは異世界転移ものと言っても差し支えないかもしれません。他とはちょっと違う「異世界モノ」として、魔女と傭兵はとっても見応えのある漫画です。
魔女と傭兵のあらすじ

傭兵のジグ=クレインはとある領主の息子によって集められた200人近い討伐隊に参加していました。けれど討伐隊は討伐対象である魔女の反撃を受け無惨にも壊滅。ジグはたった1人で魔女を追い詰めるも、雇い主が死んでしまったことで討伐を中断。そこで、命を狙われるたびに返り討ちにする生活に嫌気がさした魔女の依頼により、魔女の護衛をすることになります。
ただし今自分たちがいる大陸では魔女であるだけですぐに命を狙われてしまう。ならば今までまったく交流のなかった新大陸に行こう!となり、2人は新大陸へ渡り、そこで新たな生活の基盤を築いていくことになります。

新大陸では誰もが普通に魔法を使うことができ、魔女であること、魔法が使えることで社会から排斥されることはありません。ただし旧大陸には存在しなかった魔獣が存在し、そのために国家間の戦争はほぼ皆無。これまで傭兵として生きてきたジグには少し生きづらい場所でもありました。

特に、「お金さえもらえ、犯罪でなければどんな依頼も受ける」「依頼次第では敵にも味方にもなる」こういった、旧大陸ではジグにとって当たり前だったスタンスは周囲には理解されづらく、色々と誤解を受けたり非難を浴びたりもします。それでも絶対に何がなんでも自分の信念を曲げず、どんな障害でもとにかく腕一本で切り抜ける豪快さはとても爽快です。
魔女と傭兵のメインの登場キャラ、ジグとシアーシャ
魔女と傭兵というタイトル通り、物語は傭兵のジグと魔女のシアーシャが中心となって回ります。今回はそんな2人の中心人物、ジグとシアーシャについてお話ししたいと思います。
ジグ=クレイン

双刃の大剣を相棒とする筋骨隆々とした傭兵で、とにかくものすごく強いです。旧大陸においても、魔女討伐で集められた正規兵や傭兵たちがことごとく魔女にやられる中、1人生き残り魔女を追い詰めていました。
また新大陸では、少なくとも冒険者ランクCくらいまでなら、3人同時にかかられても1人で凌げるくらいの実力があります。新大陸に渡ってからはハリアンという町を拠点にするのですけれど、恐らくバリアンでジグに敵う人はいないのではないでしょうか。

旧大陸同様新大陸でも傭兵として働こうとしたものの、目立った戦争が起きていない新大陸では傭兵という存在自体がチンピラの代名詞のようなもので、当初はだいぶ白い目で見られていました。けれども魔女のシアーシャに付き添い冒険者の仕事を手伝ったり、要らぬ疑いをかけられた時は実力でねじ伏せたりと、徐々にその存在感を示していきます。

なお、とてもゴツい顔をしていますけれど、年齢は26歳と若め。なのにその落ち着きぶりは、まるで40歳くらいの歴戦の戦士のようです。人間関係に対する、お金次第で敵にも味方にもなるといった割り切り方や、シアーシャが所属する冒険者のギルドに対して一歩引いて冷めた目で見ている態度などが、そのように見える所以なのだと思います。
なお、シアーシャは某賢者としてギルドに登録しますけれど、ジグはあくまでもシアーシャに雇われているという立場を取っており、冒険者にはならず、あくまでも「冒険者シアーシャの協力者」として冒険に参加しています。

ジグは、誰かが魔術を使おうとするところを匂いで感じ取ることができます。画像はシアーシャが魔術を使おうとした一瞬前、妙な匂いに胸騒ぎがした場面です。このおかげで、ジグはシアーシャの使用する超広範囲一撃必殺の魔術を躱すことができました。どうやらこの匂いを感知する能力はジグ特有のもののようで、旧大陸はおろか新大陸においてのような特技を有する存在はありませんでした。

情報屋に事情を聞かれた時のジグの反応です。指弾で銀貨を飛ばして相手のコップに穴を開け、深入りすれば命はないと脅しました。割と旧知の仲のようでしたけれど、依頼主のプライバシーを守るためなら親しい間柄でもきっちりと締める性格がよくわかります。

「人間社会で生きていくうえで大事なのは、敵を作らないことと、味方を作ることだ」
相当の実力者であり、これまで数多くの討伐隊を葬ってきた魔女すら敵わないほどの戦闘力を持っているにも関わらず、このような地に足のついたようなことを言うのは意外でした。ただ考えてもみると、ジグは傭兵としてずっと、様々な集団の中で生きてきたわけです。相対する敵よりもずっとそばにいる味方の方が恐ろしいと言うことを実感しているのかもしれません。

相席を求める見ず知らずの相手に何の躊躇いもなく下剤入りの飲み物を差し出すジグの姿です。いきなり話しかけてきた不審者ということでの対応なのでしょうけれど、まさかこうも自然に一服盛るというのは、さすがに相手も、そして読者にとっても予想外だったと思います。ただならぬ雰囲気を感じ取ったということなのでしょうけれど、そして実際に相当の実力者でもありましたけれど、相手は別に敵意も何もなかったのですから。ジグの警戒心と思い切りの良さは尋常ではありませんでした。

ジグは間諜の真似事も得意なようです。街に住むにあたって裏の事情についても知っておきたいと、末端の違法な薬屋から、マフィアの拠点の1つをあっさりと見つけてしまいました。しかも普通にこういうのをさらっとやってしまうあたりが、さっぱり若くないんですよねえ。

勘違いで襲ってきた相手を返り討ちにしたジグ。その落とし前として、護衛依頼の対象であるシアーシャに絶対に手を出さないことを誓わせます。相手方はそんなことでいいのかと尋ねるも、ジグはそこに念を押すのでした。
「何があろうと絶対に手を出すなといってるんだ。そんなことなんて思ってもらっては困るな」と。そして氏族に誓って手を出さないと約束した相手に、もし約束が破られたならその氏族を滅ぼすとまで言ってのけるのです。
やると言ったら必ずやる、そんな凄みがジグには備わっているのでした。
それにしても、体すごいですね。

ジグは綺麗好きのようです。傭兵というとわりかし汚いままでも気にしないというイメージがありますけれど、そこは根っからの戦士であるジグ。不潔であることの健康に対するデメリットなどをちゃんと理解しているようです。また身綺麗にしておくことで受けられる依頼も増えるのだとか。仕事に対するストイックさが滲み出ています。

新大陸にて、旧大陸時代の知り合いとまさかの再開を果たすジグ。けれどもその知り合いは、ジグが護衛している魔女に対する忌避感を捨てることができませんでした。何としてでも、ジグ叩き伏せてでもジグを説得して魔女を殺したい知り合いと、その魔女を護衛するジグ。魔女である、ただその1点において、その知り合いはジグとは決して相容ることができなかったのです。
そして護衛対象にとって危険な存在を、護衛しているジグは見過ごすことができませんでした。たとえそれが、幼い頃にとても世話になっていた先輩だったとしても。

一度は死闘を繰り広げたものの、今は気軽に冗談を交えながら話をするようになった相手。その歩く後ろ姿をじっと見ていたところ、シアーシャに「好みなのか?」と指摘されました。けれどもジグとしては、その歩幅を確認していたようです。
たとえ酒を飲み交わそうとも、背中を預けて戦場を渡り歩こうとも、それが刃を交えない理由にはならない、とのこと。
どれだけ仲良くなろうとも明日は敵かもしれない、そんなジグの覚悟が見え隠れしますね。

知り合いとの食事の場、余所者だからと虫を調理した食事を出されたジグは、特に気にすることもなくそれをむしゃむしゃと食べてしまいます。美味しいぞ?と。何でも、戦場でろくに食事も取れない時は、その辺で捕まえた虫を生で食べて飢えを凌いだこともあるのだとか。同席者や、メニューを出した張本人さえドン引きしていましたけれど、ジグにとっては何もおかしいことはないようです。

一族からは「殺しを楽しんでいる」と忌諱されている人物を、ジグはむしろ評価していました。殺しを仕事することで、内にある衝動とうまく付き合っている、と。
危険な爆弾があるとするならば、それを持たすのは理解のない素人よりも、仕組みも構造も理解しているマッドサイエンティストの方がいい、という感じでしょうか。殺し屋を肯定することは一般人には理解しづらいですけれど、死が常に身近だったジグにとってはそれは鞘に収まった切れ味の鋭い刀のようなものなのかもしれません。
シアーシャ

旧大陸にて数多くの討伐隊を壊滅させてきた魔女です。けれども他の魔女のように報復に動くことはなく、積極的に関わらなければそれほど害はないことから、沈黙の魔女と呼ばれていたようです。
主に大地を操る魔術を使用し、地面から鋭い錐を出現させて相手を串刺しにしたり、瞬時に大地からゴーレムを作り出して敵を薙ぎ払ったり、あるいは無数の岩を操って広範囲に降らせるなどの攻撃を行います。

旧大陸と違い新大陸では魔術が普及していますけれど、それでもシアーシャの使用する魔術はスピードも威力も段違いで、またどれだけ使用しても尽きない魔力は普通の人間のキャパシティを大きく超えています。つまり、新大陸においても規格外ということです。
初登場時は全てに絶望したような顔で討伐隊を壊滅させていましたけれど、ジグに護衛の依頼を受けてもらってからは、これまでがまるで嘘のように明るくなっています。元来の性格もですけれど、護衛してもらい、かつ新大陸に渡ったことで、無駄に命を狙われる危険が減ったからではないかと思われます。

美人で人当たりも良く、また魔術の腕も相当なことから、多くの冒険者パーティーから仲間加入を熱望されているようですけれど、いつもそばにジグがいるから仲間に誘うことができないようです。
魔術が当たり前の世界ということで、旧大陸の頃のように魔術を隠す必要がなくなったことから、その力を活かして冒険者とし活動を開始します。

シアーシャの得意技、地面から瞬時に錐を出現させて、その範囲内の敵を全て串刺しにしてしまう魔術です。討伐隊のほとんどはこの魔術によって一瞬で壊滅させられてしまいました。魔術の匂いを敏感に感じ取ることができるジグだったからこそ、何とか紙一重で躱すことができました。

ジグに護衛を引き受けてもらい、新大陸へ渡る船の中、シアーシャはとても楽しそうでした。誰かに自分のことを聞かれるのが初めてなのだとか。推定200歳以上の魔女ですけれど、これまで200年ほとんど誰ともこういう話をしてこなかったのかと思うと、若干不憫に感じます。またそれと同時に、200人近い討伐隊を一瞬でほぼ壊滅させられる力がありながら、こんな顔をするんだなとかわいらしく思えてしまいます。

見ず知らずの人に親切にされてのこの顔です。親切にされ慣れていないようです。新大陸では旧大陸と違い、魔術は全く珍しいものではありません。さらに、何かあったときには必ずジグが前に立ってシアーシャを庇ってくれるので、シアーシャは普通の女性として振る舞うことができます。

新しいことを始めるワクワク感も、人と触れ合って得られる好意も、シアーシャにとっては全てが初めての経験です。そんな初々しさのようなものを読者は思う存分堪能できるというわけです。

山盛りアイスに目を輝かせるシアーシャ。普通にかわいいです。これで推定200歳以上なんですよね。魔女というものは根本的に人間とは違うようです。

冒険者ギルドの資料室に感動しています。魔術に関する蔵書についてはかなり興味津々な様子です。圧倒的な魔力を持ち、おそらく普通の人間には到底辿り着けない高みにいる魔女のシアーシャですけれど、それでも人間の扱う魔術の技術には驚きを隠せないのだとか。
何でも、少ない魔力でいかに効率よく成果を出すかということにかけては、シアーシャにはまったくないものなのだそうです。力があるが故に疎かにしていた部分、ということですね。そしてこの事実は、逆に言えば、シアーシャがまだまだ強くなることを示しています。先の戦いではジグが勝ちましたけれど、次に戦うとなったら、その結果は違うものになるかもしれません。

同じ魔獣ばかり狩っていて飽きたというシアーシャに、ジグは新しい服を買いに行くことを提案します。気分転換のようなものですね。「ジグさんは私が着飾ってる方がいいですか?」というしアーシャの問いにジグが肯定すると、シアーシャは嬉しそうな顔を見せました。まあ、惚れているというよりは依存しているに近いかもしれませんね。

そして選んだ服をじぐに褒められてめちゃくちゃいい笑顔でした。むしろこれで手を出さないジグは偉いと思います。

ジグはシアーシャと違って冒険者としてギルドに登録していません。あくまでも手伝い、というか実力のあるシアーシャの荷物持ち、金魚のフン程度でしか思っていない人も多いようです。そしてそのような認識を持った人たちは、何かの折にジグを貶します。女の後を付き纏うだけの腰抜け、と。
で、その度にシアーシャが怒り狂うのです。毎回やんわりとジグに止められるのですけれど、これで止めていなかったら、やはり討伐隊の時のようなことになってしまうような気がします。

ジグが知り合いと年齢の話をしていました。ジグ26歳に全然見えない、もっとおじさんだと思っていた、という話です。そしてその横で全く口を挟めないシアーシャ。なにせ推定200歳以上ですからね。

大量の魔物を討伐する合同任務の際、他の冒険者たちが疲労困憊なのに対して、シアーシャは全然そんなそぶりもありませんでした。誰よりも1番魔術を使って、誰よりも魔物を討伐していたにも関わらず、です。普通なら疲れてすぐにでもベッドに直行するところ、夕ご飯のことばかり気にしていましたからね。魔力が他の人間とは段違いに高いことが分かります。

遠征中、テントの中からシアーシャがジグを呼びだすのですけれど、その理由が、背中を拭いてほしいと言うものでした。濡れた布のようなもので体をキレイにする、それはいいのですけれど、背中に手が届かないからとジグにそれを頼むのはちょっとどうかと思いますね。なにせ背中を拭いてもらおうと思ったら、当然背中をはだけさせなければいけないわけですから。
まとめ

傭兵のジグも魔女のシアーシャも、新大陸の住人からすると相当の異物で、けれどもそんな2人が少しずつ周囲と調整しながら、あるいは自身の能力をしっかりと誇示しながら、自分たちの居場所を作っていくという魔女と傭兵。討伐隊を容赦なくぶちのめしていた魔女がジグにめちゃくちゃ懐いているのを見るのはなんかかわいいですし、あとジグの敵に対する容赦ない感じも、見ていてとてもスカッとします。是非是非皆さんも読んでみてくださいね。
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