葬送のフリーレン漫画11巻の感想です。なんでも黄金に変える魔法を操り、どんな強敵をも一瞬で倒して来た最強の魔族、七崩賢黄金郷のマハト。そしてそのマハトすら上回るほどの力を持ちながら人類に知られず、というか知る人間全てを葬って来た魔族ソリテール。この歩く絶望コンビに対して、フリーレンは一級魔法使いデンケンとともに挑みます。
‥‥‥‥この戦いを見て思ったのがですね、フリーレンって実は意外と強くないなってことなんですよ。いやもちろん魔力量も技術も一流であることに変わりないんでしょうけれど。
今回はそんな葬送のフリーレン漫画11巻の感想とともに、フリーレンの本来の実力についても考えてみたいと思います。
マハトとソリテールがとにかく強すぎる
漫画11巻で戦う魔族2体、マハトとソリテールがとにかく強すぎでした。これまでフリーレンは、同格なはずの魔族、七崩賢のクヴァールやアウラといった強敵と戦って来ましたけれど、そこまで苦戦した描写はありませんでした。
アウラに対しては相手の油断を誘いつつその特殊能力を逆手に取った戦略で、クヴァールに至ってはクヴァール自らが開発した魔法によっていともあっさりと、フリーレンによって倒されていました。正直七崩賢とかマジで大したことないんじゃないのってくらいに簡単だったんですよね。けれども今回戦いで、その認識が大いなる間違いであることに気付かされました。
マハトの実力とデンケン
マハトの最強たる所以とは、「黄金郷の」というその二つ名の通りなんでも黄金に変えてしまう魔法にある訳なのですけれど、今回の戦いにてそれだけではないことが判明しました。最終的にマハトの黄金に変える魔法はフリーレンに解析されて、フリーレンにもデンケンにも通用しなくなってしまいます。
けれどもマハトにとってはそんなこと全然構わなかったんですよね。相手を黄金に変えることができないと分かった後、マハトはとにかく大質量の黄金をとにかく相手にぶつけてくるというとんでもない力技を見せつけて来ました。一級魔法使い試験の時にも少し話がありましたけれど、基本、魔法の防御障壁はとにかく質量的な攻撃には弱いというか、強力な物理攻撃を相手に防ぎ切れないという欠点があって、マハトの黄金をぶつけてくる魔法とはまさにそういう魔法な訳です。
結局のところそんなマハトと対等に戦うには、相手が魔法を出してくるタイミングを見計らってうまく避ける以外に方法がない訳なのですよ。魔法使い同士の戦いなのに、完全に肉弾戦のような様相を呈していたのです。
それにしても。最終的にマハトの相手はデンケンが務めることになったのですけれど、デンケンもそこそこいいおじいちゃんな年齢なのによう反応するもんだと感心してしまいました。まあデンケンの場合、子どもの頃にはマハトから魔法を学んでいた訳で、魔法を使う癖とか、そういうのある程度感覚として覚えていたというのもアドバンテージではあったのでしょうけれど。ほんと奇をてらわない真っ向勝負という感じで、凄まじい攻防が繰り広げられました。
ただそんな戦いの最後は意外と呆気ないものでしたけどね。デンケンをボッコボコのボロボロにして勝負ついたと思った矢先に黄金郷の呪いが解けて、マハトが「あれおかしいな?」って意識を逸らした隙にデンケンにゾルトラークぶっ放されて、その胸板に大きな穴を開けられてやられてしまうので。別な場所でソリテールと戦っていたフリーレンが黄金郷の呪いを解析して、黄金郷の呪いを解いたのです。
ソリテールとフリーレン
マハトの相手をデンケンが務めることになったとすれば、やはりソリテールの相手はフリーレンになる訳ですけれど、こちらもまた見応えのある戦いでした。そもそもフリーレンの対魔族の強さというのは、相手に自分の実力を誤認させて油断しているところを吹っ飛ばすというものでした。
けれどソリテールはフリーレンと戦うことをだいぶ前から研究していて油断がなかったですし、その上七崩賢並みにかそれ以上の強さを持っていて、今までみたいにあっさり倒すってことがまずありえないという戦いだったんですよね。最終的にはフリーレンが勝ちましたけれど、結局倒せたのは、魔力感知すらできないくらい遠方からフェルンが狙撃したからですしね。
この遠くから狙い撃ちっていうの、フェルンの必殺技みたいな扱いになってるんでしょうか。ちょっと前にも全く同じようにして強力な魔族を屠っていましたからね。
フリーレンが強いのは相手を騙しているから
先にも少し述べましたけれど、フリーレンが強いのは、あくまでも相手に自分の力を隠しているからなんだそうです。すごい魔力を持っているのに普段からそれを極力絞っていて、相手に格下だと思わせて、その隙をついて相手をやっつけるっていうのがフリーレンの、正確に言えばフリーレンの師匠が教えた対魔族戦法です。七崩賢アウラも、まさにその戦法にまんまとハマってあっさりやっつけられた訳ですよね。
逆に言うと、もしフリーレンがはじめから自分の本来の魔力量を見せていたら、アウラだって、もしかしたらクヴァールだって、もっとそれなりの戦い方を見せて、フリーレンはもっと苦戦していたかもしれません。いや絶対苦戦していたと思います。フリーレン自ら言ってましたもんね。アウラがもしこちらの力を見誤らないでとにかく物量で攻めてきたら危なかったって。
あと一級魔法使い試験でもフリーレンの弱点が顕になっていました。どうやら魔法を使う一瞬、魔力探知が途切れるんだそう。見習い魔法使いがよくするミスらしいのですけれど。つまりフリーレンは、確かに強い力を持ってはいるものの、魔法を使うにあたっては爪が甘いところがあるということです。もし本当に実力を持った相手と戦う場合、それはきっと致命的な隙になるのでしょう。
フリーレンは過去11人、自分より力の弱い魔法使いに負けたことがあると言っていました。人間が6人、魔族が4人、エルフが1人。純粋に魔力がフリーレンよりも低かったとしてもつけいる隙があるということですね。
それでも生き残るフリーレン
けれども実際にフリーレンは今日までずっと生き残っています。フリーレンが負けた11人とどんな戦いをしたのか分かりませんけれど、少なくとも負けたからといって死んだ訳ではありません。またマハトとも過去に一度戦って敗走していますけれど、ちゃんと逃げ延びて、なんでも黄金に変える魔法の解析に成功しています。
考えてみれば、魔族たちは皆生き残るために、空虚な言葉を弄して人間を騙そうと必死です。人間だって相手の裏をかくために、次々と新しい魔法を開発しています。各魔法使いたちのそういった策や努力や積み重ねだって強さの一部ですよね。だとしたら、自身の一生を「魔族を騙すために魔力を制御すること」に費やしているフリーレンだって、その努力もまた強さの一部であることには疑いようはないかもしれませんね。なにより、フリーレンは生き残っている訳ですし。
油断を誘うのも強さのうち
まず前提として、フリーレンが力のある魔法使いであることには違いありません。七崩賢アウラと単純な魔力量の比較では完全にフリーレンのほうが強かった訳ですから。ただしお互いが手の内を見せ合って全力を出し切った戦いをするとなるとフリーレンの分が悪いことも多々ある、という感じでしょうか。アウラ然り、ソリテール然り。
けれども戦いにおける強さって結局そういうんじゃないでしょうからね。仲間がいて、隠し球があって、切り札があって、そういうの全部含めて生き残れる力が強さだという考えでいいんじゃないかなと思います。だとすれば、千年以上も魔族と戦って来たフリーレンは確かに最強の魔法使いと言っても過言ではないでしょう。魔王を倒し、アウラの軍勢を制し、黄金郷を解放した魔法使いフリーレン。今後もすっごい活躍をしてくれるのを期待したいと思います。
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