スパイファミリーに登場する犬のボンド、頭いいですしかわいいですよね。あの犬、なんという犬種なんでしょう。実際現実にいる犬なんでしょうか。それとボンドをはじめとして、スパイファミリー単行本4巻に登場する様々な実験を受けていた犬たちの「プロジェクト<アップル>」とはどのようなモノなのでしょうか。
今回はそのあたりに焦点を当てて考察していきます。
スパイファミリーの犬ボンドについて
まずはスパイファミリーのフォージャー家に加入するモフモフの犬、ボンドについてです。
犬種とその性質
スパイファミリー4巻の裏表紙「犬さん誕生秘話」に、「作者は犬種を特に決めていないようだが、グレートピレニーズという犬を見ながら書いているらしいぞ」と記載があります。よくピレネー犬と呼ばれる犬種ですね。
かつてマリー・アントワネットの護衛犬として活躍したという話は、犬好きの間ではそこそこ有名な話なんだとか。なお、その昔には、スペインとフランスの国境に連なるピレネー山脈で、牧羊犬や番犬として飼育されていた犬種です。
性質は、結構警戒心が強いらしく、知らない人が不用意に近づくと攻撃心をむき出しにすることも多いそうです。頑固な性格もあり、なかなかしつけも入らないようで、根気が必要です。
またその見た目通り、毛の量が半端ではなく、その分抜け毛も相当量になります。毎日のブラッシングは欠かせないでしょう。
こうして実際に調べてみると、スパイファミリーに登場する犬のボンドは、普通のグレートピレニーズに比べればかなり優しい性格をしているようですね。
一般的に、幼いころより人から厳しい扱いを受けてきた犬は凶暴になる傾向があります。フォージャー家に来るまで散々ひどい目に合ってきたにもかかわらず、ここまでおとなしいのは、持って生まれた性格なのか、それとも持っている特殊能力ゆえなのか。
何にせよ、よい家族に巡り合えたことは、ボンドにとっても、そしてフォージャー家にとっても、幸運なことだったと言えるでしょう。
家族になった経緯
初めて学校でスターをとれたご褒美と言うことで、アーニャは犬を飼わせてもらうことになりました。けれども、ペットショップではお気に入りが見つからず(というか軍用犬ばかりでかわいくなかったのですが)、保護センターの譲渡会まで足を運ぶことに。
そこでアーニャはモフモフな犬と運命的な出会いを果たします。と言っても、モフモフの犬は譲渡会で展示されている犬ではありませんでした。メガネ顎髭のあんちゃんに連れられているところを、ちらっと見かけただけです。
ただし、そのちらっと見かけた際に、アーニャはその犬の思考を読んでいました。モフモフの犬は、アーニャをちらっと見て、なぜかアーニャの家と、ロイドとヨルを思い浮かべていたのです。
不思議に思いそのモフモフを追いかけたところ、アーニャはその犬の持ち主が、国の行く末を揺るがす大事件を企てていることを知ってしまいます。アーニャはそのモフモフと協力して、その企みを阻止するために奔走するのです。
そして事件解決後、モフモフをいたく気に入ったアーニャの必死のわがままにより、ボンドと名付けられて、フォージャー家に迎え入れられるようになったのです。
予知能力
アーニャと初めて会った際に、モフモフの犬はアーニャの家族のことを考えていました。初めて会った人間の父と母の顔を知っているなど、通常ではありえないことです。けれどもこのモフモフの犬には、ある特殊能力がありました。それが、予知能力です。
この予知能力はどうやら映像を予知できるような能力のようです。実際にアーニャに出会ったときに思い浮かべた映像は、ちょうどモフモフの犬がフォージャー家に迎え入れられた日、「アーニャんちへ、いらさいませ、いぬさん!」という場面でした。
他にも、ちょうど時計塔が爆発する瞬間の映像を見たり、アーニャの父ロイドがその爆発によって巻き込まれてしまう映像も見ていました(そのおかげで事件が穏便に済んだので大手柄です)。
ただしその映像の意味するところまでは分からないようで、例えばヨルが泣いている映像を見ても、それが悲し泣きなのかうれし泣きなのかまでは判別ができないのです。そのため、予知能力の映像を読んでしまうアーニャに余計な誤解を与えてしまうこともあるようです。
プロジェクト<アップル>について-
スパイファミリーのフォージャー家に迎え入れられる犬、ボンドの予知能力は、プロジェクト<アップル>によるものです。ここからはそんなプロジェクト<アップル>についての紹介です。
プロジェクトの概要
かつて西国(ウェスタリス)と東国(オスタニア)が戦争していた頃、東国旧政権下において、軍事目的でIQの恐ろしく高い動物を生み出そうとしていた研究のことを、プロジェクト<アップル>と言います。
かなり無茶な実験を繰り返していたようですが、研究半ばで東国旧政権が崩壊してしまったため、計画が頓挫してしまい、結局は目立った成果を残すことができなかったとされています。
ボンドの回想でしかその実験について触れられていませんが、薬を投与したり電流を流したりしていたようですね。
ちなみに旧政権とは、ダミアンの父ドノバン・デズモンドが総裁を務める国家統一党のことだと思われます。戦争が終わってからは野党となってしまいましたが、戦時中は政権を握っていました。つまりプロジェクト<アップル>は、まあ直接ドノバンの指示ではないにせよ、ドノバンの勢力によって計画・実行されていたプロジェクトなのです。
そして計画が頓挫したとありますが、実際に登場した犬たち(ボンドも含めてですが)、非常に賢い様子が見られていました。ボンドに限っていえば、子どもが事故に遭う予知をしたので、それをさりげなく助けたり、テロリストに捕まってしまったアーニャを助けるために、一瞬のスキをついて脱出する計画を立てたり、与えられた予知能力をしっかりと活かす行動をとっているのです。
予知の映像を見て、それが今後起こりうるどんな現象によるものなのかを正確に把握し、目的のためにそれがどのように自分たちの状況に作用するかを検証するという、よほど知能が発達した動物でなければできない思考回路です。
予知能力が果たして、プロジェクト<アップル>によって与えられた能力か、それとももともとそういう能力を持っていたかどうかは分かりませんが、少なくともIQを爆上げするという目的は、しっかりと達成しているプロジェクトであったと言えるでしょう。
そのやり方は最低と言わざるを得ませんが。
犬の軍事利用について
まず戦争で使えるのかと言うことであるなら、それはYESと言っていいでしょう。
実際にベトナム戦争では数千頭の犬が地雷などの爆発物検知のために動員されていたり(とは言っても、終戦後帰国できたのは200頭程度とも言われているので、使い捨てられていた可能性もありますが)、ほかにも警備や哨戒、負傷兵の捜索などでも役に立っていると言われています。
また近年はなくなっているようですが、かつては犬に敵兵を直接攻撃させるという扱い方もあったようです(第二次世界大戦では、米軍において、日本人だけを殺傷するよう訓練をしていたこともあったのだとか)。古代では首輪に刃物をつけて敵軍に突撃させるということも行われていたと言われています。
また他に、背嚢に文書を入れて伝令の役割を与えられたり、第一次世界大戦のころには、武器や弾薬を陣地に運ばせる役割の軍用犬もいたと言われています。
こうして考えてみると、犬の知能を極限まで上げて戦争に利用しようというのは、決しておかしい話ではないのかもしれません。
少なくとも、ボンドなら伝令や輸送の役割くらいならしっかりとこなせそうですし、もう少し複雑な命令…例えば「この目的のために、自分で考えて行動しろ」という命令にさえ、期待に応えてくれそうです。
プロジェクト<アップル>は何をするつもりだったのか
実は軍用犬は、時代が進むにつれて、その役割をどんどん減らしていると言われています。過去には敵兵を攻撃する用に訓練されていた歴史もありましたが、銃火器が発達した現在ではその必要性も少なくなってきました。
また砲撃の轟音に弱いこともあり、銃火器が主体の戦場においては役に立たなくなってしまうこともしばしばあったようです。
もちろん、今でも地雷の探索や人命救助では非常に大きな役割を果たしますが、それは特別IQを上げずともできることです。
では何に使うのか。
これはズバリ、暗殺ではないかと考えられます。目標を理解させ、それを殺すために、自分で考えて行動しろと命令を与えるわけです。普通よりも頭の良くなった犬は、そのミッションの成功のために、自分がどんな行動をとればいいのかを自分で判断して行動することができます。
多少行動が怪しかっとしても、野良犬として見逃されるケースの方が多いような気がしますし(少なくとも人間が暗殺のために対象の周りをうろうろしているよりは目立たないでしょう)、そして万が一捕まったとしても、その犬から作戦が漏れることは決してありません。しゃべることができないわけですから、自白剤も聞きませんし。
本来人しかできないようなことを、よりローリスクで実行できて、しかも万が一失ってもそこまで惜しくない。そういう暗殺者を育成するプロジェクトだったのではないかと推察されるのです。
スパイファミリーの犬ボンドとプロジェクト<アップル>のまとめ
色々書きましたが、とりあえず、スパイファミリーの犬ボンドはかわいいのです。ボンドにくるまって寝るアーニャの姿など、天使と言っても過言ではないでしょう。
家族になった後も、ボンドはちょくちょく活躍はしてくれますが、基本的にはマスコット扱いです。ぜひともこれからも、その可愛さを存分に発揮してもらいたいものですね。
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