葬送のフリーレンの6巻がもうすぐ発売です。1級魔法使いになるための二次試験の内容が発表されたところですが、果たしてどんな試験内容なんでしょうかね。
というか一次試験の内容がなんだかHUNTER×HUNTERみたいだったと思ったのは自分だけでは無いはず。
まあそれはともかく。
今回は葬送のフリーレン1〜5巻の印象的なシーン‥‥フリーレンがヒンメルを想っているシーンに焦点を当てて紹介していきます。
葬送のフリーレンとは?
週間少年サンデーにて連載されているアベツカサさんによる漫画で、2021年11月時点で450万部を記録している大ヒット作品です。
魔王を倒した勇者一行‥‥勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、そして魔法使いフリーレンの約50年後を描いており、仲間がそれぞれ老いていく中、1人以前と変わらぬ姿のフリーレンが、かつて仲間達と歩いた道を、新たな仲間と再度旅する物語です。
フリーレン、エルフですからね。人よりも断然長生きするのです。というか勇者ヒンメルに会った時点で確か1000年以上生きているはずですし。
ちなみに、このマンガがすごい2021で2位、全国書店員が選んだおすすめコミック2021で2位、マンガ大賞2021で大賞、次にくるマンガ大賞2021で3位など、数々の受賞歴を誇っています。
短編集のような感じ
話1つ1つが独立していて(もちろん何話かに渡る長編もありますが、そこまで長くもなく、また単話の方が多い)、どこから読んでも割と楽しめます。また派手な戦闘もそこまでなく、どちらかというと、フリーレンやその仲間たちが旅をしながら、それぞれ縁のある英雄たちに思いを馳せるような、そんな静かな物語です。
フリーレンの仲間
フリーレンには2人の旅の仲間がいます。フェルンとシュタルクです。フェルンは僧侶ハイターに育てられていますし、シュタルクは戦士ハイターの弟子です。だから構図的には、フリーレンがかつての仲間の弟子の面倒を見ている、という感じになっていますね。
葬送のフリーレン1〜5巻の尊いシーン
フリーレンがヒンメルを想い懐かしむシーンを集めてみました。懐かしむ、というだけではないかもしれませんね。そこにはもっと別な感情があるようにも思うのですが、まあそれをここでいうのは野暮ってもんですかね。
いや、自業自得だね。目立ちたがり屋のヒンメルが悪い。
旅のさなか、色々な人の困りごとを助けながら旅をするフリーレンとフェルンは、とある村でおばあさんの依頼を引き受けます。おばあさんの依頼は、かつて村を救った勇者ヒンメルの像を綺麗にすること。50年も経った今では、誰も勇者ヒンメルの像を気にかけることはなかったのです。
「こんな仕打ちはあまりにも可哀想だわ」
とおばあさんが語りかけるのに対して、フリーレンは冷たくいうのです。自業自得だ、と。
フリーレンはそこでの思い出を懐かしそうに語ります。自業自得だとか、馬鹿みたいだとか散々な言い方をしていますが、その表情はとても柔らかく、慈しむような眼差しを向けていました。
ヒンメルならそう言う。
旅の途中の山道で、フリーレンとフェルンは死者の幻影を見せて人を誘い込む食人鬼と戦います。
フェルンは、育ての親であり1人目の師匠でもある僧侶ハイターの幻影を見せられました。そして幻影であると分かっていながらも、それを撃つことができませんでした。
「あなたがいい子でいたから少しだけ化けて出ることがにしました」
かつてフェルンが死ぬ間際のハイターと交わした言葉で、とても大切な思い出です。分かっていたはずなのに、フェルンは打つことができなかったのです。
一方フリーレンはヒンメルの幻影を見せられていました。けれどもその幻影のヒンメルは、まっすぐにフリーレンを見据え「撃て」と言うのです。
フェルンの例から見るに、おそらく幻影はその人の大切な人の思い出とか記憶とか、もしくはその人の中にある大切な人のイメージを元にして作り出されるのかと思います。
そうならば、フリーレンの中のヒンメルってどんな人なんでしょうね。
ヒンメルの「撃て」にフリーレンが、ヒンメルなら確かにそう言う、みたいなことを言っていましたけど、きっと2人はとても信頼しあえる仲だったんでしょうね。幻影として出てきたヒンメルは、フリーレンに「騙されるなよ、まあ大丈夫だろうけど」って言っているように思えてきます。
あとでヒンメルに怒られたんだよ。
かつて勇者のパーティーの魔法使いとして、死者を操る魔族と戦った際に、フリーレンはその死者を躊躇なく魔法で吹っ飛ばしていたそうです。
普通の人なら、操られている死者を問答無用で魔法で吹っ飛ばすなど、ためらいを感じてしまうでしょう。けれどもそういう倫理観が欠如しているフリーレンは、死んでいるのだから魔法で吹っ飛ばしたって問題はないだろうと思っているんですね。
ただその戦い方について、フリーレンはあとでヒンメルに怒られたそうです。
そして50年経って、再度同じ魔族と退治することになったフリーレンは、ヒンメルの言葉を思い出していました。こうやって死んだ人が言ったことをいちいち覚えていて、それを頑なに守ろうとするの、なんだかとってもホロリときてしまいますね。
花言葉は久遠の愛情だそうです。
フリーレンはとある魔物の襲撃のせいで、大切な指輪を落としてしまいます。それは、かつてヒンメルに買ってもらった指輪でした。鏡蓮華の意匠の指輪で、花言葉は「久遠の愛情」。
とあるアクセサリー屋にて、ヒンメルに「好きなものを選んでくれ」と言われたフリーレンは、とりあえず目についた指輪をさくっと選んでしまいました。じゃあこれでいいや、って。
それを見たヒンメルは思わず止まってしまいます。そして少しだけ笑って、代金を払うのでした。
フリーレンは、ヒンメルが花言葉なんて知っていたはずがないと言うのですが、きっとヒンメルは知っていたんでしょうね。でなければあんな表情はできません。そしてそれをあえて言わずに、ヒンメルはフリーレンにプレゼントしたのです。
その時ヒンメルはどんな気持ちだったのでしょうね。人間とエルフ。どうやったって同じ時を生きることができない両者です。人間であるヒンメルはどう頑張ったって先に寿命がきてしまいます。
自分よりもさらに10倍以上の長き時を生きる女性に送る指輪の花言葉が「久遠の愛情」って‥‥。でもそれをあえてヒンメルが口にしなかったのは、フリーレンに対する優しさだったのかもしれませんね。
ほんの少しでいい。誰かの人生を変えてあげればいい。
かつてのフリーレンがヒンメルに「なんでそんなに人助けをするのか?」と聞いたとき、ヒンメルは「誰かに自分んことを覚えていてもらいたいから」と話しました。そして覚えてもらうためにどうすればいいか、というフリーレンの問いに、ヒンメルはこうこたえたのです。誰かの人生を変えてあげればいい、と。
1級魔法使いの試験でともにチームを組んだカンネとラヴィーネが、お礼を言いにフリーレンを訪ねてきたのです。彼女たちは、フリーレンがいなければ一次試験を突破できなかったと話します。
きっとこれも、彼女たちの人生をほんの少し変えた結果なのでしょうね。フリーレンはとても満足そうです。
フリーレンの思い出の中のヒンメル
フリーレンは物語中何度もヒンメルを思い出すのですが、ヒンメルが戦っている姿を思い出すことはほとんどないんですよね。いえ、あるのかもしれませんが、少なくとも作中にはほとんど登場していません。
フリーレンにとって、ヒンメルは戦いの仲間ではなくて、あくまでも一緒に旅をした仲間なんでしょうね。もしくはそれ以上の存在か。
そういうところに、フリーレンのヒンメルに対する想いが表れていて、とても尊いんですよねえ。
まとめ
葬送のフリーレンの尊いシーンということで、各巻1シーンずつ紹介してきました。特に今回はヒンメルとの思い出のシーンを集めてみたのですが‥‥。こうしてみるとフリーレンほんとヒンメルのこと好きだな‥‥と思ったり。
まあ仲間として好きなのか、恋愛感情てきなものなのか、ちょっとぼやかされてる気がしないでも無いですけど。ただもともとエルフって、そういう恋愛沙汰にはあまり心が動かないみたいなこともあったような気がするので、それでもこれだけ思い出すんなら恋でいいよな、と思わないでもない。
まあともかく、短いエピソードの集まりで、だらだらとエピソードが続くような漫画では無いので、ちょっと味見してみようかなって1冊手にとってみるのも良いかもしれません。
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