最果てのソルテが面白すぎです。最初はただの魔界を大冒険するだけの物語かと思いきや、やはりただそれだけではないようですね。最果てのソルテの世界観を形作っている、精霊や魔法を中心とした世界の仕組みについて、一層謎が深まるばかりです。
とりわけ気になるのはやはりソルテの叔父さん、一行を導く役割を持つブラックという存在でしょう。
王城にエヴェレット(賢者)として勤めていた経験があり、そもそもブラックの存在自体がこの最果てのソルテの世界にとって異物であり、なぜか魔界の知識も豊富で……。
今回はそんなブラックの謎について考察していきたいと思います。
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最果てのソルテのブラックとは
最果てのソルテの主人公、ソルテの父の弟、つまりソルテにとって叔父にあたります。かつては辺境で教師をしており、その後はエヴェレット(賢者)として王城に勤めていました。実は現代日本からの異世界転生者で、その前世の知識を活用して手押しポンプやリバーシ、天然痘や壊血病の予防法などをこの世界で広めており、その手柄で王城に招かれたのですが、その数年後忽然と姿を消してしまっています。
王城に勤めていた頃の蓄えなのか、はたまたその後に稼いだものなのかわかりませんが、結構な蓄えを持っていると語られていました(それらはすべて魔界に入るために使い切ったようですが)。魔界についての知識も深く、主人公ソルテをしっかりと導く役目を果たしてくれますが、相当謎も多い人物です。
そしてその謎の最たるものが、精霊病にかかっている、ということです。
最果てのソルテの精霊病について分かっていること
精霊病とは、姿かたちが獣人になってしまう病気のことです。今のところ作中に登場しているのは、モグラのブラック、クマの王様、そして過去に異世界(現代の日本)から転生してきた男が出会った犬の男の3名です。
王様をはじめ王侯貴族にも多くみられるということで、格別差別などはないらしく、精霊病になってしまった人もほかの人と同様に普通に暮らすことができているようです。また精霊病によって寿命が縮んだり身体能力が落ちたり、逆に身体能力が上がったりという描写も、今のところ特にないようです。
ほかにわかっていることは、
- 環境と内部の魔力異常で人間の姿を変えてしまう
- 昔は珍しくなかった
- 人間関係を面倒くさがる奴に多い
- 精霊病は15歳までしかかからない
といったところでしょうか。
ならばどうしてブラックは精霊病にかかったのでしょう。
なぜブラックは15歳過ぎても精霊病にかったのか?
さて、ここで疑問が浮かんできます。
最果てのソルテのブラックは、王城に勤めていた頃には人間の姿であったにもかかわらず、その後ソルテと出会ったときにはモグラの獣人になっていました。つまり王城を出てからソルテに会うまでの間に精霊病にかかったわけです。けれども通常、精霊病は15歳くらいまでしかかからないといわれています。
王城にエヴェレットとして勤めている期間、さすがに15歳未満ということはないでしょう。なにせそれまでも辺境の学校で教師をしていたわけですから。
精霊病が15歳過ぎると発症しない理由
なぜブラックが15歳過ぎても精霊病にかかったのかを考えるには、まずなぜ15歳を過ぎたら精霊病にかからないのかを考える必要があるでしょう。
ここでヒントになるのは、「環境と内部の魔力異常で人間の姿を変えてしまう」ことでしょうか。
この文言から察するに、人間誰にでも魔力を、体の内部に魔力を持っていると考えていいでしょうね。つまり体内の魔力と体の外…環境の魔力に何らかの異変が起きて、精霊病を発症してしまうということなのでしょう。
そして15歳という年齢がターニングポイントになるようですが、これはまさしく、人間の成長過程に大きく関わることなのではないでしょうか。
例えば、人間の魔力の成長が著しいのがだいたい15歳まで、とか。
確かに15歳というのは、ちょうど子どもから大人に変化する時期で、背も伸びるし精神面も大きく成長する時期です。そしてその時期に何かしらの変化があると、精霊病になってしまうのではないか、と思うのです。
昔に比べ精霊病が減った理由
もう1つのヒントは、「昔は珍しくなかった」というセレンの言葉にあると考えられます。
最果てのソルテの世界において、昔と今の違いは何でしょうか。もちろん世界のすべての説明がなされているわけではなく、あくまでも最果てのソルテ2巻で出てきた情報をもとに推理しているだけですが…今出ている情報で有力なものと言えば、なんと言っても「世界はどんどん魔法の浸食を受けている」という点でしょう。
最果てのソルテ2巻にて、ドロシー開拓調査隊はトルドー付近の地域が以前よりも魔法によって汚染されていると語っていました。
また最果てのソルテ2巻に読み切りとして掲載されている「異世界エッセイ」(おそらくこれが、王城で研究されている古文書・グレン図文書だと思われる)では、巨大な鎖につながれていた空に浮かぶ島「浮島」に観光に行く主人公が描かれていますが、ソルテの生きている時代にはすでに魔法汚染の地域になっているのです。
過去には観光地として自由に行き来できていた場所が、今や魔法汚染を受けて魔界と呼ばれているというわけです。
つまり、今と昔の違いとは、人間の生活圏において魔法汚染が多いか少ないか、という点なのではないでしょうか。昔よりもはるかに魔力による汚染が広がってしまったために、精霊病は減ってしまったということです。
15歳くらいまでに、魔力のバランスが崩れる何かが起こる
ということはですよ、魔法の汚染が少ないほうが精霊病になりにくいということになります。「内部と環境の魔力の異常」が精霊病の原因ということですが、それはつまり、体内と体外の魔力の差が開きすぎたときに起きてしまうということなのではないか、ということです。
きっと最果てのソルテの世界では、人間の魔力の伸びのピークが15歳くらいまでなのではないでしょうか。そして15歳くらいまでの魔力が大きく成長するころに、魔力が大きくなりすぎて周囲の環境の魔力とあまりにも差が開いてしまったときに、獣人に変化してしまうのではないかと考えられるのです。
人間関係を面倒くさがる奴に多いのはなぜか?
正直そこまでは深く考えていませんでした。人間関係面倒くさがる人のほうが魔力が高いとか、そういうのがあるのでしょうか。もしくは、人間関係が面倒くさがっている人間のもとに、魔力が高くなる何かが引き寄せられるとか?
ブラックの魔力のバランスが崩れた出来事とは
さて、これまで述べてきた「体内と体外の魔力の差が開いたときに精霊病になる」という仮説をもとに、ブラックが15歳過ぎてから精霊病にかかってしまった理由について深堀していこうかなと思います。
「なぜブラックの魔力のバランスが崩れてしまったのか?」です。単純に考えて、内と外の魔力の差が開いて精霊病になるというなら、原因は2つのうちどちらかでしょう。すなわち、周囲の魔力が低下したのか、あるいはブラックの魔力が上がってしまったのか、です。
周囲の魔力が低下した?
周囲の魔力が低下してしまったことで、相対的にブラックの魔力が上がってしまい、精霊病になってしまったという説です。例えば魔力の薄い地域に移住したとか、あるいは魔法の浄化が進んだとか。
けれども当然ながら、この説には疑問が残ります。だったらその地域にいた人たちみんな精霊病にならないとおかしい、ということです。今のところ、そういった描写は一切ありません。なのでまあ却下かなと思います。
ブラックの魔力が上がった
やはり有力なのは、ブラックの魔力が上がったという説でしょう。ブラックの魔力がいきなりぐんと上がってしまえば、周囲の魔力との差が開いてしまい、精霊病にかかってしまうということもあるかもしれません。
ですが、ならなぜブラックの魔力が急に上がったのかという点について考えなければなりませんね。
今の段階で出ている情報から推察できるとすれば、例えば国が契約しているという知の精霊の影響とか。国は精霊と契約し、それによって何かしらの恩恵を受けているという描写がありました。それになんとなくですが、人間関係に倦んでいる人間のほうが、精霊と接触する機会が多いと思いませんか?
また、あるいはそうでなくても、知るべきではない知識を得てしまったとか。国の図書館には過去のエヴェレットの著書などが置いてあるそうです。それは最果てのソルテの世界の人々にとっては全く意味の分からないものだったとしても、前世の知識を持っているブラックにとっては衝撃の事実だったりします。
そしてその知識をきっかけとして、魔力が上昇してしまったのではないかと思うのです。あながち間違いではないかなとも思うのですが…。
最果てのソルテの精霊病とは?15歳過ぎて罹患したブラックの謎のまとめ
ブラックは、王城での人間関係に嫌気がさして王城を出て、そのあとに精霊病にかかったと言っていました。けれども本当は、きっと王城でエヴェレットとして勤めているさなかに何かしらが起こり…それこそ魔力が著しく上昇してしまうような大変なことが…、そのため精霊病にかかってしまい、王城を出たのではないかと考えられます。
そのあたりはきっと、今後も登場するだろう神罰騎士団との絡みの中で、徐々に明らかになっていくんじゃないでしょうかね。国と精霊の契約の話とかも、フィロもいることですし、絶対に今後テーマとして取り上げられないわけがありませんからね。
ただ非常につらいのが、1年に1回しか単行本が出なさそうという点でしょうか。いえ、この際早くしろとは言わないですよ。ただ、何年かかってもいいから、絶対にすべてを描き切って完結してほしい!とにかくそれを強く強く願うばかりです。
水上悟志先生のおすすめ作品
最果てのソルテの水上悟志先生は本当にいろんな作品を世に出していますが、読まないと絶対に人生損するレベルで下の2作は読んだほうがいいと、個人的に思っています。
スピリットサークル (1) (ヤングキングコミックス)
過去6回の前世を追体験することで、自分が背負った業と縁を解き明かしていく、輪廻転生をテーマとした漫画です。全6巻。自分の人生をもっと大事にしたいと思える作品です。
水上悟志短編集「放浪世界」 (ブレイドコミックス)
短編集です。これに収録されている「虚無をゆく」が必見です。少年のころ世界のすべてだった団地、仲のいい友人、優しい親、そして自分にとって特別な存在なである「お姉ちゃん」。けれどそれが実は…という話。
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