この世界は不完全すぎる13巻のあらすじネタバレと感想、考察です。必死に貯めたお金や道具を一緒に冒険していた仲間に全て持ち逃げされてしまったハガたち。しかもその持ち逃げしたキャラですけれど、NPCだと思っていたのが実はプレイヤーであったことも判明します。
考えてみるとタイミングも良すぎでした。ちょうどレアアイテムを手に入れたばかりでしたからね。ハガたちを利用して稼ぎつつ、レアアイテムのドロップを狙っていたという訳です。そんな詐欺にあったハガたちがこの後どうするか。この世界は不完全すぎる13巻について色々と考察しつつレビューしていきたいと思います。
この世界は不完全すぎる13巻のあらすじ
この世界は不完全すぎる12巻で出会い、一緒に「メガワームの巣の駆除」クエストをやりまくってめちゃくちゃお金を稼ぎまくったエミリィとアイザックは、実はNPCではなく詐欺を働くプレイヤーでした。頑張ってその足跡を辿ろうとするも、すでに痕跡はなく、結局ハガたちは泣き寝入りすることとなります。
幸いなことにエミリィとアイザックをちょっと怪しんでいたキノシタマユがお金を少し隠し持っていたために所持金ゼロは免れましたけれど、稼いだほとんどのお金と装備、そしてこれまでハガが頑張って書いていたバグシートまでも、ハガたちは失うこととなってしまいました。
何とか残ったお金で装備を買い揃え、とりあえずストーリーを進めることになったのですけれど、特にバグシート取られたハガはかなり落ち込んでいるようでしたね。不憫‥‥。
一方でエミリィとアイザックはというと、どうやらこれまでこの世界は不完全すぎるに登場してきた悪質なプレイヤーたち、例えばアソビングとかジンたちとか、そういうのとはちょっと様相が違うようでした。秘密基地の中で2人が話している中で気になる言葉が出てくるのです。トレジャーコンプリートクリア。ラスボスを倒す以外にもこのゲームをクリアする方法があり、それを達成すればゲームの外に出られる可能性があるというのです。
それはつまり、方法は違えどハガたちと目的は同じということです。それはどうやらエミリィとアイザックも認識しているようで、アイザックなんかはハガたちを仲間に引き入れてもいいんじゃないか、というようなことも言っていました。けれどもエミリィ頑なにそれを拒んでいます。どうやらなにか事情があるようなんですよね。
さてハガたちはリオーノの国王に会いにいき、メインクエストを受注して災厄の大穴という場所に向かいます。なかなか幻想的な光景が広がっていて綺麗ですけれど、ここでもまた酷いバグが残っていて、ちょっと無事に行って戻って来れるかどうか判断が難しい場所でした。
災厄の大穴のエフェクトが重すぎて、近づくたびに処理落ちして行くというのです。もしこのまま進んでしまうと重くなりすぎて、最悪フリーズしてしまう可能性だってあります。かと言って大穴に近づかなければメインクエストは進行できず、クリアをすることができません。
フリーズというと思い出すのはアソビングの酒田たちですね。あれはマップの読み込みのラグを利用してフリーズさせましたけれど、今回もこのまま進めば、その時と同様にフリーズしてしまう可能性がある訳です。
なぜキノシタマユはエミリィとアイザックを疑っていたのに言わなかったのか
エミリィとアイザックが怪しいってことをキノシタマユは割とはじめから気づいていたようです。キノシタマユはモフモフドラゴン変身セットのバグによって現在ハテナの姿をしていますよね。NPCならそんな眉の見た目を考慮しない訳ですけど、当初キノシタマユとエミリィが出会った時戸惑った挙動をしていたのです。握手する時にどこを握っていいかエミリィには分からなかったんですよね。またメガワームの巣の駆除をしている際ボスのところに行くことになった時にも反応が微妙だったようで。
この辺、マユが気づくのがおもしろいですよね。なんでだと思います?とりあえずハガは気づきようがないじゃないですか。システムのバグを見つけるのは得意でも、人の感情の機微には疎い感じしますしね。というか正直なところマユだってそこまで人の感情云々に鋭いわけではないと思うんですよ。結局マユだって割と重度なゲーマーで、人との関り自体はそこまで得意じゃないみたいな感じでしたしね。
それでもマユが今回エミリィとアイザックに怪しみを覚えたのは、きっと最初から「敵」として見ていたからじゃないでしょうか。ハガに関することで落ち込んで、戻ってきたらハガが知らない女性と仲良く談笑してたわけですよ。しかもヒーラー職の女性です。ハガたちのパーティーに絶対的に不足している職業であることもそうですけれど、何よりヒーラーっていったら女性って感じしますからね。トカゲのアタッカーと比べると、やっぱりマユとしては気に入らないってのはあると思います。
だから、なんか粗がないかってずっと注意していたんだと思います。けれど怪しいと思っていてもそれを口に出せないのもまたマユだなあと。怪しい点を指摘して逆に自分が嫌われることを避けたかったんでしょうね。もしハガが自分のことを信じてくれなかったら、もし自分の指摘が間違っていたら、きっとマユはパーティーを抜けちゃいますもん、絶対。だから、一応念のため自分の財産を隠しておく、にとどめたんだと思います。
メタAIたちの中で唯一異端でなテスラ
ところで、この世界は不完全すぎる13巻で、ニコラに憑りついているメタAIのテスラと、リオーノ国のメタAIのテラーの面談が描かれていました。
テラーは美人さんですね。娼館のボスみたいな感じですけれど、いやもうなかなかいい趣味していますよね。ところで各メタAIはみんな好きな姿を取れるんですよねきっと。テスラだって今ニコラの姿になっていますけれど、1巻で他の姿にだって自由になれるって言ってましたから。なんでこの姿にしたのか、その辺いろいろ聞いてみたいです。
で、それはともかく、テスラとテラーが会話していたのですけれど、その内容はなかなか興味深いんですよね。何かというと、テスラがかなりデバッグの進行を気にしているというのに、テラーは全然気にしていないようなのです。そういえば単行本6巻でもメタAIの会合が描かれていましたけれど、とにかくデバッグ最優先と言っていたのはテスラだけで、他のメタAI達は全然気にしてないようでした。
その時にテラーはこう言ってましたね。そもそもデバッグは我々の主たる仕事ではない、と。なんかですね、これまではテスラってすごくまともなメタAIで、すごく頑張り屋で、一番まともなメタAIだと思っていたんですけれど、過去のメタAIの会合と、今回のテラーとの面談を経て、どちらかというとおかしいのはテスラの方なんじゃないかって思えてきました。
メタAIって、そもそもゲーム全体を統括する役割を担っているわけですけれど、その役割の中にデバッグが含まれるかというと確かにちょっと微妙ですよね。メタAIの役割は、あくまでも自分たちの与えられた方針に従って国を運営していくことのようです。だからテラーは与えられた自分の方針である「革新」に従って国を発展させていっています。そして、それ以外は自分の自分の範疇外だと言っているわけです。
だとしたら、テスラって一体何なんでしょうね。というかもうすでにゲーム内で1年以上も自国を離れていますけれど、ベイル王国って今大丈夫なんでしょうか。当初アソビングがベイル王国で暴虐の限りを尽くしていた頃は、当然テスラの行動も正しかったと思いますけれど、ハガについて行ってベイル王国を出てしまったのが果たしていいことなのかどうなのか。テスラもすでにバグになっちゃってるんじゃないでしょうかね。
溝口レンが仲間をNPCにしたのはジンから守るためか
この世界は不完全すぎる後半で、エミリィとアイザックはジンの魔の手から逃れるためにNPCのフリをしていたと言っていました。これちょっと引っかかったんですけど、もともとエミリィとアイザックはジンとともに活動をしていた時期があるんですよね。となるとただNPCのフリをしていただけではすぐにばれてしまうのです。
もしジンにばれないようにするならどうすればいいか。プレイヤーがNPCになることをジンが知っていて、かつエミリィたちがNPCになったことが明らかになればジンの凶行から逃れることができるのではないでしょうか。
ここで思いつくのが、サイ公国で独自のコミュニティを形成していたエンタメイションの溝口レンです。レンは自分に付き従っているデバッガーたちを全員NPCにするという愚行を犯していました。あの時にはなんてバカなことをと思ったのですけれど、今になって思うと、もしやレンは、ジンの魔の手から自分の部下たちを守ろうとしたのではないでしょうか。
エミリィ曰く、ジンはちょうどここ最近の1年でプレイヤーを狩りまくっていたようです。なので生き残っているデバッガーたちは、自分がプレイヤーであることを隠して生きるほかなかったのだとか。そしてその1年というのはハガたちがザ・ダイヤモンドに閉じ込められていた1年ですし、同時にレンが悩みに悩んで仲間をNPCにしてしまった時期でもあります。ちょっとリンクしていると思いませんか?
もしかしたらレンにNPCにされた人たちはジンのことまでは知らなかったかもしれませんけれど、レンだけはそのことを知っていた可能性はありますよね。みんなを守ろうとして、けれども今のままではどうにもならないことを理解していて、だから仲間をNPCにするしかなかったのではないでしょうか。
まとめ
この世界は不完全すぎる13巻のあらすじネタバレと、マユ、テスラ、ジンとレンについて考察をまとめてきました。ジンの凶行から逃れてまさにこれから再スタートというところですけれど、ハガたちの知らないところでいろいろと事態が動いていたり、もしかしたらアレは伏線だったのか?みたいなものもちょくちょく出てきているように思います。
これからどんな冒険をしていくのか、どんな謎が解き明かされていくのか、まだまだ楽しみにしていたいと思います。
この世界は不完全すぎる(13) (コミックDAYSコミックス)
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