漫画薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜、猫猫が後宮をクビになって戻って来てからも結構面倒な事件がバンバン起こっていますよね。壬氏が尊敬していた浩然が突然死したり、軍部の倉庫で小火騒ぎがあったり、魚の鱠を食べた官僚が昏睡状態に陥ったり、ああそれと御用達の彫金細工師も同時期に亡くなっていますね。
このそれぞれの事件、一見全然関係のないように見えますけれど、実はものすごい緻密な計画のもとにつながっているんですよね。
ということで、今回は漫画薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜の4巻から6巻、後宮に戻れない猫猫が壬氏付きの下女として働いている間に起きた事件とそれぞれのつながりについてお話ししていきます。
なお、アニメとは事件が起こる順番等若干違うみたいですので、その辺はあしからず、ということで。
後宮をクビになり壬氏の下女に
猫猫、もともとは誘拐され後宮に売られたわけですけれど、その売った業者が原因で一旦後宮をクビになっています。その後壬氏に再雇用されたのですけれど、一度クビになった人間をそのまますぐに後宮に戻すわけにもいかず、かと言って官女の試験は落ちてしまい、仕方なく壬氏の下女として雇われることになります。
壬氏の身の回りのお世話をする人、実は水蓮という高齢の女性以外いないそうなのです。なんでも、壬氏があまりにも男女問わずモテるものだから、物が盗まれるだけならまだしも、人毛で編まれた下着を置かれていたりなど、割とホラーなことが起こったりしたからだそうです。
壬氏に近いところにいるからこそ今までよりもさらに事件解決に駆り出されたり、他の女の人たちに嫉妬されいじめられたりなどもあるのですけれど、まあ猫猫ですからね。一段と逞しく過ごしていくのです。
ということでここからは各事件のあらましについてお話ししていきます。
浩然突然死の事件
壬氏も尊敬する人格者である浩然という人物が突然亡くなってしまいます。公式にはお酒を一気に飲み過ぎたことによる急性アルコール中毒のようなものとされています。もともと相当の酒飲みだったそうで、知っている人からすれば、この量で倒れたの?と疑問に思うところもあったようですけれど、まあお酒のそういうのは量がどうこうでないこともありますからね。
ただそれにどうしても納得できない壬氏は、猫猫に真相を確かめてほしいと依頼するのですけど、なんと壬氏の言うとおり、事件の真相は、そこからさらにもう一歩踏み込んだところにありました。
この浩然、実はしょっぱい味がまるで分からないという味覚障害を持っていました。そして誰か悪意のある人間が浩然の飲む酒の中に大量の塩を入れ、それに気づくことができずにいつものように酒をあおって、倒れてしまったのです。
浩然の飲んでいた酒の瓶には大量の塩が残っていました。酒瓶にこびりつくように残るほど大量に入れられた塩、これが浩然の命を奪ってしまったのです。
倉庫の小火騒ぎ
たまたまおつかいで軍部の方へ向かった猫猫は、以前より面識のある軍人、李白に出会います。李白はちょうど、倉庫で起こった小火騒ぎの原因究明に駆り出されているところでした。
まあ実際は小火というより、倉庫の中でいきなり何かが爆発したような状況だったそうです。穀物や小麦粉が収められていた倉庫で果たして何が起こったのか。猫猫はすぐにピンと来たようです。
密封された空間、小麦粉、そして落ちていたキセル。ARMSやパイナップルアーミーなど、他の漫画でも度々披露される粉塵爆発の出来上がりです。密封された倉庫内で小麦粉が舞い飛んでおり、そこでたまたま、倉庫番がキセルを嗜んだため爆発が起こったというわけです。
魚の鱠を食べた官僚の昏睡
壬氏付きの武官、高順が猫猫に持って来た相談案件です。とある官僚が魚料理を食べている最中突然呼吸困難、全身麻痺を起こした末昏睡状態に陥ってしまったとのことですけど、なんの毒だか見当もつかないそうなのです。
確かにこの官僚、美食家で珍味を好み、河豚なども普段よく食べていたそうなのですけれど、倒れた時の食事に河豚などの毒になりそうな食材は含まれていなかったのだとか。
けれども実際に現場を見た猫猫は、すぐにその原因を突き止めてしまいます。
それは、海藻のオゴノリでした。日本の食卓でもよく見る、細長い草の蔓のような海藻です。これ、一般にスーパーなどで売られている商品は石灰水などにつけて無毒化してあるので問題ないですけど、そのまま食べると食中毒を起こして、最悪命を落としてしまうんですよね。実際に1980年から1990年にかけて、日本で死亡例も確認されています。
つまり今回昏睡してしまった官僚は、無毒化していないオゴノリを食べて意識不明になってしまったというわけです。
聞けば普段から無毒化されたオゴノリを仕入れては嗜んでいたそうですけれど、どこかのタイミングで誰かが無毒化していないオゴノリを取り寄せ、その官僚に食べさせたというのが事件の真相だったのです。
のちにその犯人は、長兄ばかり優遇されることに不満を持つ官僚の弟であることが判明しましたけれど、無毒化していないオゴノリについて教えてくれた人物についてはよく知らないとのこと。たまたま食事の席で一緒になった人間が、弟の不満を聞いてオゴノリのことを教えたらしいのですけれど‥‥。
御用達彫金細工師の遺言
御用達彫金細工師が亡くなった件ですけれど、この事件について猫猫は特に犯人探しはしていません。その彫金細工師の亡くなった原因が病気なのか事件なのかは明らかにされていないんですよね。まあなんとなーーーく、病気に見せかけられただけのような気もするのですけど。
その亡くなった彫金細工師が謎めいた遺言を残していたため、その解読の依頼が猫猫のもとに届いたというエピソードです。
その彫金細工師が残した遺言とは、秘伝の技術についてのてがかりでした。まああくまでも手がかりであって、それを活かすか殺すかは、残された3人の息子次第というところでしょうか。
ちなみにその秘伝とは、一定時間微弱でも熱を加えることによって溶ける金属の精製方法でした。
事件のつながり
これだけ見てみると、まあそれぞれ独立した事件に見えるわけですけれど、後から追加でもたらされた情報から、うっすらとつながりが見えてきます。
とある倉庫で盗みがあり、祭祀に使う祭具が紛失していました。ちょうど食料などを保管している倉庫で小火騒ぎがあった頃です。そのため、いったいどの祭具が盗まれたのかなど詳しく把握できておりませんでした。
それでも、普通ならしっかりと管理してある祭具ですから、何が盗まれたかわからないなんてことはありません。けれどもそれは祭祀を管理する長官が不在であった頃でもあり、ちょうどバタバタとしていたのです。
その長官とは、酒に大量の塩を入れられて急死したあの浩然という男です。またその後任も、着任後すぐに魚の鱠を食べて昏倒していました。偶然が重なって、全く管理することができない状況だったのです。
そしてその祭具は、あの謎の遺言を残した彫金細工師が作ったものでした。弱い熱でも溶ける金属の精製方法を残した彫金細工師です。
そしてその祭具がどのように使われるかというと、
こうです。この柱の下で偉い人が祈祷するのです。
偉い人を害したい。
そうだ、祭祀で金具が壊れたことにして柱の下敷きにしてやろう。
早速御用達の彫金細工師に熱に弱い金具を作ってもらおう。
出来上がった新しい弱い金具を元の強い金具と入れ替えなければ。
でも祭具は厳重に管理されてるんだよなあ。
そうだ、祭具を管理する責任者をアル中ってことで消してしまおう。
金具の入れ替えをする際には、近くの倉庫で小火騒ぎあったほうがやりやすいよな。
祭具の管理する責任者の後任が来たから、こいつにもちょっと眠ってもらおう。珍味好きだからオゴノリで食中毒起こさせよ。
あ、弱い金具を作らせた彫金細工師から自分のこと辿られたら困るから、そいつも消しとこうか。
こんなシナリオですかね。なんとも恐ろしいことです。
まとめ
漫画薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜4巻から6巻、猫猫がクビになって戻ってきてからの起こった事件のあらましと、そのつながりについてお話ししてみました。
こうして改めてまとめてみると、本当によく練られた、超計画的犯行ですね。この時は結局被害を未然に防ぐことができましたけれど、犯人は未だ捕まっていません。早く事態が解決することを祈るばかりです。
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