ダンジョン飯に登場するマルシルが実はすごい魔法使いだよっていうお話です。登場したばかりの頃は、すごくいい子なんだけど結構間抜けだったり我儘だったりっていう感じなのですけれど、迷宮の奥へと進むにつれてどんどんその存在感を増してくるんですよね。そして物語が進むにつれて、パーティーの誰よりも、というより迷宮に関わる全ての人を見返してみても、マルシルほどに迷宮の主人に相応しい人はいない!ってなってくるのがすごくおおおっってなるんですよ。
ということで、今回はダンジョン飯に登場するマルシルについてお話ししていきます。
ダンジョン飯ってどんな話?
ダンジョン飯 2巻 (HARTA COMIX)
ダンジョン飯とは、人間の剣士ライオス、エルフの魔術師マルシル、ハーフフット(小人族みたいな感じ?)の盗賊チルチャック、そしてドワーフの戦士センシが、迷宮で獲れる魔物などを調理して食べながら迷宮の奥を目指すという物語です。
ライオスの妹ファリンを食べてしまったレッドドラゴンを探して死体を回収し蘇生させることが目的ですけれど、途中からファリンを助けるには迷宮の主を倒して自分が迷宮の主人になるしかないということが分かり、迷宮の完全攻略のため最奥を目指すことになります。
ファリンの親友
ファリンがレッドドラゴンに食べられた後、すぐにでも助けに行こうとするライオスに一番に一緒に行くと意気込んだのがこのマルシルでした。今までともに冒険してきた仲間が2人もパーティー脱退を表明した中、マルシルだけは「ファリンが大好きだから!」という理由でライオスについてきてくれたのです。
相手がレッドドラゴンであり、しかも例えレッドドラゴンを倒したとしても蘇生させることができるか分からない、そんな状況でも見返りを求めずファリンを助けに行く選択をしたマルシルは本当にファリンのことが大好きなのです。
マルシルとファリンは魔法学校時代からの付き合い
もともとファリンは魔法学校の落ちこぼれで、マルシルは超がつくほどの優等生でした。普通だったら接点なんて一切なさそうですけどね、なんというか、ファリンは成績が悪いとかじゃなくて、ちょっと感性が他の人と違ってて浮いてたんです。
けれどもその目の付け所とか、あとは持っている知識とか、マルシルにないものをファリンが持っていて、それで仲良くなっていったっぽいです。ファリンも、それまでは魔法学校でずっと不安だったのが、マルシルと友だちになってからすごく楽しそうだったみたいですし。
マルシルのファリン愛って結構すごくて、ファリンが魔法学校を中退してライオスとともに迷宮に潜るようになってから、マルシル、そんな危ない仕事やめなさいってわざわざ連れ戻しにきたほどです。まあそこで迷宮の魅力に当てられて、結局ファリンやライオスと一緒に迷宮に潜るようになっちゃいましたけど。ミイラ取りがミイラになるってやつかな。
魔物食べるのは超嫌
ファリンを助けるためには今すぐ迷宮に潜らなくちゃいけない、けれども食料を買うお金もろくに無い、なら迷宮に現れる魔物を捕まえて食べればいいじゃんってなったわけですけれど、マルシルはもうとにかく大反対でした。いやまあ分かんなくはないですよね。例えばいきなり明日虫を食べて生活しようなんて言われてしまったら、私だって全力で拒否しますから。
けれども他に方法はなく、しかもセンシという魔物食にとにかく詳しいメンバーが加入してしまったせいで、もはや魔物を食べるという選択肢は確定事項になってしまいました。マルシル、ほんとすごい嫌々ながらも魔物を食べることになるんですけれど、その葛藤については心情察して余りあるといった感じです。
学校始まって以来の才女
実はこのマルシル、魔法学校ではめちゃくちゃ優秀だと言われていました。少しだけ魔法学校時代を回想するシーンがあるのですけれど、入学して5日で先生の助手を勤めたとか、親が宮廷魔術師だったりとか、周囲からは学校始まって以来の才女と噂されまくってました。
しかもそれでいて驕ることもなく、見下すこともなく、誰に対しても丁寧で柔らかい物腰なものだから、なんかファンクラブでもできそうな勢いで人気者だったのです。魔法学校では浮いていた、というか若干はぶられ気味だったファリンに対してもすごく優しかったですし。
精霊の繁殖実験の実習では、周りのみんなが失敗しまくっている中マルシルはサラッと成功させていましたし、今後どんな研究をしていきたいかとかも既に持っていたりして、周囲からとても感心されていました。
迷宮での活躍にしても、まあ確かに迷宮の浅い階層ではそこまで役に立てることなかったですけれど、深層に行けば行くほどその魔法は存在感を増していって、様々な場面でライオスたちを助けていました。特に大量の敵を爆発魔法で一掃したり、ライオスが魔物にやられそうになった際にほぼノータイムで爆発魔法放って助けたり、小さく危険な魔物たちを広範囲気絶魔法で無力化したり、迷宮で死んでしまった仲間を生き返らせたりもしていました。迷宮名物のうさぎたちとの戦いなんかは、マルシルがいなかったら間違いなく全滅していたでしょうしね。
冒険者としては異端
素晴らしい魔法の使い手であるマルシルですけれど、冒険者としては異端なんだそうです。そもそも迷宮の冒険者にエルフが混じっていること自体そんなにあることではないようで、特に生活に困っているわけでもなさそうなのになぜ迷宮に潜るのか、チルチャックなんかは前々から疑問に思っていたそうです。勉学のために迷宮を見てみたいという理由でライオスたちの仲間になったようなのですけれど、確かにそういう動機で迷宮に潜る人、なかなかいないみたいですからね。領主とかから調査を命じられてるとかでもないですし。
古代魔術の使い手
単行本4巻にて、マルシルが古代魔術を研究していることが判明しました。古代魔術と言えばなんとなくかっこいい感じがしますけれど、世間一般では黒魔術とも言われ禁呪扱いとなっている魔法です。なぜ禁呪扱いなのかはよく分からないんですけれど‥‥。ただ分かっているのは、ライオスたちが探索している迷宮もまた古代魔術によって作られていることとか、一般に広まっている魔術では不可能なことまでできてしまうことに理由があるような気がしますね。
ちなみに古代魔術を使えることが西のエルフ、まあなんだかすごい偉そうなエルフたちですけれど、そいつらにバレると処刑されるくらいにやばいことらしいです。ただ逆に言えばそれだけ有用な魔術であることもまた事実です。レッドドラゴンに食べられて骨だけになってしまったファリンを蘇生できたり、迷宮の主である狂乱の魔術師に攻撃を受けた際にも、マルシルはその猛攻を古代魔術によって凌いでいました。
マルシルは禁呪とされる古代魔術を人の役に立てるための研究をしているそうです。刃物と同じで使い方次第なんだ、って。迷宮に潜るのも、迷宮を形作っている古代魔術を解明したいっていう思いがあるからなんでしょうね。
最終的な望みは全ての人種の寿命を等しくすること
古代魔術を解明するのも、迷宮を研究するのも、最終的には地上にいる全ての人種による寿命差をなくしたいという思いからなんだとか。
エルフとして登場するマルシルは、正確にはハーフエルフなんだそうです。母親がエルフ、父親が人間なんだそうですね。そもそも、この世界には人間(トールマンという名で呼ばれていますけれど)の他にドワーフやハーフフットなどといった種族がいますけれど、それぞれの種族ごとに寿命が違います。
トールマンなら普通の人間と同様100歳にも満たずに寿命を迎えますけれど、ドワーフやエルフはそれよりもっと長生きします。そして非常に希少なハーフエルフのマルシルは、そのどの種族とも寿命が長いのです。確か一千年近く生きるらしいですよ。するとどうなるかというと、例えば子ども時代は成長速度の違いから同年代の友人なんかもできないですし、例えその後成長して誰かと仲良くなったとしても、マルシルはその人と人生を添い遂げるみたいなこともできないわけなのです。
みんな自分を残して先に死んでしまう、そんな寂しさから、マルシルは全人類の寿命を均一にするという途方もない夢を追いかけて、迷宮に挑んでいるというわけなんですね。
マルシルは誰よりも迷宮の主に相応しい
ダンジョン飯 12巻 (HARTA COMIX)
迷宮の主に相応しいかどうかって話をしようとすると、まず迷宮について話さなきゃいけないですね。
悪魔と迷宮の力
昔々古代人が無限の力を求めて開いた異次元から悪魔がこの世にやってきた。悪魔は人の欲望を好むけれど、悪魔に欲望を食われるとその人はもれなく衰弱死。何故なら食欲とかも無くなってしまうから。そうして古代人は滅んだけれど、滅ぶ前に悪魔を迷宮に閉じ込めた。悪魔自身には力がないので単独では迷宮から出られない。そのため悪魔はその迷宮の力を餌に人を誘き寄せて、その欲望を喰らおうとする。
とのこと。
ちなみに欲望は大きければ大きい方が美味しいらしいです。なので、なるべく欲望の大きい人に迷宮の力を与えて欲望を叶えさせようとして、けれども微妙にその欲望が叶わないように綻びを作ることで、迷宮の力を持った人に「もっと!もっと!」とその欲望を膨らませようとするようなのです。そうして大きく育った欲望をパクリとするわけですね。
マルシルは美味しそうだし都合がいい
先にもお話ししましたけれど、マルシルは地上に住む全ての人種の寿命を均一にしたいという壮大な欲望を持っています。それは世界のことわりを変えるほどの、普通ならばまず絶対に叶わない欲望です。きっと悪魔にとって、それはそれは美味しそうに見えるんでしょうね。
さらにマルシルは古代魔術を研究しています。古代人が古代の魔法を使って作った迷宮の力を使うことだってできるようになるでしょう。少なくとも他の冒険者に比べればはるかに短い期間で。古代魔術が禁呪とされる今の世で、古代魔術の知識が豊富でしかも現時点である程度使いこなすことができるマルシルは、悪魔にとっては広大な砂漠における一粒の宝石のような存在なのではないでしょうか。
そして何より一番悪魔にとって都合のいいことは、マルシルの欲望が迷宮に限定されないことです。作中登場する迷宮の主は、ライオスたちが今まさに潜っている迷宮の主であるシスルと、かつて別な迷宮の主であったミスルンの2人だけですけれど、2人ともその望みは迷宮内で完結するものでした。ですから悪魔は、少なくとも迷宮の外に出ることはなかったのです。悪魔は迷宮の中で、迷宮の主となった者の欲望が美味しく育つまで待つことしかできなかったんですよね。
けれどもマルシルの欲望は迷宮内では決して収まりきりません。欲望を叶えるために迷宮の力を使うにしても、それを迷宮の外に放出しなければいけないわけです。もしマルシルが迷宮の主になってその力を使おうとするならば、迷宮の入り口まで行かなければいけないんですよね。そうすればもう悪魔の思う壺です。迷宮に閉じ込められていた悪魔は解放されて、まずマルシルの欲望を食べた後で、世界中の人たちの欲望を食らおうとするでしょうね。古代人が滅んでしまった時と同じように。そして今はもう再度悪魔を閉じ込められるような迷宮を作り出せるような古代魔術の使い手なんかいないわけです。
まとめ
ダンジョン飯に登場するマルシルについてのお話でした。魔法学校時代からの付き合いであるファリンととても仲が良くて、ファリンを助けるためならば魔物だって食べれます。超優秀な魔術師で古代魔術にも詳しく、自身の壮大な夢のために迷宮に潜るハーフエルフです。けれどもそんな高スペックかつ壮大な夢を持つからこそ、悪魔に目をつけられてしまうわけなんですね。
マルシルはほんと表情が豊かで、ライオスのパーティーメンバーの中では一番の常識人ですけれど、たまにドジしたりわがまま言ったり、そういうところもまたすごくかわいいのです。千年も長生きしてしまうことから、きっとこれからも多くの親しい人を見送ることになる悲しみを背負っているんですけれど、絶対に幸せになってほしいキャラなんですよね。
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