便利屋斎藤さん、異世界へ行くの8巻は、熟練の冒険者でありながら守銭奴として非常に有名な、月光妖精ラファンパンにスポットを当てた物語です。
戦闘では回復や補助の魔法を駆使してパーティーを支える、30センチくらいの大きさの妖精ラファンパン。月光妖精という種族全体が月の女神に呪われていて、この世界から消えてしまわないために毎月金貨を捧げなければいけない、というハンデを負っています。
けれどもそんなラファンパンのもとに、ある日「水晶の塔」の鍵が届きます。それは月光の森奥深くにそびえる塔で、その塔を登り切り、月の女神に会うことで呪いを解いてもらえるという伝説があるという塔です。
果たしてラファンパンは月の女神に会うことができるのか。呪いは解けるのか。そんな、わくわくドキドキの詰まった8巻なのです。
便利屋斎藤さん、異世界へ行く8巻のあらすじネタバレ
月光妖精ラファンパンが主役の便利屋斎藤さん、異世界へ行く8巻の内容を少しだけ紹介します。ラファンパンにスポットが当たっている長編エピソードは今までなかったので、なんかとっても新鮮です。
1人で水晶の塔に行こうとするラファンパン
水晶の塔とは、その鍵を持っているものにしか見ることができないそうです。かつてラファンパンも呪いを解くために、水晶の塔を求めて冒険したことがあるそうなのですけれど、やはりその時は見つからなかったのだとか。
逆に言えば、この鍵があれば水晶の塔が見つかるかもしれなくて、そうするとラファンパンの呪いも解けるかもしれないわけです。
なのに、ラファンパンはあまり乗り気ではなさそうです。ラファンパン曰く、月光の森に生息する魔物の強さは大迷宮深層に匹敵し、また仮に月の女神に会えたとしても、簡単に呪いを解いてもらえるとは思えないんだとか。
それどころか、この鍵を売って呪いの支払いに当てたほうがいいとすら言い出します。
けれども、きっと本音ではないんでしょうね。
これまでも作中でたびたび、この「金貨を支払わなければいけない呪い」について触れられていましたが、その度にラファンパンがどこか忌々しそうに、あるいはどこか気怠そうにしていました。
呪いを解きたくないわけではないんです。
で、翌日。ラファンパンは宿から消えていました。ラエルザは「私たちに借りを作るのを嫌がって1人で行った」と言っていましたけれど、どちらかというと、自分の事情に仲間を巻き込みたくなかったんでしょうねえ。
で、1人で月光の森に向かったラファンパンは、割とあっさりと、悪徳商人みたいなやつに捕まってしまいます。画像は「服だけを溶かすスライム」をかけられた様子です。
1巻では金属だけを溶かすスライムなんてものが出てきましたけれど、やっぱり服だけ溶かすやつもあったんですね。まあそりゃ当然か。
服、だいぶ溶かされるんですけど、ギリギリでサイトウが駆けつけてくれました。いやー危なかったというか、惜しかったというか‥‥。
ちなみにこの悪徳商人は護衛を雇ってはいたのですけれど、普通に戦ってサイトウの方が強かったです。なんだかんだ言って、サイトウももはや立派な冒険者ですからね。魔王級のボスと戦ったことだって、1度や2度ではないのですから。こんなチンピラごときには負けませんよ。
ちなみにラファンパン、助けてもらってまず1番に気にしたのが、以前サイトウに作ってもらったリュック型の袋でした。
以前モーロックがラエルザに、ラファンパンが人間じゃなくて良かったみたいなこと言ってましたけれど、こういうの見るとほんとそうだなって思いますねえ。
作ってもらった当時は、割と「すん」って感じだったんですけどね。
蟲人たち
月光の森に生息しているのは、王を中心として組織だって敵を追い詰めると言われる蟲人たちです。
蟲人というと、なんとなく虫が二足歩行しているところを思い浮かべがちですけれど、まあなんというか、普通の人間のお尻に虫の腹かくっついているだけです。なので顔だけ見れば美しくすらありますね。
この蟲人のヤバいところは、蟲人の王が妖精を食べることに全力を傾けているということです。月光の森に妖精が侵入しようものなら、一族が全てを賭してでも捕まえにくる、という感じです。しかも月光妖精が特に大好物なんだとか。
つまり、月光妖精であるラファンパンにとっては大天敵であるということですね。
蟲人の戦士たちです。多くが冒険者段位30を超えていて、いわばベテランの戦士たちというわけですね。しかもそのうち1人は段位55ですから、ラエルザよりも段位は上ということになります。
あ、ちなみにサイトウたちの段位はラエルザが48、ラファンパン42、サイトウ18、そしてモーロックが85です。段位85はこれまでの登場人物の中でもダントツにトップクラスなのですけれど、いかんせんその時々によって戦力にならなかったりするので、不確定要素と言わざるを得ません。
しかも数の利も地の利も蟲人にありますから、サイトウたちは苦戦を強いられることは間違いありません。不確定要素であるモーロックをいかに活かすかが、戦いのカギになる、はずでした。
月光の森の戦い
月光の森に入ってしばらくして、パーティーは分断されてしまいます。ラエルザとモーロックの前から、ラファンパンとサイトウが消えてしまったのです。
けれども探しに行く間もないまま、敵との戦闘になってしまいます。蟲人の王の親衛隊たちです。2人に比べれば、敵のレベルはそこまで強くはありません。けれども呪文を忘れてしまったモーロックがとにかく足を引っ張ります。
ここで、モーロックは、サイトウから事前に伝授された技を使います。呪文が覚えられないなら、そもそも呪文の詠唱がほぼ必要のない魔法にすれば良いだろうということで、たとえ威力が弱かろうと、とにかく詠唱が短い魔法をただ連続して使うのです。
この作戦は大いに当たります。敵を倒すことはできないものの、少なくとも敵の足を止めることはできます。そうして敵を釘付けにしている間に、ラエルザが1人ずつ倒していくのです。
けれども誤算がありました。普通の敵なら死んでいるような致命傷も、蟲人にとっては死に至る傷ではなかったのです。剣士の蟲人との一騎打ちのさなか、仕留めたと思っていた魔法使いの蟲人の不意打ちを受け、ラエルザは気を失ってしまいます。
ラファンパンとサイトウの危機
一方、ラファンパンとサイトウも危機に陥っていました。
蟲人たちの狙いはラファンパンです。パーティーが森を走破しようとしていたさなか、ラファンパンが蟲人の斥候に捕獲され、サイトウはそれを追いかけて、ラエルザたちとはぐれたのでした。そして当然、ラファンパンとサイトウは蟲人たちと戦いになります。
ラファンパンはそもそも直接的な攻撃に対して、対抗する術を全く持っていません。捕まってしまい逃げられもせず、魔法を使おうとしてもすぐに口を塞がれてしまう状況では、ラファンパンはほとんど何もできません。
そしてラファンパンを捕まえた小さな蟲人は、若干自分の理性を抑えられない性格のようで。
捕まったラファンパンを追っていたサイトウの前に現れたのは、段位39の忍びの長でした。圧倒的な段位の差がある中、事前の仕込みによって多少は善戦するものの、最終的には首を掻っ切られてしまいます。
そして低級の蟲人たちに群がられて背中からバリバリと食われてしまいます。このマスコットキャラか宇宙人のような蟲人は食欲旺盛で、敵だろうと味方だろうと食べれるものはガツガツ食べます。地面にうずくまるサイトウは格好のご馳走だったことでしょうね。あとよく見ると、腕も骨が見えてしまっていますね。
ラファンパンが蟲人の王に食べられる瞬間です。ダメージを負ったサイトウを魔法で回復したために、自身の逃げる道を逃してしまいました。
便利屋斎藤さん、異世界へ行く8巻の感想
ラファンパンデレすぎ
もともとそこまで変なキャラではなかったですが、一応初登場時はお金にうるさい守銭奴と紹介されていました。1回回復するごとにパーティーメンバーからも代金を徴収し、周囲の冒険者たちにも広く知れ渡っていました。
そもそもパーティーの人間関係を紐解くと、ラファンパンだけちょっと蚊帳の外感ありましたからね。モーロックとラエルザは親子ですし、サイトウは父親公認のラエルザの婿ですし。もちろん、ともに命を預け合う仲間であることは変わりないですし、ラファンパンか他の3人よりも結束が固くないとかいうわけではないんですけれど。
だから今回、仲間だよって大声出したり、貸したり借りたりとかじゃないよって言われて泣いちゃったり、なんかそういう、いつも外側から3人を俯瞰していたのがいつ間にか輪に入ってたみたいなのにちょっとグッと来たわけです。
サイトウが有能すぎる
もちろん以前から頭は良かったですけれど‥‥。ただ普通こういうの覚えないですよね?
思えば吉良吉影もこういう距離の測り方してましたけれど、もしかして日本の義務教育とかで習うんでしょうか。
先述しましたけれど、しょっちゅう呪文を忘れるモーロックのために、サイトウが新たな技を考えていました。その名も「やまびこ作戦」です。
サイトウは現代日本で学んだ元の知識量だけでなく、新しく何かを編み出すことにかけても最強ですね。恐らく日本で便利屋をしていた頃から、限られたリソースでどうやって問題を解決するか、常に考えを巡らせていたんでしょうね。
今回は抜群の推理力も見せてくれました。ラファンパンがいなくなって、モーロックの魔力感知にも引っかからない状況で、サイトウは冷静に、街の中の馬車の出入りがあるところを探しました。サイトウの推理は見事当たり、すんでのところで、捕えられたラファンパンを助けることができました。もしサイトウがいなかったら、モーロックとラエルザは「魔力感知が届かないほど遠くまで行ってしまった」と全く見当違いのところを探し、結局ラファンパンを見つけることはできなかったでしょう。
そしてなにより、サイトウ、だいぶ強くなりましたね。街のごろつきだけでなく、段位30を超える敵との戦いでも引けを取らなくなってきました。段位が上がったというのもありますけれど、場数を踏んだというのもあるでしょうね。実際に段位以上の働きをしているように見られますし。
プリマス再登場!
便利屋斎藤さん、異世界へ行く8巻の見どころといえば、やはりプリマスの再登場ですね。ピンチに颯爽と駆けつけてくれるってのはとても胸熱展開ですけれど、そもそも水晶の鍵を届けにきたのが、烏の姿に変身したこのプリマスだったわけですので、逆にピンチになるまで見守っていたのでは?とも考えられちゃったりして。
それとプリマスといえば、あのやたら強い暗殺者と魔族のお供がいましたよね。特にこの暗殺者は相当段位が高そうでしたし、こういった森での戦いなら負ける要素が全くないように思えます。
あ、けれどもあの暗殺者、戦う力を失ってしまったんでしたっけ?
ちなみにこのプリマスは黒晶妖精と呼ばれる種族で、ラファンパンの月光妖精に並ぶレア妖精なんだとか。種族名に「晶」がついているわけですけれど、水晶の塔となにか関係があるんでしょうかね。水晶の塔の鍵を持ってきたことから、本来は水晶の塔を管理する種族だとか?
以前は太っていましたけれど、とある事情ですっかりスリムになっていました。
どんな反撃を見せてくれるのか、とっても楽しみですね!
便利屋斎藤さん、異世界へ行くの最新刊8巻あらすじネタバレと感想|プリマス再登場&月光妖精ラファンパンの呪いは解けるのか?のまとめ
ラファンパンが主役のお話ではありましたけれど、終始お姫様役でもあったなあという印象な便利さ斎藤さん8巻でした。
そして何より、1〜2巻でガチで殺し合ったプリマスが再登場というのも個人的にはとても盛り上がりました。けれども考えてみれば、珍しい妖精の話なんですし、再登場したって何もおかしくはないんですよね。
ぜひ次の間も楽しみに待ちたいと思います。
便利屋斎藤さん、異世界へ行くの外伝だと無料で読めるんですよね。2022年末の時点で9巻出てますよ↓
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