リコリス・リコイルに登場するアラン機関の吉松のシンジというキャラが、5話の時点ではいかにも悪者風に描かれているのですが、よくよく見てみると「もしかしたら違うのでは?実はいい人なのでは?」という疑念が湧いてきました。
そこで、リコリス・リコイル5話までの吉松の動向や、そこで感じる疑念、そして「なぜいい人だと思ったのか?」について考察していきます。
吉松シンジの悪行
1話の吉松シンジ
吉松シンジがリコリス・リコイルに登場したのは第一話の終盤です。日本の平和を陰で支える治安維持組織DAに対して、最高のハッカーと言われるウォールナットを使ってハッキングを行いました。
このハッキングを受けて、DAは千丁もの銃の取り引き現場を押さえることができなかった上に、密売組織の生捕にも失敗します。結果、千丁の銃の行方は闇に葬られることとなりました。
さらにはハッキングを依頼したウォールナットを爆弾で暗殺しようとします(失敗しましたが)。
つまり1話の時点で完全に悪役ムードを出していたわけですね。
2話の吉松シンジ
2話ではウォールナット暗殺計画を実行します。ウォールナットと同レベルのハッカーと武装集団を雇い、ネットとリアル両方からウォールナットの動きを封じ、確実にとどめを刺そうとしたのです。
主人公の錦木千束と井ノ上たきな、そして同僚の中原ミズキの活躍で、なんとかウォールナットを死んだことにして、千束たちの事務所兼喫茶店に匿うことに成功しましたが、犯罪の共犯者を問答無用で消そうとするあたり相当の悪党であることを視聴者に植え付けました。
4話の吉松シンジ
4話では、千束の保護者的な存在であるミカ(男)と飲んでいるシーンがありました。そこで吉松は、
「天才は神からのギフトだ、必ず世界に届けねばならん。類い稀なき、殺しの天才をな」
なんて物騒なことを言っているのです。けれども当の千束は、1話からずっと「人殺しはしたくない」と言っていました。本来DAのエージェントであるリコリスは、日本の治安維持のため人殺しが許可されています。というかむしろ人知れず犯罪者を殺害することが本分であると言えます。
千束はそんなDAをやめてまで人殺しを否定しているのです。なのに吉松は、そんな千束に、人殺しの天才として世に出ることを期待しているのです。
また同じく4話にて、地下鉄でDAのリコリスを相手にした激しい銃撃を繰り広げるテロリストが現れるのですが、このテロリストたちが使っていた銃が、1話にて取引された銃である可能性が極めて高いのです。となれば、何より一番黒幕として疑わしいのは、ウォールナットというハッカーを使って銃取引を成功に導いた吉松だと言えるでしょう。
5話の吉松シンジ
そして5話。千束とたきなは、要人の観光案内兼護衛の仕事を請け負います。その要人は、暗殺者に狙われているというのです。
けれども依頼人の本当の狙いは、千束にその暗殺者を殺させることでした。それを拒否する千束を、依頼人は追求して、責めて、挙句、殺しを拒否すればお前の命を奪う、というような脅迫じみたことさえ言い出します。
4話でミカに対して語った内容を鑑みるに、千束を脅迫した依頼人は、ほぼ吉松で間違いないだろうと言われています。
吉松シンジの悪行を整理整頓
ここで吉松のこれまでの怪しい言動を整理してみますと、以下のようになります。
- DAにハッキングをかけ、銃の取引がうまく行くように計らった
- ハッキングしてくれた協力者ウォールナットを爆弾で殺害しようとした
- 爆弾で死んでいなかったウォールナットを殺すために、別のハッカーと武装集団を雇った
- 密売された銃でテロを起こさせた
- 千束に人殺しさせようとした
ただし、このリストにはいくつか追記しなければいけない事項があります。
吉松の悪行追記
DAはハッキングを受けることによって、3つの被害を被っています。
- 銃取引の時間を誤認させられた。
- DAが銃取引の情報を得て、リコリスがいざ実際に現場に行くと、そこでは既に取引は終わっていました。
- 現場と司令部の通信が途絶える
1.については先述した通り、銃取引がDAに邪魔されないよう、取引時間を誤認するよう情報操作した…です。
2.は、銃のバイヤーとリコリスが睨み合っている真っ最中にハッキングを受け、現場リーダーと司令部の通信が途絶えてしまったことです。これによって現場は、司令部の命令を受けることができず、結果、捕まったリコリスを助けるために、たきなが独断でバイヤーたちを射殺するに至りました。一話冒頭のシーンですね。
そして最後に、3.なにか大事な情報をDAから抜きとった。
楠木司令が2話でそんなことを言っていました。抜き取った情報ごと消えてくれればいいが…みたいな感じで。どんな情報を抜き取ったのかはさっぱり分かりません。
銃のバイヤーとの戦いの中で、何かマズイ映像があったのか(通信障害の時のことですね)。それとも銃のバイヤーとの戦いのとき以外にアクセスされて何かほかの情報を抜き取られたのか。
吉松の悪行整理整頓その②(追記)
- DAにハッキングをかけ、銃の取引がうまく行くように計らった
- DAにハッキングをかけ、銃のバイヤーとの戦いの最中通信障害を起こさせた(NEW)
- DAにハッキングをかけ、何かしらの情報を抜き取った(NEW)
- ハッキングしてくれた協力者ウォールナットを爆弾で殺害しようとした
- 爆弾で死んでいなかったウォールナットを殺すために、別のハッカーと武装集団を雇った
- 密売された銃でテロを起こさせた
- 千束に人殺しさせようとした
どれが吉松の悪行なのか
更に今度は、確実に吉松の仕業であるものをピックアップしていきますね。
- 【△】DAにハッキングをかけ、銃の取引がうまく行くように計らった
- 【△】DAにハッキングをかけ、銃のバイヤーとの戦いの最中通信障害を起こさせた
- 【▲】DAにハッキングをかけ、何かしらの情報を抜き取った
- 【○】ハッキングしてくれた協力者ウォールナットを爆弾で殺害しようとした
- 【○】爆弾で死んでいなかったウォールナットを殺すために、別のハッカーと武装集団を雇った
- 【▲】密売された銃でテロを起こさせた
- 【▲】千束に人殺しさせようとした
○は吉松がやったことが確実であること、△はどちらかは吉松の意図で間違いないこと、▲は吉松が関与していない可能性があることです。
ハッキングについては、銃取引についてウォールナットと会話しているので、どちらかは確実に関与しています。その直後のウォールナット爆破は完全に吉松が指示を出しています。また死んでいなかったウォールナットを完全に消し去るよう、新たなハッカーのロボたに依頼したのも、まず間違いはなさそうです。
ただその後のテロ関係と、千束に人殺しさせようとした人物は、吉松ではない可能性があります。
5話の最後に出てきた新キャラ
5話の最後に新キャラが出ていました。胸元だけ映っているスーツ姿のアラン機関の男です。状況から見て、この男が千束に人殺しをさせようとしたことは間違いないようです。
ではこの男は何者か。
本当はこの男が吉松かと思ったのですが、考えてみれば吉松、今まで一度も顔隠して登場してないのです。はじめからずっと顔出しなんです。なのでここでいきなり顔隠して登場する意味がありません。
あと、単にバッヂのバリエーションなだけかもしれませんが、吉松がつけているバッヂと、この顔隠しているアラン機関の男のバッヂ、細部が微妙に違うんですよね。なのでこれは、吉松ではありません。きっと第三者です。
5話で感じた違和感
5話では、何者かが千束に人殺しをさせようとしていました。スピーカーを使って、リモートで話しかけているのです。以下、その時の会話です。
殺すんだ。
君はアランチルドレンなはずだ。何のために命をもらったんだ。この意味をよく考えるんだ。
千束「人の命は奪いたくない。誰かを助ける仕事がしたい。これをくれた人みたいに」
何を言っ……千束。それでは、アラン機関は君を…。その命を…。
これですね、よく聞くと「何を言っ…」から「千束。それでは…」の間に何かあったような間があるのです。これハッキングを受けたのではないかな、と。
つまり誰かが千束に対して人殺しをするよう責めていて、千束がそれを拒否して、するとそこに誰かが割り込んできて、それでは君の命が危ないよ、とたしなめているのではないかと思うのです。
顔隠しているアラン機関の男のモニターには、観光案内している間に撮った写真の画像があります。なので顔隠しているアラン機関の男が、千束に対して人殺しをするよう責めていたということになります。
では誰が横から割り込んできて千束をたしなめたのか。それが吉松なのではないかと思うのです。根拠は、ロボたとのつながりです。日本で1番のハッカー(らしい)です。まあそれくらいしか根拠と呼べるものがないのですが。
吉松が千束をめぐって「顔を隠しているアラン機関の男」と対立している背景を考察
人殺しをさせようとしていたのが、顔を隠していた男。
後から「そんな拒否したらだめだよ」って割り込んできたのが吉松。
千束を殺しの天才として世に出したいのが黒幕っぽい人。
それをさせないようにしたいのが吉松。
このあたり完全に妄想なのですが、アラン機関の支援の際に、千束は殺しの天才として世に出ることを求められて、吉松は「そんなこといいから自由に生きなさい」って言ってくれたのではないでしょうか。だから千束は感謝してるし、会って一言お礼を言いたいし、そのためにDAも抜けました。
けれどもそんな千束に業を煮やして、アラン機関は千束を調査します。本当に人を殺す才能を活かす気があるのかどうか。観光案内してもらいたい要人と、それを狙う超有能な暗殺者まで用意して。
結果、アラン機関は千束がその才能を活かすつもりがないことを知ります。それを盗聴していた吉松が慌ててそれを嗜めて、それに気づいたアラン機関の男はプツンと要人のコントロールを切ってしまったというわけです。
4話のミカと吉松の会話の疑惑の回答
4話のミカと吉松のシーンですけど、あれ、実は続きがあったんじゃないのかと思います。
吉松「天才は神からのギフトだ、必ず世界に届けねばならん。類い稀なき、殺しの天才をな」
ミカ「けどお前はそうなってほしくないんだろ?」
吉松「まあな」
みたいな。
吉松、実はアラン機関に対して既に裏切ってるのではないでしょうか。もしそうなら、ミカと吉松の約束も、千束を自由にさせてあげる、とか、千束の意志を尊重する、みたいなものかもしれません。
だからミカは、千束がDAを出る時に、一緒にDAを出たのです。
ちゃんと見守るために。
通信障害の謎を考察
吉松がウォールナットを使って通信障害を起こさせて、DAのリコリスと銃のバイヤーの戦いを邪魔した可能性が濃厚ですが、これまで話してきたことを踏まえると、吉松の意図が少しだけ見えてきます。吉松が通信障害を起こさせたのは、千束の活躍をアラン機関に見せたくなかったからなのではないでしょうか。
これは以下を前提とした考察です。
- 【×】DAにハッキングをかけ、銃の取引がうまく行くように計らった
- 【○】DAにハッキングをかけ、銃のバイヤーとの戦いの最中通信障害を起こさせた
×顔隠したアラン機関の男の仕業 ○吉松の仕業
この銃取引自体は、明らかにアラン機関が関わっています。4話での地下鉄銃撃事件や、そのあとのリコリス殺害事件も、銃のバイヤーから購入した人物・真島が関わっています。しかもその真島は、顔隠したアラン機関の男の指示でリコリスを殺したっぽいからです。
そんな大事な銃の取引現場(と言ってもすでに取引は終わっていますが)が膠着状態に陥って、千束が出動することになりました。けれどもその様子は、すでに顔隠したアラン機関の男にハッキングされています。
そして顔隠したアラン機関の男が、千束が戦っている姿を見て、「あれ、アラン機関が支援したのに殺しの才能を活かしてないぞ?」となったら、千束はアラン機関に提供された心臓を止められて死んでしまう可能性が非常に高いです。
それを懸念して、吉松は通信障害を起こし、顔隠したアラン機関の男が千束の姿を見れないようにしたというわけです。
吉松シンジはアラン機関を裏切っているのまとめ
リコリス・リコイルの吉松シンジは、悪人そうに見えて、実は千束が自由に生きていくのを見守っている優しいおじさんの可能性が出てきました。
ウォールナットの爆破事件もですね、良い方に解釈するとしたら、アラン機関の手の者から姿を隠せるよう、あえて殺したふうを装った、と言う可能性すらあるわけです(ちょっと望み薄いかもですが…)。
まあ考察のベクトルを変えればそれだけ答えが出てくるようなものなので、少なくとも全容が解明されるまでは、もう少しこの考察を楽しんでいきたいと思います。
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