葬送のフリーレン8巻を読んだのですが、魔族との戦いが日に日に激しくなっていきますね。もともと北部の、たまだ魔族が活動している地域に赴いているのだから、当然と言えば当然かもしれません。
でも本当にそうでしょうか?実は年月が経つうちに、いつの間にか魔族側の勢力を増しているとは考えられないでしょうか?もしかしたら、勇者に倒されたはずの魔王が復活したか、新たな魔王が誕生したという可能性はないのでしょうか?
今回は、改めて葬送のフリーレンを全巻読み返してみて、魔族側が勢力を拡大している根拠を集めた上で、魔族側に一体何が起こっているのか考察してみたいと思います。
年月を追うごとに魔族が攻勢に転じている?
葬送のフリーレンを読み返してみると、はじめのうちはのどかな旅だったのが、段々とハードモードになっていくのが分かります。
もちろん、魔王を倒したからと言って魔族が全て滅んだわけではありません。その残党は主に王都よりもずっと北、かつて魔王城があった地域を中心に活動を続けていたと語られています。だから北に向かっているフリーレンたちの魔族と戦う頻度が上がるのも、当然と言えば当然なのかもしれません。
けれども、それだけではないようにも感じます。そもそも、勇者ヒンメルが死んでから、明らかに魔族の動きが活発になって来たと、様々な場面で語られていまし、フリーレンが北の果てエンデに向けて旅立ってからすでに数年経っていますが、明らかに魔族の動きがおかしいと、行く先々で登場するモブも含めたキャラクターたちの言葉がそれを示しているのです。
北側諸国の魔物の動きが活発に
「北側諸国は魔物の動きが活発でな‥‥」
「北側諸国の軍が討伐に動くらしいが、関所が開くのは早くても2年は先だろうな‥‥」
ちょうど中央諸国から北側諸国へと移動しようとした際に通った、関所でのことです。単行本で言えばまだ2巻、魔族との戦いもほとんど出てこないような序盤です。
ここで特に重要なのが、魔族との小競り合いは2年程度で終わると思われていたことです。つまり、こういう魔族との衝突は、まあそうそう頻繁にあるわけでは無いものの、決してなくは無い出来事だったのでしょう。そして通常、そういう小競り合いは2年程度で収束することが多かった、と。
ちなみに、現在単行本8巻まで出ていて、ヒンメル死後30年‥‥つまり関所のころからすでに2年経っていますが、魔族との戦いは一向に収まる気配がありません。むしろもっと悪くなっている感すらあります。
2年前からは想像もつかないような状況に、なってしまっている可能性は決して低くは無いでしょう。
また4巻では、要塞都市フォーリヒにて、つい1月前魔族との大きな戦いがあったとも言われていました。こういう戦いがしょっちゅう起こっているのか、それとも珍しいことなのかははっきりと語られてはいません。ただ少なくとも、ここ最近魔族との大きな衝突があったことは間違いないようです。
また断頭台のアウラも、もっと以前から力を取り戻していたにもかかわらず、大攻勢をかけてきたのは本当につい最近のことです。フリーレンたちによってその企みは完全に阻止されていましたが、そもそも何故このタイミングなのか。もしかしたら各地の魔族たちが一斉に、タイミングを見計らって、組織的な攻勢をかけているという可能性もあるのかもしれません。
そういえば、人を殺す魔法=ゾルトラークの開発者である魔族クヴァールも、ちょうどここ最近で目覚めるところのようでした。今回はフリーレンが無理に目覚めさせ、そして速攻で倒していましたが、もしフリーレンが来なければ、今頃はアウラと同じタイミングで、人間に攻勢を仕掛けていたことでしょう。
勇者ヒンメル死後魔族の残党が暴れ始めた
一級魔法使いの試験後に、ヴィアベルがさらっと言っていました。「勇者ヒンメルが死んで、魔族の残党が暴れ始めてから…」さらっと読み流すところでしたが、結構重要な部分ですよね。少なくとも勇者ヒンメルが死んでから魔族が勢力を盛り返しているなんて、これまであまり語られていなかったように思いますので。
ただよくよく考えてみると、断頭台のアウラが力を取り戻したのも、勇者ヒンメルが死んですぐのことです。そしてその後28年間、フリーレンに倒されるまで、グラナト伯爵領の軍隊とずっと小競り合いを続けていました。
ゼーリエは魔族が力を取り戻すことを予見していた?
加えて、この魔族の動向に対して、大魔法使いゼーリエが予見していたとも言われています。ゼーリエは、フリーレンと同じく千年以上前から生きているエルフの魔法使いで、魔法をこの世界に広めた、大魔法使いフランメの師匠でもあります。今までずっと歴史の陰に隠れて出てこなかったのが、勇者が魔王を倒してしばらくもしないうちに、表舞台に姿を現し、大陸魔法協会を設立しました。
千年間ずっと、それこそ魔王が魔族を率いて侵攻していた頃ですら沈黙していた大魔法使いが、このタイミングになって魔法協会を設立し、しかも魔族討伐の指揮を執ってすらいるのです。自分が指揮を執り組織を動かさねば、今後迫りくる危機に対応できないと考えているのかもしれません。
これはもしかしたら、なにかとてつもなく重要なことを、各国の首脳や勇者一行、フリーレンすらも見逃している可能性が考えられるのではないでしょうか。
そういえばフォル爺も妙なことを言っていましたね。フリーレンが「エンデ、魔王城がある場所に行く」と話したところ、「ついに魔王を倒しに行くのか」と。はじめ、これはただ単にフォル爺がぼけているだけかと思っていました。きっとフリーレンもそう思ったことでしょう。
けれども、本当は魔王はまだ生きていたのだとしたら、そしてフォル爺がそれを知っていたとしたら…。
ゼーリエもフォル爺も、もう相当長い年月を生きています。そういう年配者にしか分からない何かがあるのかもしれません。
魔王が復活すると言われる根拠
ここまでずっと、魔族の動きが活発になっているという話をしてきましたが、それがどうして魔王復活や、新しい魔王の誕生につながるのか、その辺について述べていきます。
ヒンメルは本物の勇者ではなかった
シュヴェア山脈の奥地に、剣の里と呼ばれる、勇者の剣が祭られている里があります。里の近くの聖域には、女神様が授けたとされる勇者の剣が刺さっていて、勇者ヒンメルが現れるまで、その剣はどんな英雄たちが引き抜こうとしても微動だにしなかったというのです。
けれども実際は違います。その剣は、勇者ヒンメルにも抜くことができなかったのです。当時の里の長は、そんなヒンメルを見て「今回の勇者も本物ではありませんでしたか」と言葉を発しています。魔王を倒した勇者ヒンメルは、女神さまに祝福された本物の勇者ではなかったのです。
魔王を倒すには、絶対にこの女神さまの祝福を受けた剣でなければいけなかったのならば。
魔王を倒すのは、絶対に本物の勇者でなければいけなかったのならば。
魔王はまだ生きている、ということになります。勇者ヒンメルに倒された際には、単に封印されて力を失ってしまっただけで、徐々に力を取り戻し、この世界に再び現れようとしているのかもしれません。
魂の眠る地オレオール
フリーレンの旅の終着点は、使者と対話することができるという、魂の眠る地=オレオールです。そこで、死んでしまったヒンメルと対話することが、フリーレンの旅の最終目的です。ただし、そこはかつて魔王城があったとされる場所でもあります。
かつて魔王が拠点としていて、その魔王が死んだ場所。死者と対話できる場所。今になって魔族が勢力を盛り返しているという事実。何かしら関係があると言えるのではないでしょうか。例えば、魔王が死者となってもなお、魔族を指揮しているとか…?
まとめ
葬送のフリーレン8巻を読んでみると、本当に魔族との戦いが激化していっているのが分かります。もともと魔族の本拠地であった北部へ移動しているわけですから、魔族との戦いが激化していくのは、決しておかしいことではありません。
けれども、それとは別に、魔族が勢力を盛り返しているように感じてしまうのです。本当にそうなのかはわかりませんが、今後の展開次第では、それもあり得るのかなと考えています。そういった点でも、まだまだ続きが気になりますね。
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