壬氏はなぜ猫猫を連れて行ったのか?壬氏を狩りに誘った子昌の狙いとは?
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳最新刊13巻のあらすじネタバレと、ほんのちょっと考察を踏まえた感想など語っていきます。
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~(1) (サンデーGXコミックス)
薬屋のひとりごと12巻までのあらすじネタバレ
12巻では、玉葉のもとで働いていた猫猫が、一時壬氏のもとに返却されていました。
そういえば猫猫は、もともとは壬氏の部下なんですよね。玉葉が妊娠したから、増援みたいな形で、玉葉のもとに行っていたというだけで。たまに忘れそうになります…。
さて、壬氏のもとに返却された理由は何かというと、壬氏がとある高官から狩りの誘いを受けて、都より北方に位置する子北州へ行くためです。まあそれだけなら壬氏1人で行ってこいと思わないでもないですが、壬氏はこの旅で何かを企んでいるようで、猫猫抜きで行くというのは絶対にありえないようです。
子北州では、壬氏は顔を隠し、部下である高順や馬閃にも自分のことを「香泉」と呼ばせています。ご指名でお誘いを受けたのに、顔を隠し、名前を隠し、なんとも不思議な話です。
一方、壬氏が子北州についたあたりで、謎の男たちが木箱の中を覗き込みながら、物騒な会話をしていました。
「これが最新式の……」
「これなら森の中でも狙える……」
「ここで、あの方には死んでもらう」
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳13巻のあらすじネタバレ
頑なに自身の顔を隠す壬氏
招かれたわけなので、当然壬氏は宴にも参加しますが、相変わらず覆面は一切取らず、それどころか料理も酒にも手を付ける様子がありません。上座に座っているので多くの女性たちが寄ってきてはいますが、壬氏はそれも華麗にスルーしています(「壬氏」であれば愛想笑いの1つでも返すのでしょうが…)。
またそれどころか、同じく上座で、壬氏の隣に座る今回の宴の主催者、子昌から話しかけられても不愛想なままです。子昌は国内でも非常に有力な高官で、それこそ壬氏を狩りに誘い、壬氏がそれを「断れない筋」というほどに権力を持っています。その子昌に対してもまた不愛想なままというのは果たしてどういうことなのか。
さて、そんな宴の最中ですが、壬氏は具合を悪くし、席を外してしまいます。高順の指示で壬氏についていく猫猫。覆面を取るわけにいかない、誰かに顔を見られるわけにはいかない、と強情な壬氏を森の奥まで連れていき、そこで猫猫は壬氏を介抱します。
「薬屋……お前に、話したいことがある」
壬氏が何かを語り始めようとしたその時、森の中に銃声が響きました。壬氏を狙って、誰かが狙撃してきたのです。
壬氏の秘密
謎の銃撃を受けるも、どうにか滝の裏の洞窟に逃げ込み難を逃れた壬氏と猫猫。濡れた服を絞るためにお互い下着姿になって、途端にどぎまぎしだす壬氏。けれども相手が宦官だからなのか、猫猫は気にも留めていない様子です。
その後、壬氏の指示で、壬氏を踏み台にし縦穴から脱出を試みる猫猫。その際にたまたま、カエルが猫猫の顔に飛び移って来てしまい、バランスを崩して、猫猫は壬氏の上に倒れこんでしまいます。
そこで猫猫は、壬氏の股の間にある「あり得ないもの」を触ってしまいます。
壬氏は宦官です。後宮に出入りするために、男の大事なものを切り取った官なはずです。
猫猫はいろいろと思い出します。壬氏のこれまでの態度とか、あるいはたまたま上半身裸になった時に見た、筋肉質な体つきなんかを。本来宦官は肉が付き、全体的に丸くなる者が多いと言われているそうです。それはきっと男性器を切り取ったがゆえに、ホルモンのバランスが崩れるからでしょう。けれども壬氏は、宦官らしくない、非常に男らしい体つきをしていました。
そんなことを考えていると、
「ある意味、説明の手間が省けたな」
と、苦笑いしながら壬氏が笑いかけてくるのでした。
ただ。
壬氏がさらに何かを語ろうとしたとき、猫猫はそれをなかったことにしようとしました。
「カエルをつぶしてしまったかもしれません」
あくまでも自分が触ったのはカエルだと言い張るのです。これ以上聞いてはいけない、それが猫猫の判断でした。後宮に宦官ではない男がいるというのは、とんでもない大事です。皇帝が出てきてもおかしくないくらいの大事です。
後宮は皇帝のもので、それに手を付けられないために、出入りする男はすべて宦官にさせられるのですから。
「とにかく私は何も知りません!」
その後、李白が助けに来るまで、猫猫は自分の秘密を猫猫に話したい壬氏に対して、頑なに「知らない」を貫き通すのでした。
壬氏を銃撃した犯人のあぶり出し
宴に戻ってこない主(壬氏)を心配する馬閃のもとに、1人の軍人が布切れを持ってやってきました。滝に近い岩場に引っかかっていた、と。馬閃はそれを自分の主である香泉(壬氏)のものであると断言。その言葉で、宴に参加した多くのものが捜索に参加しました。
その軍人は李白でした。
李白に助けられて洞窟を脱出した壬氏と猫猫は、自分たちを襲撃した者たちをあぶりだす作戦を考えました。李白が面倒を見ていた犬の嗅覚なら、銃に使われている火薬の匂いから、襲撃犯を見つけ出すことができます。けれどもそれでは言い逃れされてしまう可能性もあります。必要なのは、相手が言い逃れもできないくらい、決定的な状況を作り出すことです。
果たして、猫猫の作戦は成功しました。犯人が、武器である最新型の銃を、隠し場所に取りにに戻らざるを得ないよう騒ぎを起こしたのです。実行犯はとらえられ、また関わったであろう者たちは、高官も含め拘束することができました。
このあたりの手際というか、作戦の立て方は見事というほかありませんね。こんなにうまくいくとはな、とは李白の弁ですが、でもこれ以上にない作戦だったと言えるでしょう。
おおやけには、香泉は少し長い時間席を外していただけで、何も起きなかったということになったようです。けれども騒ぎのあと、幾人かの高官が宴の席から姿を消していることから、何が起こったのかわからないわけではないでしょう。それでもその場をうまく収めたのは、高順の手腕によるものなのかもしれません。
ただそんな中で、高順は1つ気がかりなことがありました。壬氏と猫猫が無事に戻ってきたというのに、その2人の雰囲気が微妙におかしいのです。普段はお互い遠慮のない関係なはずなのに、どことなく距離を取っているというか…。
秘密を明かそうとして、最後までしゃべらせてもらえなかった壬氏。
知ってしまっては危ない秘密を、なんとしても聞かなかったことにしたい猫猫。
そこに横たわる微妙な空気は、高順だからこそ気づいたのかもしれませんね。
子昌は誰を狩りに招待したのか?子昌の狙いは?
壬氏が顔を隠して狩りや宴に参加するということは、周囲に壬氏であることは知られてはいけない、ということです。壬氏として参加しているのではないんでしょうね。
では子昌は誰を狩りに招待したのか?
先に答えを言ってしまうと、それは皇帝の弟である華瑞月(かずいげつ)です。子昌は皇帝の弟を招待したんですね。
そもそも皇帝の弟は、病弱で、顔に残るやけど跡を気にして覆面をしており、公には顔をさらすこともなく部屋に引きこもっている、ということになっているようです。だからああいう覆面をしていたわけです。上座に座らされていたのも、そしてそこに女性たちが群がっていたのも、皇帝の弟だから、ということでしょう。
そしてこの狩りや宴の参加者は、皇帝の弟がどんな人物なのか見極めようと、そして何かしら縁を得ようとしていたはずです。でなければ、宴に参加しているような偉い人たちが、自ら捜索に加わるなんてこと、なかなかないでしょうからね。皇帝の弟が何かしら事件に巻き込まれたかもしれないと思ったからこそ、宴に参加している人の多くが動いた、ということでしょう。
となれば、12巻の最後のほうで、壬氏の食事がやけに精のつきそうなものばかりだったのもわかります。宦官にそんな料理を出してもまったく意味がないですが、皇帝の弟ということであれば話は別。うまいこと自分の娘と関係させ、子どもができようものなら、自分は一気に皇族の仲間入りになるわけですから。
そして残念なことに、知らないのは猫猫だけという。猫猫だけは、壬氏がお出かけするからそれについていく、という形で参加しています。皇帝の弟云々は知らないままです。
高順は、壬氏が皇帝の弟であることを知っています。馬閃もそうですね。12巻で、覆面を取っている壬氏と一緒にいたわけですから。
李白は知りません。まあ一介の軍人ですから、当然です。ただ毎回登場して、猫猫からの信頼も厚く、ついついこっち側の人間と思ってしまいそうなところが怖い…。
猫猫は、もしかしたらある程度気づいているのかもしれません。けれども壬氏が皇帝の弟だとはっきり気づているシーンは、今のところありませんね。ただ壬氏が男(アレがついている)ことについては、認知したことがはっきりと示されていましたが。
13巻の最後で、壬氏が猫猫に何かを言おうとしていました。結局言えずじまいでしたが…。それはきっと、猫猫に自分の正体を告白するつもりだったのではないでしょうか。言ってどうするつもりだったのでしょうね。
子昌の狙いは何なのか?
さて、ここで疑問となるのが、子昌は果たして壬氏の味方なのか、敵なのか、ということです。
普通に考えて、子昌の領内で壬氏の襲撃があれば、真っ先に疑われ、また罪を問われるのは子昌でしょう。となれば、まさか自分の領内で、わざわざ壬氏を襲わせたりするでしょうか?
少し穿った考えになりますが、誰かが子昌を失脚させるために、わざわざ子昌の領内で襲撃事件を起こした可能性もあり得ます。
子昌の狙いはライバルの徹底排除?
しかしここで1つ、重大な情報を考慮する必要があります。子昌は自分の娘である楼蘭を後宮に、しかも上級妃として入れているということです。さらに言うと、この楼蘭妃の後宮入りは、子昌のごり押しだったのだとか。となると、子昌が自分の娘に皇帝の子どもを作らせようとしていることは容易に想像がつきます。
そうなると、子昌にとって、ほかの皇位後継者は不要、邪魔ものであることは間違いないでしょう。ほかの宮女が妊娠し、その子どもが皇子だった場合、純粋にライバルが1人増えるわけですから。
これまで、後宮にて数多くの暗殺・暗殺未遂事件が起きていました。これすらも、子昌のたくらみの1つだったと、誰が否定できるでしょうか。
今回の狩りと宴には、壬氏は壬氏であることを隠し、皇帝の弟として参加しています。皇帝の弟とは、つまり皇位後継者のうちの1人です。少なくとも、現在皇帝に子どもがいない以上、皇帝が死んだ際には、壬氏が皇帝になる確率が1番高いと言えるでしょう。自分の娘に皇帝の子どもを産ませ、政治を掌握したいと考える子昌ならば、それは邪魔者以外何物でもありません。
子昌は短気で短慮?それとも別な理由が?
ただしそれでも、自身の領内で暗殺を企てるとは、ちょっと短慮すぎな気もしますね。今現在皇帝が元気でぴんぴんしている以上、そこまで焦って壬氏を暗殺する必要などないと思うのです。皇帝の子どもを暗殺するのならまだしも……。
これには何かしら理由があるのかもしれません。例えば、今後何か大きな事件を起こすつもりなのだとか…。
あとは、自分の娘である楼蘭妃が、思うように皇帝の子どもを身ごもらないというのも、焦る理由の1つなのかもしれませんね。聞くところによると、楼蘭はあまり皇帝には好かれてないように見えます。しょっちゅう服装を変えて、皇帝も同じ女生徒は思えず混乱してしまうそうですから。
子昌の考えとは裏腹に、楼蘭はあまりその企みに乗り気ではないのかもしれません。だからこそ、子昌は焦る……。焦って何かをやらかさなければよいのですが…。
壬氏はなぜ猫猫を連れてきたのか?
壬氏はなぜ猫猫をこの出張に連れてきたのでしょうか。壬氏の話から察するに、壬氏はこの旅で自分の正体などを猫猫に伝えるつもりだったようです。
けれども、別に正体を告白するだけなら旅に連れてこなくても、いつもの壬氏の部屋でも十分じゃないですか。この時代盗聴器などがあるわけでもないですし、壬氏の部屋でこっそり話をするくらい何も問題があるはずがありません。
どこかに隠すため
壬氏は、実は猫猫をどこかに隠すつもりだったのではないかと思います。
12巻で、皇太后が壬氏に話しかけた内容を覚えているでしょうか。
「ずいぶん面白い女官に目を掛けているようね?
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳12巻より
……でも、お気に入りは隠しておかないと……誰かに隠されてしまうわよ」
壬氏が猫猫を気に入っていることを知り、警告しているのでしょうね。皇太后に限らず、少し壬氏のことを見ていれば、壬氏が猫猫のことを気に入っていることはすぐにわかります。そして壬氏の正体を知ったよからぬ人間が、自身の野望のために猫猫のことを消してしまおうと思うことだって、決してあり得ない話ではないのです。
上でも述べましたが、子昌に限らず、もし高官の誰かの娘が皇帝の弟の子どもを身ごもったとなれば、その高官は将来国を手中に治めることだって夢ではありませんし、そうでなくても相当の恩恵が受けられることは間違いありません。
そしてそんな邪な考えを持つ人間にとって、壬氏が気に入っている娘というのは邪魔でしかないのです。
だから壬氏は、猫猫をどこかに隠そうとしたのではないでしょうか。わざわざ遠出に付き合わせて、そのまま誰も知らない安全な屋敷などに連れていき、そこで暮らすように便宜を図る…。
ただそんなことをされて、猫猫が納得するとは思えませんけれど……。いや、それも場所によってはありかもしれません。
屋敷の庭には薬草を植え放題、実験も自由にできる、その上欲しい材料は定期的に届けてくれるとなれば、猫猫も意外と気に入るかもしれません。その餌として、牛黄を持って来ていたのだとしたら…。
壬氏も意外と考えているのかもしれませんね。
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳13巻(最新刊)あらすじネタバレと感想・考察|子昌の企みと壬氏の秘密のまとめ
今回は子昌の企みと壬氏の告白がメインの話でした。どちらも未遂に終わってしまいましたが……。
ただし今後、ここで起きた事件がずっと尾を引いていくことは目に見えて明らかです。というか、黒幕が動き出したことで、また1つ大きな事件が起こりそうな予感です。
また、壬氏が猫猫に対して本当のことを言おうとしていることで、2人の関係にも進展があるかもしれません。
そのあたり、今後の展開を楽しみにしていきたいと思います。
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