片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~を読んだのですけれど、主人公のおっさん、ベリル・ガーデナントは、アリューシア・シトラスやスレナ・リサンデラ等どいった第一線で活躍する人達に慕われすぎですね。
こんなに若い子たちにちやほやされるおっさんっているのだろうかとちょっと疑問に思ったりもしたのですけれど、考えてみれば大学でやたら学生に人気のおとなしめの先生がいたり、会社でもぱっと見冴えなさそうなのに人望のある中堅おっさんがいたりしますからね。一応ありなのかなと思います。
果たして片田舎のおっさんベリル・ガーデナントはそれだけ人望集めるような人なのか、主人公ベリル・ガーデナントについてお話ししながら考えていきたいと思います。
片田舎のおっさん、剣聖になるはどんな話か?
片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 1 (ヤングチャンピオン・コミックス)
タイトルを正確に言うと、片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術しはんだったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~です。長いですね。ただどんなお話しかと言われれば、まさにこのタイトルがそのまま使えるので便利と言えば便利です。
片田舎の剣術道場の師範ベリル・ガーデナントは赤ん坊のころから剣に触れてきて、ゆくゆくは騎士や冒険者になりいろんな人を助けて身を立てていくことを夢見ていましたけれど、結局は中年になるまでずっと片田舎から出ることはありませんでした。
けれど、せいぜい自分はこんなものだろう、とかつての夢に諦めをつけていたそのころに、かつての弟子であり王国騎士団の団長でもあるアリューシア・シトラスがベリル・ガーデナントのもとを訪れ、王国騎士団の剣術指南役に招くと語ったのでした。
王国騎士団の剣術指南役と言えばもはや騎士団最強の剣士であることと同義です。ただの片田舎の剣術道場師範がそんな大役務められるわけがない、むしろ恥をかくだけ等と思っていたベリル・ガーデナントですけれど、実は王国一と言っても過言ではない実力を持っていて、しかもその自覚がないだけだったという、そんなお話です。
王国の首都では騎士団長アリューシア・シトラスだけでなく、冒険者ギルドの最高ランク・ブラック級の実力者スレナ・リサンデラ、魔法師団のエースであるフィッセル・ハーベラー等、かつての教え子たちが皆ベリル・ガーデナントを慕って集まってきます。みんな本当にベリル・ガーデナントが大好きなんです。一部、ただ慕っているだけではない好きが混じっているようにも見えますけれど。
騎士団剣術指南役として王国の首都に来てから、強力な魔物討伐をすることになったり、小さなトラブルに巻き込まれたことから王国に蔓延る悪の組織にたどり着いたり、そこで困っている人を助けたり。ベリル・ガーデナントはおっさんになってから、子供の頃の夢が現実に迫っていることを知るのでした。
片田舎のおっさん、剣聖になるのベリル・ガーデナントについて
片田舎の道場で剣術師範を務めている中年男性です。およそ20年前に幼いスレナ・リサンデラに剣を教えていて、その頃のベリル・ガーデナントが見た感じ20歳は超えているように見えるので、今はだいたい40歳後半くらいなのかなと思っています。
自分のことを「片田舎のおっさん」と言って自己評価がとても低く、騎士団指南役に抜擢された際にも自分には務まるわけがないと考えていました。けれどもなまくら剣で巻き藁を綺麗に斬ったり、王国最高の魔術の使い手である魔術師団の団長の猛攻を剣一本で防いだり、王国騎士団副団長が全く相手にならなかったり、特別討伐指定の魔物を倒したり、ところどころでその隠れた実力を見せつけます。というか漫画で言えば単行本1~2巻終わった辺りからすでにその実力隠れてないですし。
こうして見るとよくある無自覚最強系の主人公ですね。なんでこういう系のお話の主人公は皆謙虚過ぎなんでしょうかね。一度自分の実力を実感できたら、後はもうすこし堂々としていればいいのに。ただまあそうはいっても、他の無自覚最強系系の主人公に比べると、幾分マシとも言われていますね。
理由としては、やはりまず、その実力が長い年月とともに培われたものであるからでしょう。ベリル・ガーデナントは幼少の頃からずっと、ひたすら剣術に打ち込んできました。仮に年齢が40歳台ということならば、少なくとも30年以上は剣に生きてきたことになります。チートで力を手に入れてドヤっている主人公に比べれば全然いいですよね。
また彼がずっと田舎で剣術道場をやっていた、ということも考慮しなければいけないでしょう。しかもどちらかというと子供を相手に剣術を教えていたようですから、比較する指標が周囲になかったため、自身の実力を正確に計ることができなかったのです。しかもどうやらベリル・ガーデナントは、父であり師匠でもあるモルデア・ガーデナントにかなり厳しく育てられていたようですからね。そのため自己評価が低くなってしまったという訳です。
あとは年齢でしょうか。ベリル・ガーデナントは中年らしく、他の登場キャラに比べて体力はかなりなさそうです。長時間走って移動するのは無理ですし、戦いにおいても持久力はありません。そこは明らかに他キャラと差がつけられているのです。そういった年齢による体力の限界を感じて自分の評価を下げているというのはあるかと思います。
ベリル・ガーデナントの周りは女性ばかり
さてそんなベリル・ガーデナントですけれど、周囲は女性ばかりです。少し先にも紹介しましたけれど、王国の騎士団長アリューシア・シトラス、同じく騎士団のクルニ・クルーシエル、超凄腕冒険者のスレナ・リサンデラ、魔法師団のエースであるフィッセル・ハーベラーに、更には魔法師団長のルーシー・ダイアモンド。
全員が王国にてそれなりの地位を獲得して、あるいはその力を認められていて、そんな彼女らが一斉に片田舎のおっさんを持ち上げているのですけれど、まあその辺はやはり「なろう系だからこんなもんだよね」と思わずにはいられないです。
後ろ盾のない若い女性が騎士団長をやっていたり、年齢不詳の魔術師団長が幼女の姿をしていたりと言うのもよく分からないというか、都合良すぎと思いますし。
ただまあ、その持ち上げられているベリル・ガーデナントと周囲の女性たちの関係性が、なんというか、完全に父親と娘みたいな感じなんですよね。若干アリューシア・シトラスがどことなくベリル・ガーデナントとの結婚を狙っているような描写もあるのですけれど、基本的にベリル・ガーデナントの彼女らへの対応はどれも「子供を見守る目線」なのです。
よかった、常識人。
いやなんかこれでみんながみんな40過ぎのおっさんに恋してるとかなったら、それはもう完全に気持ち悪いじゃないですか。いくら片田舎の剣聖と崇められていて、めちゃくちゃ尊敬できるおっさんだったとしてもですよ、さすがにそれはないですからね。
まあここまで言っておいて、私まだ漫画しか読んでないんですけど、もし原作小説ですでにそういうハーレムになっていたらちょっとなんとも言い訳ができないですけど。
ともかく、漫画だけ読んだ現時点で言えば、ベリル・ガーデナントが謙虚過ぎるのもあらかた理解できるし、その実力については努力の結晶なのでなんかイラっとすることも少ないですし、周囲はみんな美少女というのはちょっとご都合でしょと思わないでもないけれど、さすがにハーレムという感じではないのでなんかセーフかなと、そんな片田舎のおっさんなのです。
アリューシア・シトラスはベリル・ガーデナントと結婚したい?
登場する女性キャラ殆どが父娘のような感じなのに対して、王国騎士団長のアリューシア・シトラスだけはちょっと様子が違いましたね。一緒に街を歩いてデートだと喜んでいたり、ベリル・ガーデナントが父であり師匠でもあるモルデア・ガーデナントから「嫁を見つけるまで故郷に帰ってくるな」と言われたのを聞いて好都合だと独りごちたり。なんならベリル・ガーデナントが王国の首都滞在中は自分の屋敷に住まわせようとしたり、自分が独身であることをアピールしたり。
まあただなんとなくですけれど、きっとアリューシア・シトラスの場合思春期の思い出を拗らせているような所はあると思うんですよね。アリューシア・シトラスがベリル・ガーデナントから「教えられることはもうなくなった」と言われたのが、絵を見た感じ恐らく10代前半から中盤くらいだと思われます。そしてアリューシア・シトラスはそれまでおよそ4年程度ベリル・ガーデナントに師事していました。
その頃の女の子と言えば、まあやはり恋に恋するじゃないですけれど、やっぱりそういうのに強い憧れを抱いてしまうような年頃じゃないですか。しかも当時「大きくなったら先生と結婚します」と言うくらいに気持ちが膨らんでいたようですから、そんな中突き放されたアリューシア・シトラスの気持ちは行き場がなくなって、ずっと胸の内に貯め込んでしまうことになっちゃったんだろうなというのは想像に難くないですよね。
それに加えて、アリューシア・シトラスがずっと王国騎士団内で頑張って来た理由というのが、どうにか自分が慕っているベリル・ガーデナントを表舞台に引きずり出す、もっとその実力を周囲に認めさせる、もっと端的に言えば、自分の好きな人を世界に正当に評価させたい、そういう想いでずっとやって来た訳です。
これでせめて騎士団で頑張っている最中他にいい人が見つかって、その人に心動かされるようなことがあれば良かったのでしょうけれど、どうにもベリル・ガーデナント以上の剣の使い手は騎士団にいなかった様で、そういう出会いにも恵まれなかったんですね。そうして騎士団の中でも常に自分の好きだった先生と比べてしまうから、尚ベリル・ガーデナントのことが、その頃の自分の想いが忘れられなくなってしまったのだろうなと思うのです。
ベリル・ガーデナントは果たしてその想いに応えることがあるのでしょうかね。とりあえずベリル・ガーデナントの方にはそういう気は全然ないように見えますし、むしろそういうのを意識し始めてしまった方がちょっとどうかなと思わなくもないですけれど、あとはアリューシア・シトラスがどれだけ頑張れるかと、どれだけ周りを味方につけて外堀をうめられるか、という所かと思います。
まとめ
片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~の主人公、ベリル・ガーデナントについてお話してきました。形はどうあれ、これまでの努力が報われるというのはとてもいいことですよね。これから剣聖として王国に名をとどろかせることになる、そんな伝説の1ページの始まりという訳です。
そしてそのためにずっと力を尽くしてきたアリューシア・シトラスとどんなふうに関係が進展していくのか、今のところ漫画を読んでいた限りでは全然進展はなさそうですけれど、ぜひアリューシア・シトラスには頑張ってほしい所です。
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