クライマックスネクロマンスというマンガの感想・レビューです。読みたいと思ったきっかけは、言わずもがな私の大好きな水上悟志先生が原作を務めているからです。ちなみに作画は水上悟志先生のお弟子さんなんだとか。
物語はどういうものかというと、10キロ先のアニメショップと自宅をチャリで往復するようなオタクな25歳女性が異世界に転生してその世界の女神になった妹に会いに行くというお話しです。よく分からないですね。でもすっごく面白かったです。
ということで、今回はクライマックスネクロマンスについてお話ししていきたいと思います。
異世界に召喚されてラスボスとなったイチカ
クライマックスネクロマンスの主人公は25歳の女性イチカ。実家住まいですけれど「休みだからいいのー」のセリフからおそらく働いてはいるのかと。ちょっと前に亡くなったらしい妹の恐らく高校の制服を着ているところ突然異世界に呼ばれて、まあ御多分に洩れずチートな能力でもって敵を倒したりするわけです。ただし、クライマックスネクロマンスの世界のラスボスとして。
本人には全くその気は無いのです。そもそもクライマックスネクロマンスの世界でのラスボスは、この世界の全ての命に不死を与えようとする奴で、ちょうどこの世界の勇者的な存在アズライラと戦っていたところにイチカが召喚されたわけですけれど、そこでイチカがあっさりと倒してしまうんですよね。死者を操るネクロマンスの力を使って。あまりの呆気なさに思わず苦笑いしてしまいました。
アズライラの事情
クライマックスネクロマンスのメインキャラ、もう1人の主人公とも言えるアズライラの使命は、全てのネクロマンサーをこの世から消し去ることです。
そしてやっとこれまで戦ってきたラスボスが消え去ったと思いきや、今度はそのラスボスをあっさりと倒してしまうような無尽の魔力を持つ異世界転移したネクロマンサーが現れてしまい、果たしてどうやって消し去れば良いのか、アズライラには全く見当がつかないわけです。曰く、寝てる間に自身の全力魔力で爆殺しようとしても寝返りで跳ね返されるだろうとのこと。
かくして、アズライラはイチカという最強ラスボスを消し去るため悩まなければならなくなったというわけです。なぜそんなにネクロマンサーを滅ぼしたいのかいまいち分からないのですけれど、まあなんかアズライラにも事情がありそうなんですけどね。
どうやら300年近く生きているそうですし、自身の使役していた死霊の息子だったらしいですし、そもそもアズライラ自身がネクロマンサーでもあったようですし。さらにはラスボス討伐後凱旋途中になぜか命を狙われていますし。国を救った英雄ですし本来なら暗殺される謂れはないはずなのですけれど。
イチカの事情
一方イチカはというと、異世界転移の際に特に女神から何をしろとは言われておりませんでした。世界を救うも滅ぼすもスローライフするのもあなたの旅はあなたの自由ですとのことで。ただその女神というのがどうやら以前亡くなったイチカの妹のようなのです。
今のところ作中において、妹の死について詳しくは述べられていません。ただしいくつか挟まれるカットからどのような経緯だったのかはある程度推察できるようになっています。
例えば、転移前外出中交差点を爆走するトラックを見てあからさまにイチカが落ち込む、というか睨んでいる様子、家に帰ってからその運送会社の営業再開を検索している様子、ポスターや机はそのままなのに綺麗に片付いて誰も使ってない空き部屋と壁にかけてある制服。それにしても爆走トラックが典成運輸とはなかなかシャレが効いてますよね。
またステータス画面が表示された時の記載について。小学5年生並みの腕力とかアニメショップと自宅往復20キロをチャリで行き来する体力とか、あとは地元大学をギリギリ卒業できる知力とか。このステータス画面は妹が用意したんだろうとイチカは言ってましたけれど、要はそういうのを姉のイチカが喜ぶことを知っていて、かつそれを妹はやってあげてるというわけです。10歳歳が離れていたと言われていますけれど、きっとお互い軽口を叩くような気の置けない間柄だったのだろうなと思います。
で、イチカはこの世界の女神になったらしい妹にもう一度会いたいのです。
この後どうやらイチカは、妹に会う方法を探すために、旅立つアズライラについて行こうとしているようです。けれどもそのアズライラの旅は、最強のネクロマンサーであるイチカを滅ぼす方法を探すための旅です。なんかチグハグでおもしろいですよね。クライマックスネクロマンスではそういった過程がものすごく丁寧に、1巻まるまるかけて描写されているのです。全ての事柄をキャラに喋らせて1話で旅に出るような異世界転生ものとは、もうだいぶ一線を画していらなあと思ったのでした。
まとめ
クライマックスネクロマンスの感想、レビューをお話ししてきました。正直読み始めの方は、なんだまた異世界転生ものかとちょっと冷めた感じで読んでいたのですけれど、イチカが転生に至るまでのほんの些細な描写とか、なんであんなに転移したことを喜んでいたかとか、あれきっともしかしたらトラックに轢かれた妹が異世界転生したかもって思ったからこその表情だったのかなとか。そんなことを考えながら読んでるとほんとあっという間でした。
あと、やっぱり水上悟志先生だなあと。女の子、と言えるような年齢でもなかったですけれど、女性キャラが強いですね。なにせ異世界召喚されて腕組んで仁王立ちですから。クライマックスネクロマンスもまだ始まったばかり、腕組み仁王立ちのチート転移者が果たして異世界で何を成すのか、これからも続きを楽しみにしていきたいと思います。
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