ダンジョン飯が13巻14巻同時発売で、とうとう無事完結しましたね。初めはただ単に魔物を色々調理していくだけの漫画と思っていたのが、いつの間にか世界を悪魔の手から救うスケールの大きな物語になっていました。しかも相手は生物ですらない「悪魔」という存在です。果たしてそんな「概念」みたいな相手とどうやって戦うのか。そんなダンジョン飯のラストのあらすじをネタバレ紹介します。
もろネタバレありです。まだ読んでない方は、まずはぜひ一度読んでから次にお進みください。
12巻までのあらすじ
12巻ではマルシルが悪魔に捉えられていました。捉えられるという言い方が正確かどうか少し自信ないですけれど。
マルシルは種族的な理由でものすごく長命で、どれだけ仲の良い人がいても、必ず最終的には自分が生き残ってしまうんですよね。で、世界中のすべての人種が同じ寿命であるよう望んだところを悪魔につけ込まれてしまっていました。マルシルは悪魔の口車に乗せられて、いやこれは誘導させられたとかではなくて半分操られていた?ような感じかもしれません。
半分は自分の意思なものだから尚更タチが悪いというか。そしてそんな状態で迷宮の冒険者やエルフの軍隊に喧嘩を売ってしまったわけです。
13巻あらすじネタバレ ライオスの決意
最終的にはライオスたちの必死の説得で、悪魔の呪縛みたいなものから逃れることに成功したわけですけれど、それまで散々周りに喧嘩売りまくって、結構な犠牲も出ていたみたいですからね。マルシルが世界を変えようとしてしまったことで、世界各地にも影響があったらしいですし、何をやっても許されることではない、エルフたちにそう言われてしまいます。もはや世界の大罪人です。100回処刑しても足りないくらいなんじゃないでしょうか。
そんな状況の中、ライオスがエルフたちに交渉します。自分が悪魔を倒すから、それができたらマルシルの罪を不問にしろと。エルフたちからすれば非常にバカバカしい話です。悪魔とは生物ではありません。そもそも「倒せる」ものではないのです。それなのに悪魔を倒すことを条件に持ち出してくるわけですから、まあエルフたちからすれば虹を捕まえるみたいな妄言に聞こえたのではないでしょうか。
けれどもそんな中、カナリヤ隊の隊長ミスルンはその言葉を信じました。いや、もしかしたら信じてはいなかったかもしれないですけれど、もし倒せる芽があるならば信じたい、といったところかもしれません。悪魔への復讐のためにずっと生きてきて、けれども自身の力ではそれが叶わず、ならばできる者に託したいということなのだと思います。
果たして、ライオスたちは悪魔との決戦に臨みます。
13巻あらすじネタバレ 悪魔との会話
悪魔との戦いにて、ライオスはたった一人で悪魔と向き合うことになってしまいます。もともとはマルシルやチルチャック、センシにイヅツミといった仲間たちとともに挑むつもりだっまたのですけれど、まあそんなのお見通しというか、あっさり分断させられてしまいました。そしてあくまでも話し合いで活路を見出そうとするライオスを、悪魔は言葉巧みに誘惑するのです。
「人の世界は退屈だ」
「君は人間が嫌いだ、だからこそ魔物に惹かれる」
「この世で最も強く美しい魔物に変えてやろう」
「代わりにお前の身体をおくれ」
「マルシルだって一人にはしない」
「世界平和なんて上辺な願いよりよほど大事なことだろう?」
こんな言葉を次々と重ねていきます。そう、完全にマルシルの時と一緒です。マルシルも、悪魔から散々誘惑されていましたもんね、世界に住むすべての人の寿命をそろえてあげようって。そしてマルシルはその誘惑に勝てず、一度は悪魔に取り憑かれてしまったわけです。悪魔は人の深層にうずく欲望をくすぐるのがとっても上手いのです。
さてではそのことを事前にマルシルより聞いていたライオスはどうかというと、まあ残念ながらすっかり悪魔の言葉に耳を傾けてしまい、自分の理想の魔物の体にしてもらう代わりに、自身の身体を悪魔に引き渡してしまうのです。
そもそも、まあ、これまで何百年も何千年も前から人の欲を引き出して喰らってきた悪魔に対して、まだ20年くらいしか生きていない若造のライオスが、話し合いでどうこうできるわけがないんですよね。それにしたってちょっとあっさりすぎる気はしましたけれど。
ということで、ライオスは自分の考える理想の魔物に、そして悪魔はライオスの身体に変化したのでした。
13巻あらすじネタバレ 悪魔の逆襲
ライオスの体を手に入れた悪魔は早速迷宮の外を目指します。これまで悪魔は単なる「力」であり、誰かに行使されなければその力を振るうことができませんでした。けれども、悪魔の声を聞き入れて迷宮の主となったライオス、その体をもらったとなれば、悪魔は迷宮の主となって、自らの力を行使することができるようになるのです。
またこれまでは迷宮の外には出ることができなかったのが、ライオスの身体を得ることでそれが可能にもなりました。どんな邪魔者だろうとその悪魔の力で蹴散らして、迷宮の外に出て、思う存分自分の力を振るえるようになったというわけです。
マルシルたちライオスの仲間が必死に止めようとはするのですけれど、無限の力を持つ悪魔ライオスには全く歯が立ちません。そして迷宮の外に出たところで、悪魔は周囲にいる人たちを次々と食べていきます。いやまあ正確には自分の世界、悪魔の世界?に引き摺り込んだというのが正しいかと。そこでは誰もが永遠に生き続け、誰もが永遠に欲望を満たすことができるのだそうです。
世界中のすべての人をその世界に突っ込んで、無限に欲望を食らうことができるというわけですね。かつて古代人によってその力が危惧され、迷宮に封じられた悪魔の力が、ついに世界に解き放たれたというわけです。
13巻あらすじネタバレ ライオスの逆襲
一方、魔物になったライオスは、ライオスになった悪魔を攻撃し始めます。魔物になったライオスに果たして意識があるんだかないんだかすらよくわかりませんけれど、少なくともマルシルたちを攻撃するような素振りは一切なさそうです。ただひたすらライオスになった悪魔を狙って攻撃し、食べようとするのです。
ただ、ライオスが変化したのはあくまでも魔物という生き物です。生き物である以上は、その力も命も有限なんですよね。それに対してライオスになった悪魔は、確かに身体は人間ですけれど、その本質は無限の力です。どれだけ引きちぎられても問題なく回復しますし、そもそももはや数という概念も崩壊します。魔物になったライオスはライオスになった悪魔を食べるのですけれど、悪魔は無限の力によって、ライオスという人間をいくらでもあっという間に生み出すことすら容易だからです。
果たして、魔物になったライオスは無限に湧くライオスの身体たちにいともあっさりとやられてしまいます。もうがっかりです。ライオスの考える理想の魔物、悪魔には全く歯が立ちませんでした。
けれども、今度は魔物ライオスを倒したライオス悪魔に変化が訪れます。何か違和感が‥‥。
「ライオス、お前何を‥‥。何を食べた?」
そして慌てて魔物ライオスの中に入っていきます。
ライオスが変化した魔物は、ライオスがいつも大事にしている迷宮グルメガイドに載っていました。最後のページの裏に書かれた、「俺の考えた最強のモンスター」‥‥。そこにはページぎっしりと、その魔物の特徴が書かれていました。
時速300キロメートルで空を飛べる。
うんちから森ができる。
海を泳ぐことができる。
そして、比較的新しく書き加えられた一文、すなわち、
欲望を消化することができる。
悪魔に欲望を食われた人間は抜け殻のようになるようです。身体は生きているけれど、心はすでに死んでいるような状態です。では悪魔自身の欲望が食われたらどうなるでしょう?
本来悪魔はどうやっても倒せない存在ですけれど、「欲を食べる」という本来必要のない行為を我慢できなくなっている時点で、すでに悪魔は無敵の存在ではないとライオスは考えました。かつては人の欲をトリガーにして行使できる「力」そのものであり、どんなこともできる無限のスーパーパワーだったのが、満たされないと感じることで一歩無限から遠ざかってしまったんでしょうね。
ライオスを「欲望を消化できる魔物」に変化させてしまったことで、悪魔は自身の欲望を食われることになってしまったのです。
13巻あらすじネタバレ 悪魔の呪い
欲望を食われた悪魔はもはや脅威でもなんでもありませんでした。憑き物が落ちたというか、ちょっと穏やかな表情になったのです。一時的にですけど。欲望がなくなって、もはや存在する意義を失って、形が崩れていくさなか、悪魔はふとライオスの方に向かい、呪いの言葉を吐きます。
私はお前を呪う。
お前の1番の願いは決して叶わない、って。
欲望は無くなったのに、最後の最後でライオスを呪う力はあったのか、と感心するべきか首を傾げるべきか。
そして完全に完全に悪魔は消え去って、ライオスは勝利したのでした。
14巻のあらすじネタバレ
ダンジョン飯 14巻 (HARTA COMIX)
ここからはエピローグなのでさらっと。
もともとはファリンの竜部分を食べて消化することで、混ざってしまったファリンと竜の魂を分離させ蘇生させることがいちばんの目的でした。なのでここからは大勢の人たちに手伝ってもらって、ファリンの肉を食べる大宴会の始まりです。
ライオス、狂乱の魔術師を倒したおかげで、だいぶ周りから新しい王様だと持ち上げられていましたね。黄金城の元住民たちからもですし、オークたちからも熱烈な支持があるようです。
黄金城の元住民たちからすれば、自分たちの元王様…今はもうチリになって消えてしまった、迷宮が発見されるきっかけになった人物ですけれど、彼の遺言は「狂乱の魔術師を倒したものにこの国のすべてを与える」というものでした。
またオークたちからすれば、12巻でも言っていましたけれど、ほかのどんな人間が王になるよりも、ライオスがこの地を統治したほうがよほど話が通じるっていうのもあるでしょう。
まあ後は、ライオスは自分で思っているほどには、周りから嫌われてなんかいなかったということもあるでしょう。ライオスは自分がちょっと変人であることを理解していたと思いますけれど、そんなライオスをほかの冒険者たちはそれなりに普通に認めていましたし、まああとは狂乱の魔術師を倒し、悪魔を倒したという実績もありますしね。もはや誰も反対する人もいないのです。
さらには悪魔を倒したということで、エルフの王族からも認められてしまったわけですから、もうこれは王様にならざるを得なくなってしまったというわけです。
かくして、新王誕生のもと大宴会が開かれて、ファリンの竜部分のお肉が盛大に振舞われたのでした。たくさんの人間の胃袋でしっかりと竜部分が消化されて、あとはファリンの体のみ、ここで蘇生すればファリンはファリンとして復活するはず。ここに来てやっと、当初の目的であるファリンを助けることが叶おうとしていたのでした。
余談
悪魔の呪いについて、一番の望みは叶わないという悪魔の言葉に、ライオスはファリンが生き返らないのではないかと思っていました。たしかに、一番の望みと言ったらやはりファリンの蘇生でしたからね。
けれどもファリンは無事に生き返り、だったら呪いって何だったんだ?という話になります。
ところで、ライオスは悪魔を倒してからここ数日で急激に太ったそうです。なんでも、食べても食べてもお腹がいっぱいにならないのだとか。どれだけ食べても腹4分目くらいなんだって。
そう、悪魔の呪いとはつまり、決して満たされることのない食欲だったということです。悪魔はずっと、欲望を食べて生きてきましたけれど、結局食べてもすぐにほかの欲望が食べたくなってしまう、ずっと満たされない状態だったと言えるでしょう。悪魔としては、その辛さをライオスに与えたわけなのです。
これはなかなか辛いでしょうね…。いやまあ、ファリンが復活しない呪いでなくてよかったなとは思うんですけれど。
まとめ
13巻14巻同時発売でついにダンジョン飯が完結しました。どうやっても倒すことのできない悪魔を相手にライオスがどうやって倒すのか、もう本当に気になって気になって仕方ないところでしたけれど、いざ倒すところを見ると、もうこれしかなかっただろうなと思うほどしっくり来た最後だったと思います。
そしてライオスの必然性も。きっとこの方法で倒すことができたのはライオスだけだったのではないでしょうか。というかそもそも、生命についてや悪魔についてこれだけ思考を巡らせて常に理解をしようとするライオスでなければ、悪魔を倒すという発想にすらならなかったと思います。
ライオスの重度のオタクさが世界を救うというこれ以上にない顛末と、その後のハッピーエンドにとても私は満足なのでした。
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