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少女終末旅行

「生きるのは、最高だったよね…」少女終末旅行の最終話を考察!原作漫画をネタバレ紹介

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少女終末旅行とは、2014年よりネットで連載された、世界の終末を描いたファンタジー漫画です。すでに滅亡が間近に迫った荒廃した都市をチトユーリという2人の少女がゆるく旅をしていきます。

ただゆるく旅をしていくと言っても、都市には人もいなく、食料もほとんど調達できず、常に絶望と隣り合わせな旅になります。そのような中、2人は常に前を向いて、希望を捨てず、おじいさんの「上を目指せ」という言葉を信じて都市の上層を目指し進んでいくのです。

なお、2017年10月から12月まではアニメ放送もされていていました。ただし、全部で6巻で完結する物語の4巻の最後までしか放送されず、その後続きが気になって漫画本を一気買いした方も結構いらっしゃったようですね。

今回はそんな少女終末旅行について、だいたいのあらすじとアニメ以降の原作漫画での展開について、そして原作漫画の最終巻における解釈について、ネタバレ紹介していきたいと思います。

少女終末旅行 公式アンソロジーコミック (MFC) 

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少女終末旅行の大まかなあらすじ

少女終末旅行では複数の小さなエピソードが連なって、2人の旅を物語っています。愛車のケッテンクラートに乗って、チトとユーリは荒廃した都市をひたすら上に向かって進み続けるさなか、食べ物を探してウロウロしたり、お湯を見つけてはしゃいでお風呂に入ったり、綺麗な水辺を見つけたら一緒に洗濯をしたり。ここではそれらエピソードのうち、特に印象に残ったものをいくつかネタバレ紹介していきます。

02_戦争

チトはユーリの狙撃の練習に付き合っていました。かなり遠くの空き缶を、6発中5発は当ててしまうユーリ。「ちーちゃんは武器持たないの?」とユーリの言葉に、「いらないよ、そんなの。ほとんどゴミでしょ」と言い放ちます。結局のところ、相手がいなければ無用の長物ですし、少なくとも2人の歩んできた世界に他の人なんていなかったのですから。

「武器じゃなくても使えるものがあるかもしれない」と言うユーリの提案で、2人はあたりを散策します。けれども見つかるのは機関銃、砲弾、戦車、爆撃機…

「まるで武器の墓場だ」というユーリのセリフには戦争をして滅んでしまった人間たちへの皮肉が込められているようです。

「戦争って殺しあうんでしょ。なんでそんなことするんだろうね」

「さあ…相手と自分の利害が一致しなかったり、例えば3人いるのに食料が2人分しかないみたいなときに、武器をとって戦うしかなくなるんだよ」

まったりとした2人の会話ですが、非常に核心をついています。

2人はそんな“武器の墓場”で、拾った固形食料(レーション)をもぐもぐと口にします。そして最後の1本になった時に、いきなりユーリがそれを奪ってチトに銃を突きつけるのです。

「動かないで。これは私がもらう」

「なるほど。私も武器を持っておくべきだったか…」

「そう…つまりこれが戦争」

武器が散乱する広場での2人のじゃれあいなのですが、シンプルな言葉だからこそ胸に響くものがあるのです。

10_寺院

チンアナゴのような形をした石像が点在する大きな町の中心で、2人は寺院を発見します。寺院の奥にある石板には、寺院は3人の神様を祀るために、およそ400年前に建築されたと言うことが記されていました。

そうやって寺院について調べているさなか、ふとランタンの灯りが消えてしまします。近くにいるチトすら見えない暗闇の中で心細くなってしまうユーリ。

すると突然、周りがぱぁっと明るくなります。

寺院の祈りの時間か何かなのでしょうか。広間の中心、大きな3体の女神像から後光がさすかのように、寺院の中がまばゆい光に包まれます。

そんな像を見ながら、ユーリが呟くのです。

「でもわかんないな。立派な神様も結局にせものなんでしょ。こんな大掛かりなものをわざわざ作る意味ってなんだろう。死後の世界なんて誰にもわからないのに」

「さっき暗闇の中でユーが言ったよね。あの世もこんな真っ暗な世界なのかって。そう言う風に思いたくないから、石像を作って光を灯したりするのかもしれない。安心したくてさ」

そんな地との言葉に、ユーリは静かに反論します。

「安心か…むしろ私はちーちゃんを見つけた時の方が安心したけどね。暗闇の中で」

お互いを頼り、お互いを大事に想いあっている2人の絆が垣間見えるシーンかと思います。

19_記憶

「なんなんだろうね、ここ」「人の住む場所じゃなさそうだし…何かの工場にも見えない」

それは黒い不思議な、大きなタンスのようなものがいくつも立ち並ぶ広い場所です。タンスと言っても同じ大きさ引き出しが等間隔で並んでいる黒い箱といったもので、ほとんどはぴったりと閉じて開けられないものの、中を開けれたとしても変な機械だったり空の薬莢だったり、あるいは布の切れ端だったり服のボタンだったり…何も入ってない空の引き出しも数多くあるようです。

タンスが立ち並ぶずっと奥まで進んでいくと、寺院のあった町で見かけたチンアナゴのような石像が1体、タンスたちを眺めるように立っています。

そこでチトがふと気づきます。

「見て、ここ。小さくて今まで見過ごしてたけど…どの引き出しにもそれぞれ名前が書いてある。これはきっと中身の持ち主の名前だよ」

「じゃあここに入ってるものはその人たちが忘れてったの?」

「忘れられないように入れてあるんだよ…ここは墓なんだ。きっとこの名前と持ち物を誰かに覚えておいてもらうための目印にしたんだよ」

墓といってもそこに骨があるわけではありません。その人を形作る何かが、骨の代わりにそこに入っているのです。死者を忘れない、誰にかに覚えてもらう…それは死者に対する慈しみと言うだけでなく、もはや世界に自分たちしかいないかもしれない世界にて、自分たちのことを誰が覚えてくれるのだろうか、といった寂しさもはらんでいるような気がしてならないのです。

32_仲間

道中、2人は不思議な生物を拾います。それはまるで寺院の町で見かけたチンアナゴの石像そっくりな生き物で、大きさは手の先から肘くらいまで、無表情ですがラジオなどの機械を通して会話ができる生き物でした。読書家なチトが中途半端な知識をひけらかし、ねこじゃないか?との問いに「…ヌコ…」と答えたことから、その生き物はヌコと命名されてしまいます。

そんなヌコを連れてさらに進み、2人は放棄された潜水艦を見つけ調査を始めます。そして人が丸々2〜3人以上は丸飲みできてしまうような大きなヌコに遭遇し、なんとユーリが食べられてしまうのです。

なんとか脱出できましたが、その際にその大きなヌコはこう言います。

「…私が呑んだのはその人間が持っていた小型機械だ…古代の機械には小型でも高エネルギーを持っているものがある。我々は熱的に不安定な物質を体内で分解してより静的な状態に安定させる」

つまり、機械はあらかた食べてしまって作動しないようにしてしまえる、それが自身の存在意義だというようなことを言うのです。そして以前に拾った小さなヌコが仲間だと話しながら、さらに衝撃的な話をし出します。

「我々は最上層以外ほとんどの場所を観測しているが、現在生きている人間は君たち2人しか知らない」

もはやこの世界にチトとユーリ以外の人間はいないと言うのです。実はこの話よりも少し前にカナザワやイシイといった人間と会っているのですが、このヌコと会った時点ではその2人すら生きていないと言うことになってしまいます。

けれどもそれに対して2人は

「ねぇちーちゃん、地球終わるんだって」

「まあ、どうでもいいことだろう…」

アニメではここで最終回を迎えている

見出しの通り、アニメはここの場面で終わりになります。ただし原作漫画ではこの時点で4巻、そこからさらに先2巻分の全6巻で最終回を迎えているのです。

ここからはアニメでは語られていない、アニメの場面以降の展開についてネタバレ紹介していきます。

少女終末旅行のアニメ以降の展開

少女終末旅行のアニメ最終回以降の物語について、いくつかのエピソードをネタバレ紹介していきます。荒廃した世界の謎やより高度な文明の名残など今まで以上に濃いエピソードが多く、むしろここからが少女終末旅行の盛り上がりどころと言えるかと思います。

39_忘却

最上層まで続く塔にたどり着いたチトとユーリ。中に入ると、背の高い女性の立体映像が2人を中まで案内してくれます。

「私はこの基幹塔の管理をしている人工知能です。色々やりますが、基本的に作業する機械と人間との仲立ちです。双方の価値を折衝して安定した方向に導くんですよ」とのこと。

そんな人工知能の立体映像に導かれ、2人は最上層の昇降機まで到着し、あるお願いをされます。それは端末に数字を入力して、カメラを覗き込んでほしいと言うものでした。

言われた通りにしたユーリがどうしてこんなことをするのかと聞くと、

「私が消えます」とは人工知能の弁。数十年かけて自己破壊のコードを書いたものの、最後の認証は人間の手が必要だったから、と言うのです。

「無限の記憶の累積と無限の喪失の累積、それは全ての思考が不可解の向こうへと落ちてゆく。永遠の不眠症です」

「もう終わらせてください」

ユーリがぼそっと、「私たち、誰かに会うとよく何かを頼まれるよね」呟いたのに対して、

「社会の利害とは無関係な場所にいると言う点で旅人と神は似ています。だから頼みたくなるし…祈りたくなる」

「私は失敗作の神様でした。さようなら…」

こういって人工知能は消えてしまうのですが、その姿は、かつて寺院で見た神様の像の姿に非常に似ていたのでした。また自身を「失敗作の神様」と呼んでいることからも、その人工知能が人間たちにとって神様の役割を求められていたことが推察されます。

46_沈黙

無事最上層にたどり着いたチトとユーリですが、ある日ずっと一緒に旅をしてきたケッテンクラートが故障してしまいます。もはや修理も叶わぬ状態だと分かった2人は持てるだけの荷物を持って、歩いて最上層に向かいます。1日中歩いて、疲れて、目を閉じればすぐに眠りにつくし、気がつくと朝の寒さで目が覚めています。歩いている間2人の間に会話も少なく、すっかり疲れ果てた様子が見て取れます。

持っていた銃を捨て、チトが大事にしていた本も捨て、食べ物は重い缶詰から順に片付けていきます。

「今の私たちに必要なのは本の中身より…それを燃やして温めた水…」

そんなチトのセリフからも、2人の状況がいかに切迫しているかが分かります。

やがて2人は上へと続く螺旋の階段を見つけます。階段の向こうは闇。いつしかランタンの灯りも消えてしまい、2人は暗闇の中手を繋ぎ、ひたすら上へと向かって階段を登ります。

「私たちは何もかも失っていった…車両も銃も…本も日記も…」

「そして今光もなく…足音は繰り返しの中に消えていく…」

「これが生きるということなんだろうか…暗闇から暗闇の中へ還っていくみたいに…」

普段はなかなか弱音を吐かない2人ですが、心の中はそんな寂しい想いでいっぱいでした。なぜなら、水も食料も燃料もほとんど尽きかけており、このまま階段の上まで行って何もなければもう後がないということを知っていたからです。

2人はお互いの手を握り合って、ひたすら上へと歩を進めます。

果たして、上方に出口を思わせる光を発見しました。最上層の一番上へ、ついに2人はたどり着いたのです。

少女終末旅行の最終回をネタバレ紹介

螺旋階段を登りきると、見上げた先には空しかありませんでした。今まで、階層型の都市を下層から順に登ってきましたが、空には常に鉄の天井がありました。けれどもここの空には、見渡す限りの星空ばかりが広がっていたのです。2人はとうとう最上層の一番上まで到着したのでした。

周りを見渡すと、一面雪に覆われた大地が広がるばかり。少し歩いた先に雪をかぶった黒い大きな石がありましたが、本当にそれだけです。2人は残った水で「登りきった記念」の乾杯をします。

その後は2人で寄り添って雪に覆われた大地を歩きます。

「…ねぇ、私たちこれで正しかったのかな。もっと早くに引き返した方がよかったんじゃないかとか、もっと別な場所に進んだ方がよかったんじゃないかとか…そしたらもっと暖かくて食べ物もある場所に行けたんじゃないかとか…」

「わかんないよ!」

チトにユーリが言い放ちます。

「どうするのが良かったのかも、どうしてこんな世界に2人っきりなのかも…何もわかんないけど…」と、2人でその場に寝転がって空を見上げます。

「生きるのは、最高だったよね…」

それから2人は最後の燃料で火を焚き水を温め、たった1つ残っていた固形食料を2つに分けて口にします。それから2人で寄り添って布にくるまって、物語は完結するのでした。

少女終末旅行の2人はどこへ行ったのか?

最終話にてチトとユーリはとうとう最上層へ到達し、その目標を達成しましたが、そこにあったのは雪に覆われた広い大地と、雪に埋もれた大きな石だけでした。2人はある程度は覚悟していたのかもしれません。最上層の一番上に着いて何もないことが分かっても2人は大きく取り乱すこともなく、ただ静かに落胆しただけだったからです。

このラストをそのまま見れば、2人が眠りについたことで世界のすべての人類が滅んだことになります。けれども本当に2人はそこで終わってしまったのでしょうか?長いこと2人を応援していた私としては、また別な解釈を支持したいと思っています。

チトとユーリの結末は?

単行本のあとがきを見ると、不思議な光景の場面が目に入ります。あたり一面麦のような植物に囲まれて、2人が呆けているのです。

この場面自体様々な解釈があるかと思いますが、私はこれを、最終話のラストから地続きになっているという考えに賛同したいと思います。

ヌコの仲間たちのセリフから考察できること

少女終末旅行の32話「仲間」にて、ヌコの仲間がこんなことを話していました。

「我々は最上層以外のほとんどの場所を観測しているが、現在生きている人間は君たち2人しか知らない」

彼の言葉から、2人は自分たち以外に人間がもはや生きていないことを知るのですが、ここで気になるのが「最上層以外」という言葉です。逆にいうと、最上層には人間が生きている可能性、もしくは生きていられるなにかがあるということではないでしょうか?

最上層の描写を思い返してみても、特段観測ができないような場所などはないように見えます。ただ広い大地が広がり、その真ん中に大きな黒い石があるのみで、どう考えても観測できない理由がないのです。もし理由があるとすれば、そこに観測できない場所、例えば異次元の部屋だとか、どこか別の場所に移動できる何かがあるとか、そうでもなければそんなことは言わないのではないでしょうか。

魚の養殖場のロボットのセリフから考察できること

もう1つ、24話「生命」で登場した魚の養殖場の管理ロボットのセリフからも、ちょっと気になる言葉が聞かれます。

「この年も大規模な破壊が起こった後はそれっきりです。この層にいた人々もいつしかいなくなりました」

「死んだ」「滅びた」という言葉を単に「いなくなった」という言葉に置き換えただけなのかもしれませんが、もし本当に「いなくなった」というのならば、ここに住んでいた古代の人類は、滅びを回避できるどこかへ行ったのではないか、とも考えられるのではないでしょうか。

古代の文明が集中する上層のさらに上、最上層にそれがあったとしても格段おかしい考えではないのではと思います。

黒い石の正体は?

最終話で登場する広場の黒い大きな石ですが、単行本6巻の巻末のイラストでは覆っていた雪が一部落ち、その表面に模様が描かれていることが分かります。それは人工知能の立体映像がその機能を発揮した際に見せた時の模様と非常に酷似しているのです。そしてその傍らには、2人のヘルメットバックパックが放置されています。

ページをめくると、上で紹介したあとがきの麦か何かの畑の中に佇む2人のイラストです。その2人はヘルメットも被っていませんし、バックパックも背負っていません。ヘルメットとバックパックをおいて、その場所に移動してきたと考えてもおかしくはないのではないでしょうか。

実はこの石について、面白い考察を目にしたことがあります。石の表面は異次元か何かの入口となっていて、あとがきのイラストはその入り口を通って中に入った2人の様子だというのです。

電子書籍ではなく本の方のあとがきのイラストをよく見ると、前のページの黒い石のイラストが透けてぼんやりと見えて、まるで2人の後ろの黒い三角形の入り口があるように見えてきます。

原作漫画の作者つくみずさんがそこまで計算して描いていてくれたのかは分かりませんが、2人の将来に希望を持たせてくれるピースの一欠片であることに違いはないのです。

出典:https://bibi-star.jp/posts/3318

アニメのエンディングからの考察

最後に少女終末旅行のアニメのエンディングアニメーションからの考察です。

エンディングのアニメーションをよく見てみると、2人が階段を降りる場面が挿入されています。この物語は基本的に上層を目指してひたすら上に登っていきますので、物語上階段を降りる場面があることはありません。もしあるとするならば、2人の旅が一応の決着を見せ、その後日談として描かれる場合しかないでしょう。

もしこれが、少女終末旅行について何も知らないスタッフが作ったエンディングアニメーションというならばまだ「作品を理解していないだけ」と判断することもできますが、なんとこのエンディングアニメーションの制作には、原作漫画の作者つくみずさんが全面的に監督しているのです。となれば、原作者の意向が最大限反映されていると言っても間違いはないでしょう。

アニメ自体は最上層へ行く途中で完結してしまっていますが、エンディングでは最上層での2人の様子が原作通りに描かれていることも踏まえますと、やはりこの「階段を降りる2人」は、最上層で何かしら生きる希望を見出し、その上で降りていると考えても差し支えないと思います。

少女終末旅行の最終話の解釈を考察!原作漫画をネタバレ紹介のまとめ

いかがでしたでしょうか?少女終末旅行のあらすじと、最終話に関する考察を紹介させていただきました。実はこの他にも、まだまだ謎は尽きないのですが、ぜひその辺も含めて、一度手にとって読んでみてはいかがかと思います。

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