お互い大学で初めて恋人ができた人同士のお付き合いの様子が描かれた、大学ではじめて恋人ができた人の話。初めてのおつきあいらしいその初々しさや、不器用ながらも大切に想いあっているお互いの優しさ。そしてなによりお互い初めての彼氏彼女でが眩しくて仕方ない漫画です。
ただこの漫画、本当に素晴らしいなと思うのは二人の喧嘩の描かれ方です。今回はそんな大学ではじめて恋人ができた人の話のケンカの描かれ方についてです。
登場人物は主に4人
単行本2巻まで出てるのに、主な登場人物は主人公含めて4人だけです。少し主人公の家族が出てきたりもしますが、基本は初めて大学で恋人ができた2人と、その友人カップルだけです。
東さん
あずまじゃなくてひがしだそうです。黒髪セミロングにロングスカート、教科書入れたクリアケースがトレードマークの女の子です。
もともとオタクっけがあり、家族からは「二次元の恋人ってやつとは違うんだよな?」いつものとは違うんだよな?と心配されるレベルだそう。
西谷くん
高校時代パッとしなかったまま大学に上がってしまったような、どちらかというと可愛い系の男の子です。
キャラに合わず無理に調子のいいことをいったり、キザな言葉を言ったりなど、ちょっと背伸びをしている感じです。あと男の子らしい下心を隠そうとして隠しきれてない感が滲み出ています。
北嶋さん
東さんの友人。オタクに優しいギャルで、東さんとは入学してからとても仲良くなりました。東さんと西谷くんが両想いなのにいち早く気づいて、付き合う前も付き合った後も応援してくれるとってもいい子です。
南中くん
東さんと同じ授業をとっていたちょっとチャラい感じの男の子で、とてもモテます。東さんがあまりに西谷くんのことを話すものだから、一度西谷くんに会ってみたかったんだとか。よく4人でつるんでいて、特に西谷くんのよき相談相手になっています。
西谷くんと東さんのほのぼのエピソード
(ほうじ茶フラペチーノ620円‥‥!?自炊何回分だろ‥‥)
「おっオレが払うよっ!」
(うおおおこれ1回言いたかったんだよなあー!)
「ご機嫌だねえ、西谷くん。なにかいいことあったのかな?」
「いや〜〜〜、それがさ〜、昨日ついに東さんとさ〜」
(おっ、ついにヤったか??)
「ズタバでお茶をした!」
「それでこそ西谷くんだよ」
このなんかほのぼのする感覚、わかりますかねえ。終始こんな調子なので見てる読者の方が赤面してしまいます。
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2人のケンカの描かれ方がうまい
で、2人のケンカの話です。これが妙にリアルというか、描き方がうまいなあと感じたのです。
1つ目は東さんが西谷くんのスマホのえっちな動画を見つけてしまった時の話。
えっちな動画を見つけてケンカになった話
正確に言えばケンカではないんですよね。
きっかけは、西谷くんが東さんの好きなアニメの記事をスマホで見せようとした時でした。間違って西谷くんが普段見ていたえっちな動画の履歴が表示されてしまって‥‥。
東さん的にはそれは別にそこまでショックなことではなかったようです。
(うわあぁぁあぁ、そっかぁ‥‥西谷くんもそういうの見てるんだ‥‥どうしよ‥‥何か私まで恥ずかしい‥)
それ自体にはそこまで怒ってないんですよね。
ただその後、ふと思い出しちゃったんです。
(私とタイプ違う人ばっかりだったような‥‥)
「あれ?東さん怒ってる?」
「別に」 スタ スタ スタ‥‥
西谷くんがいくら話しかけても東さんは無視してひたすら歩き続けます。そしてとうとう、本来一緒に行くはずのお店すら通り越してしまって。
そう、別にケンカというわけではないんですよね。ちょっと拗ねちゃったというか、ムキになっちゃったというか‥‥。で、こういう時本当、男の子の側だとすっごい困るわけなんですけど、それがすっごいうまく表現されていて、わかりみがすごすぎたのです。
温泉旅行の話
もう1つは、これもまたケンカというのとは違うかと想いますが、温泉旅行にまつわる話です。
ふとした会話の中で、東さんの「温泉でも行ってダラダラしたいよぉ〜」からの「じゃあ行く?」と、半ば流れで決まった温泉旅行。
当日まで旅館イベントにワクワクが止まらない西谷くんでしたが、いざ蓋を開けてみると、2人きりではなくて、北嶋さんと南中くんも含めた4人の旅行になっていました。そしてどことなくよそよそしい東さん。
旅行中も微妙に西谷くんを避けてる感じなんですよね。
実はこれにはちょっと理由がありまして。
温泉旅行の話が出る数日前、西谷くん、自分の部屋で東さんを押し倒しているんです。別に東さん、それがいやだったとかではないと思うんです。何となく流れでそのままいくのかなあと思ったくらい。
ただちょうど東さんのバイトの時間が迫っていたために、一旦そこで中断となって、それから何となく顔を合わせづらい状況になっていました。
で、そこからの温泉旅行です。
東さん、西谷くんと2人きりになるのが「苦しい」って言ってました。この表現が適切かどうかはわかりませんが、東さんの精一杯の表現なのかな、と。西谷くんが期待していることとかわかって、でもこの先のことを求められたら、って思うと、苦しいって。
嫌いになったとかではなく、触られるのがいやなわけでもありません。ただちょっと気持ちが追いついてない?みたいな、そんな。少しだけですが、西谷くんに急に今まで以上に男を意識してしまって、怖くなったというのもあったかもしれません。
旅行の最後の晩に東さんがそんな自分の気持ちを西谷くんに吐露するのですが、漠然とした不安をうまく言葉にできなくて、それでも何とか伝えようとする東さんに、読んでいて胸が締め付けられるような思いでした。
そんな感情の表現が、とてもよいなと思ったのです。
ちなみに、東さんからそんな不安な気持ちをぶつけられたそのあとの西谷くん、彼がまたとても真摯でいいやつでした。本当にいいカップルなんだなあと、改めて思わせてくれます。
まとめ
よくよく考えるとケンカというわけではないですよね。ただまあ側から見るとケンカのようにも見えるということで‥‥。
大学ではじめて恋人ができた人の話は、基本は初々しい2人のやりとりを見てほのぼのする漫画で大好きなのですが、上の2つについてはちょっと他とは毛色が違く、特にお気に入りのエピソードです。
そりゃ、大学で初めて恋人ができて、全てが順風満帆に行くわけがありません。相手の拗ねるポイントがどこにあるのかとか、とうやって仲直りするのかとか、あるいはお互いの不安や期待をどうすり合わせていくのかとか。そういったイベントがあって然るべきなんですよね。
そういう点で、非常によいなと思ったわけです。ぜひ読んでみて!
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