この度乙嫁語りの12巻が発売されました。11巻では主にアンカラに到着したスミスの様子とその後が描かれていました。
どうにかスミスを母国へ連れて帰りたいホーキンズの説得を振り切り、カメラを手に再度カルルクたちの住む地域まで戻ろうとするスミス。そして何より、スミスと一緒にいたいという一念で彼を追ってはるばるやってきたタラスとの再会。
12巻はこれまでスミスを案内してきたアリに加え、タラスと、そしてホーキンズの依頼のよって護衛を引き受けるニコロフスキが旅の仲間となり、これまでの道のりを戻っていく様子が中心に描かれています。
アニスとシーリーン再び。
乙嫁語り12巻のメインテーマはこの2人かと。かつてスミスがアンカラへ向かう途中立ち寄ったペルシアの富豪の妻たちで、もとはその富豪の妻はアニスだけでしたが、とある経緯でシーリーンが第二夫人として迎え入れられています(そもそも一夫多妻制なのでそれ自体は特になにも問題ないです)。
アニスの成長。
ここでは特にアニスの成長が描かれていたように感じます。自分の考えていること、想いをしっかりと口に出すようになっていたのです。
かつてのアニスは、自分の考えなどを言葉にすることが苦手な様子でした。何を考えているのか聞かれてもにっこりと微笑むだけだったり、自分の考えを強く主張することがほとんどなかったのです。
ただ今回に関しては、自分のことも自分以外のこともよく喋るし、自分の考えをはっきりと相手に伝えている様子が見られました。
シーリーンの影響か。
乙嫁語り8巻にて、アニスがシーリーンに、自分の考えていることを話して、と言われている場面があります。自分の夫に、自分がどれだけ夫を愛しているかを伝える場面でした。
このように、おそらくシーリーンはさりげなく自分の考えを言うように、アニスに促していたのでしょうね。シーリーンが第二夫人になるまでは、アニスの話し相手は夫か、あとはマーフという女性の従業員くらいしかいないようでした。
やはり夫に自己主張するというのは、向こうの文化ではなかなかハードルが高そうですし、マーフはあくまでも勤め人ですから、アニスと対等に話をするとか、ましてや自分の意見をちゃんと言って、などと言えるような間柄でもないのでしょう。そういう意味で、シーリーンが第二夫人になったことは、アニスにとってとてもいいことだったのでしょう。
これまでアニスは話し相手もいなかった。
そもそもアニスは、かつてはずっと屋敷の奥におり、話し相手といえば飼っている猫や鳥などばかりでした。それがふとしたきっかけで公衆浴場に通うようになり、ほかの女性たちと交流を持つようになり、そのさなかシーリーンと出会いました。
それまでは誰かと話すこと自体がとても少なかったんですね。それがほかの人と話す機会を得て、シーリーンの促しもあって、気持ちを伝えることができるようになったのだと思います。
スミスは基本蚊帳の外。
ちなみに舞台となったペルシアでは、女性が男性と直接顔を合わせることはないようです。なのでアニスとシーリーンの話のときは基本スミスの出番はありません。ただ一緒にいたタラスは女性ですので、アニスやシーリーンと交流を図っていました。
タラスもアニス同様、同年代の女性と話す機会などほとんどなく、そしてお互い全く違う境遇で過ごしてきた女性たちです。お互いがお互いに興味津々な様子、特にアニスとシーリーンの方が、タラスのこれまでの生活やここまできた経緯などを知りたがっているようでした。
これまでのキャラクターがちょくちょく登場する閑暇。
また乙嫁語りではちょくちょくこれまでの登場したキャラクターが姿を見せますが、この乙嫁語り12巻も同様です。今回は特にたまたま暇を持て余したキャラクターたちが、それぞれどんな顔を見せているかにスポットが当てられています。
ライラとレイリも久しぶりに。サーム、サーミとのじゃれあいも。
スミスが沿岸部に立ち寄った際に出会った双子の姉妹、ライラとレイリの近況にも触れられています。天気が悪く暇を持て余しているライラとレイリ、そしてその夫であるサームとサーミが一緒になってだらだらとしている場面です。
ライラとレイリは相変わらず、サームとサーミに無茶難題をふっかけては呆れられると言うのを繰り返しているようです。それにしてもこの4人、本当にこうやっていつも一緒にいるのでしょうか。それともたまたま一緒にいる場面を切り取ったのでしょうか。
乙嫁語り12巻のあらすじネタバレと感想のまとめ。
乙嫁語り12巻が発売されたことを受けて、今回は特にメインテーマである(と思われる)アニスとシーリーンの話題にスポットをあてて紹介してきました。この乙嫁語り12巻はどちらかと全体的に静かに物語が進んでいった印象がありますが、もし以前来た道を戻っているのだとしたら、次にスミスたちが会うのはライラとレイリたちでしょう。
そうなればおそらくまたドタバタと賑やかな展開になるのではと考えています。ちょっと楽しみですね。
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