1980年代より提唱されてきたPDCAサイクルが今、限界に来ているのではないかと言われています。そして代わりに注目を浴びているのが、アメリカ空軍発の意思決定のフレームワーク、OODALoopです。ここではそんなOODALoopについて紹介していきます。
OODALoopとは?
OODALoopとは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大さが提唱した軍事行動での意思決定の理論で、アメリカ全軍やNATO加盟国の他、中国やロシアなど世界各国の軍隊で採用されています。その後シリコンバレーのビジネス界でも広がりを見せ、現在ではビジネスの他政治や経済など様々な分野でも導入されていると言われています。
OODALoopの段階
OODALoopの段階その1:Oserve「観察」
観察とはいうものの、実際には情報収集のようなものです。自分のスペック、相手の状況、環境、市場、コストや資源など、広い視点で物事を捉えなければいけません。
OODALoopの段階その2:Orient「情勢への適応」
非常に重要なフェーズとされている段階です。観察で得た情報を様々な観点から加工し、自分にとって意味のある情報に分析していく過程です。
仮説を立てる、と言い換えてもいいかもしれません。今置かれている状況からどんなことが言えるのか、「観察」のフェーズで収集した情報はどんな意味を持っているのか、思考することです。
OODALoopの段階その3:Decide「意思決定」
「情勢への適応」のフェーズにて得られた仮説をもとに何をするかを決定します。計画を立てる段階とも言えます。
この段階で意思決定に必要な要素が揃っていなかったり、判断を保留せざる得ない状況にあった場合、再度「観察」のフェーズに戻ることもあります。
OODALoopの段階その4:Act「行動」
「意思決定」のフェーズで決まったことを実行に移します。またこの行動による結果を受けて、再度「観察」のフェーズにもどることになります。
OODALoopの特徴
このOODALoopの大きな特徴、利点は「今自分の置かれている状況を総合的に判断する」ということだと考えられます。段階その2:Orient「情勢への適応」のフェーズです。
ビジネスの場では時として非常に素早い決断を迫られることがあります。意図しないところから不意に商談が舞い込んで来た、急なトラブルに見舞われた、相手先の状況かこちらの状況が急変する事態があったなど、枚挙にいとまがありません。
そのような中、自分と相手と、それらをとりまく様々な要因を総合的に加味し、「こうすればこうなるかもしれない」「これにはこういう意図が含まれている」と仮説を立て、それを元に迅速な決断を下すことができます。逆にこのフェーズがないと、状況に対して表面の事象だけを元に判断することとなってしまったり、逆に十分な情報が集まり計画が立てられるようになるまで行動に移せない、ということにもつながります。
日本のビジネス市場の問題点・PDCAサイクルの限界
これはまさしく、今の日本が抱えている問題に通じると言えるのではないでしょうか。移りゆく市場状況の中、様々なリスクを勘案し、計画を立て、いざ実行しようとする段階にはすでにライバルがその市場をもぎ取ってしまっている、あるいは商機を逸してしまっているのです。
PDCAサイクルの限界もまさにそこにあると言えます。最近のビジネスの場ではこれにR:ReseachをつけてR-PDCAと言われることも多いですが、このフレームワークに沿うとなると、まず計画を立てなければサイクルが回りません。
また「評価」フェーズが確実に存在するため、計画の立案者は計画の評価を常に気にするようになってしまいます。特に日本のビジネス界においては、計画に対して常に責任者=責任を取る者への当たりが強いものですから、余計慎重にならざるを得ません。
結果として、リスクを負わずして益を取るための計画が策定され、複数の決裁者の承認を得て、実行に移される頃にはすでに機会を失っているのです。
PDCAサイクルに替わる新たな活動のフレームワーク、OODALoopとは?のまとめ
OODALoopの概要と各段階、そして既存の活動のフレームワークであるPDCAサイクルの問題点について触れてきました。まだまだ広く知れ渡っているとは言い難いOODALoopですが、その有用性は多くの機関や企業が認め、着実に広まりつつあります。
是非この機会に一度勉強してみてはいかがでしょうか?
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