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迷宮クソたわけ(せいほうけい版)がおもしろい件について|物語の残酷さと作画の魅力

この記事は約14分で読めます。

迷宮クソたわけという物語を知っていますでしょうか。小説投稿サイト「カクヨム」にて連載されているweb小説なんですけれど、今回紹介するのはマンガ版、それもせいほうけい氏がファンアート的に描いている無料で読めるやつの方です。

原作はイワオト氏ですけれど、その世界観やらなんやらに惚れ込んだせいほうけい氏がイワオト氏に許可をとって、漫画化しているそうです。

せいほうけい氏はもともと、ずっとダンジョンRPG的なオリジナル漫画を描いていましたから、なんか波長が合ったんだと思います。せいほうけい氏オリジナルの漫画の方は、もう少しだけマイルドというか、ほのぼのしてましたけれど。

逆に言うと、迷宮クソたわけはかなりハードです。人の命なんか羽のように軽くて、ネームドキャラもバンバン死にます。情け容赦無用というやつです。残酷ですけれど、死と隣り合わせのダンジョンにとってはそれが当たり前なんですよね。

ということで、今回はそんなせいほうけい氏の迷宮クソたわけについて語っていきたいと思います。

ちなみに、kindleで全て無料で読むことができますよ↓

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迷宮クソたわけってどんな話?

主人公は債権奴隷

買った奴隷を冒険者の養成所に放り込んで、迷宮に潜らせて稼がせるという投資があるそうです。この主人公はまさしくそういった債権奴隷の1人で、養成所で適当に組まされた同じ研修生とともに迷宮へと入ります。

そしてそこまでにかかったコストが金貨200枚ということなんでしょうね。奴隷の購入代金に養成所での研修、あとは手数料やら利息やら‥‥その他諸々といったところでしょうか。

ちなみにその養成所、別に債権奴隷専用とかでなくて、冒険者を目指す人なら割と誰でも入れるようです。迷宮の街の自由市民だったり、国教の僧侶だったり、いろんな人がいろんな理由で冒険者を目指して、養成所の門を潜るようです。

初の死者は罠解除の失敗

宝箱の罠の解除に失敗して、盗賊が命を落としました。倒した魔物が持っていった宝箱で、中身は汚い革帽子と小銭でした。迷宮に入って30分、尊い命と引き換えに得たのは、雑魚中の雑魚である大ネズミ3匹の討伐とガラクタのみ。けれどもこれが、迷宮クソたわけで描かれる迷宮なんですよね。

ちなみにイワオト氏の原作では、この盗賊は男として描かれていました。ちょこちょこ、せいほうけい氏のアレンジが加えられているようです。

パーティーの入れ替わりが激しい

迷宮クソたわけ、パーティーメンバーがしょっちゅう入れ替わります。

例えば、先に紹介した盗賊が死亡したあと、さらに前衛2人が迷宮に入ることを拒否しました。ここでまず3人減です。そのあと新たな前衛2人と盗賊職が加わって6人に戻りますけれど、割とすぐに前衛1人が死亡して、その前衛と仲が良かった盗賊がパーティーを脱退します。

そもそも、迷宮に入る仲間たちみんなが仲良しと言うわけでもありません。みんなそれぞれ思惑や事情があって冒険者となり、たまたまパーティーを組んだだけのメンバーです。もちろんともに生死の境を行ったり来たりしていますから、それなりに仲間意識だったり情だったり沸きますけれど、基本は他人なのです。

理由があればすぐに解散するし、気が向けばまた一緒に冒険します。そんな迷宮の仲間事情なのです。

為政者の都合に振り回される主人公たち

主人公たちを呼びつけて、無茶な仕事を振る酒場の店長です。まだまだ、主人公たちの実力ではとても攻略できない階層まで行くことを強要されます。パーティーのメンバーは皆それなりにこの店長に借りがあることから、強く言われれば断ることが難しいのです。

この依頼、かなりの高難度ミッションだったわけですけれど、主人公たちはなんとかそれを達成することができました。そして冒険者ギルドに顔を出して、このセリフです。

上層部はもとから、主人公たちにお金を払うつもりなど毛頭ありませんでした。いえ、多少は払う気なのかもしれませんけれど、少なくとも事前に打ち合わせしていた分を満額払うつもりはまったくないようです。

迷宮の外でも、冒険者の命など軽いものです。たとえ何かを成し遂げたとしても、それが為政者にとって都合が悪ければ揉み消されますし、そこな異論を挟む余地などありません。

ある意味迷宮なんかよりもよほどシビアです。魔物よりも人間の方がよほど怖いのですから。

まあそんな為政者たちを、さらに容赦のない輩が暴力で脅して金を巻き上げるわけですけれど。耳やら手首やらを散々斬り落として満額払うよう脅すわけです。

この脅迫をしているガルダという男、なかなかの悪辣で、自分の目的のために主人公たちも為政者たちもとことん利用し尽くします。けれども、こうやって政治家たちを斬り刻むところを見るのは、正直いってスカッとしました。

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虚弱な魔法使い主人公の「ア」が結構すごい

迷宮クソたわけの主人公は「ア」といいます。彼を買った商人が名前をつけるのを面倒くさがり、「ア」でいいや、とそのまま名前をつけてしまったのです。

そんな債権奴隷の魔法使いアがなかなか有能です。というか、このアの有能さが迷宮クソたわけの最大の魅力だと思います。

有能というのは戦闘能力のことではなくて、一言で言うなら「生き残る力」といったところでしょうか。どんな状況においても、決して混乱せず、自分と周りをしっかりと分析して、最善手を考え出すのです。

大事な局面で交渉役に

迷宮が狂信者集団に占拠された際、敵の親玉との最終的な交渉を担ったのがアでした。

そもそもは、パーティーの中で一番、狂信者集団に紛れ込んでも違和感がないというのが前提の理由でした。確かに、前衛の3人は敵アジトに潜り込むには体格が良すぎて疑われやすそうですし、後衛2人もまたいくつかの事情で潜入には向いていませんでした。

そしてアは、その役を見事こなします。相手に惑わされず、常に冷静で、言うべき時にハッキリとものを話す。簡単なことのように聞こえて、これがなかなか難しいのです。

目的完遂のために最善手を導き出せる、無意識ではあるのでしょうけれど、無敵なスキルだと思います。

パーティー解散の危機を救う

落とし穴に落ちて一気にヤバい階層に来てしまった主人公たちのパーティーは、これまでの小さい衝突の積み重ねや太刀打ちできない魔物への恐怖で、それぞれが冷静さを失ってしまいます。

そしてパーティーが空中分解しそうになった時に、アが咄嗟に機転を働かせます。誰もが恐怖に頭を支配されている中、まったく予想もしないことを起こすことで、一時的に恐怖を頭から押し出したのです。

ちなみに第二候補としては、みんなの前で突然おしっこすることも考えていたのだとか。ちょっとそれはどうかとも思いますけれど。

確実に成長している

迷宮に潜って魔物を倒すと、冒険者は成長します。前衛なら力や体力、盗賊なら器用さなど、そして魔法使いは使える魔法の数や種類が増えていきます。「迷宮順応」と言われ、これが進むとより超人的な力を得るようになります。いわゆるレベルアップというやつですね。

もう少し詳しく言うと、迷宮の魔物を倒した際にその呪われた魂が倒した冒険者に取り憑き、睡眠を取るなど油断した時に取り憑いた冒険者の魂を変質させるのだとか。

そしてアは、その迷宮順応が確実に進んでいます。初めての迷宮の際は火炎球の魔法一発しか撃てなかったのが、今では複数の種類の魔法を1日に何発も撃てるようになっています。

ちなみにこの迷宮順応ですけれど、さらに進むと、迷宮の中では食事も睡眠も必要なくなってくるそうです。実際に原作の小説の方では、伝説級の冒険者が迷宮に飲まれて、そのまま帰ってこなくなるなんてエピソードもあったくらいですし。

要は魔物になっていくってことらしいんですよね。迷宮の外では長く生きていられなくなると言われています。

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作画の魅力について

こういってしまうとちょっとなんかアレですが、この物語ってイケメン美少女が出てきてはいけないと思うんですよね。決して、せいほうけい氏の絵がイケメン美少女ではないというわけではなくて、なんというか、血と涙と泥とで顔がぐちゃぐちゃになるのをちゃんと描いてくれる人でないと、迷宮クソたわけってその魅力が半減してしまうと思うのです。

ルガム

女戦士ルガムが過去を語った際に出てきたシーンです。村を襲った盗賊十数人を撲殺して逃走、村の男たちが何とかしてくれると思っていたところ、今度はその男たちが盗賊に脅されて襲い掛かってきて、それもまた撲殺。

村の男たちはすべて見知った顔ばかりでした。当然です、盗賊に村が襲われる数時間前には仲良く挨拶などしていた人たちです。それを、自分の命惜しさに片っ端から殴り殺したのです。まさに生への執念と言ったところでしょうか。けれどもきっと、極限状態になった人間って言うのはこういう者なんだろうなと思うわけです。

パラゴ

頼りにしていた前衛の相棒が死んでしまい、悲しみに暮れる間もなく「今度はお前が前衛だ」と言われたときの盗賊パラゴです。ちなみに相棒が死んだ原因は、パラゴが強硬に前進を主張したためでもあります(前進を主張したのはパラゴだけではありませんでしたけれど)。

前衛は、盾になって後列を守らなければいけません。通常、前衛は戦士職の人間が担当するのですが、その戦士職が1人死んでしまって、順番でパラゴが前衛に立たなければいけなくなりました。けれどもパラゴは戦士ではありません。魔物の攻撃をもろに食らってしまえば、致命傷は必至でしょう。けれどもやらなければいけません。もし魔物が出てきたら、命を覚悟しなければいけない、そんな状況なのです。

ステア

仲間があっさりと死んでしまったところを見て泣き止むことができず、仲間に布を噛ませられた僧侶のステアです。

確かに、泣いていたら魔物が酔ってきますからね。この女の子、なかなか死にませんが、結構泣き虫なものですから、結構こういう扱い多いような気がします。

こちらは仲間の死に放心しすぎていて回復魔法を唱えられず、回復魔法唱えないなら死ね見たいなことを言われてぼろくそになったステアです。

致命傷を負ったのは前衛に出ていたパラゴでした。そしてもしパラゴが死んでしまったら、今度は魔法使いのアか僧侶のステアです。盗賊以上に、前衛に出したら間違いなく死んでしまう部類の職業です。

シガフール

英雄に憧れて冒険者になったシガフール。極限状態になって仲間にキレだします。もともとメンバー間で意見が対立していた中での、罠による望まぬ下層への移動でした。下層に行けば行くほど魔物の危険性は高くなっていきますから、そのストレスは計り知れません。

そう、迷宮での命のやり取りはまさに極限状態の連続なのです。みんなものすごく神経をとがらせていて、不測の事態にピリピリしたりするのです。こういうのを見ていると、迷宮のヤバさがビリビリと伝わってくるんですよね。

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迷宮クソたわけ(せいほうけい版)がおもしろい件について|物語の残酷さと作画の魅力のまとめ

せいほうけい氏の描く迷宮クソたわけがとても面白いです。常に死が迫っているような物語の適度な残酷さ、そして死が迫ってる極限状態を勢いよく描いてくれる作画が非常にマッチしています。

Amazonですべて無料で読むことができますので、もし興味があればぜひともチェックしていただければと思います。

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