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感想・レビュー 死に戻り令嬢の仮初め結婚→儚い幸せを懸命に守ろうとする2人のお話

この記事は約7分で読めます。

最近読んだ死に戻り令嬢の仮初め結婚がなんだかとても印象に残っていたのでお話ししたいと思います。「死に戻り」という名の通り一度死んでしまったのが、その時までの記憶を保持したまま8年前の10歳までタイムスリップし、人生をやり直すという物語です。

幼いながらも人生を変えたいという主人公のすがるような願いと決意、そして自分が死ぬことになった原因に対する不安等が繊細に描かれていて、ついつい引き込まれてしまいました。

あと、何より絵がすごく好みだったんですよね。柔らかいというかふわふわしたというか、眩しい感じ?で目が離せないのです。

今回はそんな死に戻り令嬢の仮初め結婚についてお話ししようかと思います。

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死に戻り令嬢の仮初め結婚のあらすじ

主人公のセレストは幼いころに両親を亡くして以来、両親の兄夫婦の家に引き取られて、兄夫婦とその娘に苛められながらも健気に生きてきました。その後11歳で、国でも片手で数えるほどしかいない星獣使いとなったことで軍属となり、同じく星獣使いの将軍フィル・ヘーゼルダインのもとで活躍することになります。

星獣、本当に選ばれた人にしか心を通わすことのできない国の守護獣みたいなものらしくて、すごく名誉で本来大事にされるべきことなのですけれど、家では相変わらずの扱いで、正直持て余されていた感じらしいんですよね。で、同じく平民で星獣の主となったフィルもまた同じく持て余されていて、将軍ではあるものの王家からは疎まれている存在です。

つまるところは似たもの同士で組まされているようなものですね。ただお互いそんな境遇なので分かり合えるというか、2人はそれなりに良い関係であったのです。信頼できる上司と心を通わせる星獣がいたことで、セレストの人生は多少は良くなっていました。

けれどもある時いきなりその生活が崩れます。星獣を両親の兄夫婦の娘に奪われて、しかも自身は不当に星獣を使役した罪で投獄され、即刻死刑となってしまうのです。

で、気づくとなぜか幼いころに戻っていました。いわゆる死に戻りというやつですね。8年前、初めてフィルに出会った前日です。

セレストは10歳の時に一度、フィルに会っていました。戦功を上げていたフィルの褒賞として爵位と将軍の地位、そしてセレストとの縁談が与えられる予定だったのです。けれども当時セレストはまだ10歳、フィルは幼いセレストのために辞退せざるを得ず、それによって爵位も将軍職も辞退したことにできるというのが王家の狙いだったのです。

両親の兄夫婦にこれ以上搾取されたくない、虐げられてきた人生を変えたいセレストは単身フィルの自宅へと押しかけて、明日の褒賞授与の場で自分と結婚することを頼みに行くのです。ずっとずっと奪われるだけの人生を変えるために、いや取り戻すために、セレストは未来の記憶を頼りに行動を開始するのでした。

死に戻りのセレストとフィルの幸せが儚くて目が離せない

死に戻り令嬢の仮初め結婚は、とにかくセレストとフィルを応援したくなる物語です。なんというかですね、セレストは死に戻りのおかげで未来のことを覚えているのですけれど、じゃあそのおかげでなんでも万事解決とはいかないのですよ。未来のことを知っていたとしても砂上の楼閣というか、せっかく得た幸福が何かちょっとしたことで全て崩れ落ちてしまうような、そんな儚さがあるのです。

死に戻りにせよ乙女ゲームへの転生にせよ、未来を知っている主人公ってなんでもできるというか、割となんでも未来を知っていることで簡単に解決してしまうこと多いじゃないですか。それが死に戻り令嬢の仮初め結婚にはないのです。

いやもちろん、セレストの行動で運命が変わって、実家で酷い扱いを受けていた頃とは比べるまでもなく幸せそうに笑っているのですけれど、それでもずっとずっと、どこか不安な思いを感じずにはいられないんですよね。

義理の妹に奪われた星獣は死に戻りの後本当にちゃんとセレストの元に来てくれるのかとか、ちゃんとセレストのところに来てくれはしたけれどその力は全盛期とは比べ物にならないくらい弱まっていたりとか、夫婦揃って星獣を持っていることで逆に結婚を解消されそうになったりとか、なんとか婚姻の継続は叶ったけれどもいつ引き離されるかわからない状態のままだったりとか‥‥。よしやった、ざまあみろな展開にならないのです。

まあそういうの見たさで死に戻り令嬢の仮初め結婚を読むと確かに肩透かしというか、なんだよ全然スッキリしないじゃんってなるのですけれど、正直1回ざまあ展開があるとその時点でもう物語を読み進めるのが止まってしまうんですよね。もういいかなって。

死に戻り令嬢の仮初め結婚は、確かにざまあの展開はないのでスッキリ晴れ晴れにはならないですけれど、不安が残る中でもセレストとフィルが一生懸命に幸せを掴もうとして、得られた小さな幸せを大事にしている感じがあって、それが読んでいてとても暖かくなるというか、泣きたくなるというか、そんな気持ちにさせられるのです。もっとこの幸せが続いてほしいなって、そんな気持ちにさせられるのでした。

絵が素敵すぎる

儚さという話をしていましたけれど、その大部分が絵柄によるものだと思います。線が細いというか柔らかいというか、まあ好みの問題なのではあると思いますけれど、なんとなく物語にすごくあっている気がするのです。光の描き方なんでしょうかねえ。

この画像はフィルにとって本当に気の許せる友人と、心を通じ合わせている星獣たちとだけで上げた結婚式、というかまあささやかなお祝いといったところなのですけれど、少し暗い気持ちだったのがほんの少し希望がさしてきたような、そんな気持ちにさせてくれる一場面です。

またこちらは二度目の人生にて結婚したセレストとフィルが王城の庭園を歩いていますけれど、今後どこに住もうかとか誰に頼ろうかとか、そういう話をする場面です。セレストとしては幸せを掴んだというか、少なくとも奪われるだけの人生から解放された後なのですけれど、単純にやったよくできたって喜ぶではなくて、どちらかというとほっとしたとかなんとかなったとか、そういう感情が伝わってきます。

あとはちょっと気まずい感じもでしょうか。年齢差が相当ある上にセレストはまだ10歳、通常であれば結婚する年齢ではないですからね。セレストに壊れて結婚することにはなったものの、フィルとしては本当にこれでよかったかとか、不安とまではいかないでも、どう接して良いかわからないというのはあったでしょう。それを気にしてかセレストから社交辞令的な会話を切り出すのも、読み手としてはなんかとてもするりと入ってくるんですよね。

あと見逃せないのが、義理の妹と共にセレストの星獣を奪い断罪した王太子ジョザイアの存在です。死に戻りすることになった原因は間違いなくこのジョザイアで、セレストもフィルも今から8年後に敵対することが分かっている相手です。

だから尚更、こういうカットが挟まれるとものすごく不安になるのです。これは褒賞の授与の場で、王家から賜られ断るだろうと思われていたセレストとの結婚をフィルが受けて、2人が何気なく笑顔を交わしたところをジョザイアが見ている場面です。この面白くなさそうな顔。顔の歪みも余計な言葉もありません。けれども、未来でセレストを追い詰めた張本人であることが分かっている上で見ると、なんか引っかかる感じがするじゃないですか。

そしてその後フィルとセレストが2人で庭園てお話ししてるさなかに笑顔で登場するのです。貼り付けたような笑顔で。そしてそれを見てきゅっと警戒心が出そうになって隠している風なのがにじみ出ているセレスト。なんかこういうちょっとした表情が挟まってくるのが妙に不安を掻き立ててくるんですよね。

さらにもう1つ。この画像はセレストが2回目の人生で初めてフィルの星獣レグルスに出会ったときの場面です。はじめはただ単に懐いているだけかと思いきや、見ての通りフィルの星獣レグルスはセレストが死に戻ったことを理解しているんですよね。レグレスには未来の記憶があるようなのです。こういう表現というか間の取り方というか、そういうのがなんか私の感性にぴきゅーんってくるのです。

死に戻り令嬢の仮初め結婚は小説家になろう発の小説が原作なのですけれど、文章にはないこういった小さな1コマをなんか効果的に挟んでくるというか、行間にある登場人物の些細な表情をチラリと見せてくるというか、そういう表現が物語を一層厚みを帯びてくる、そんな作画がとても素晴らしいなと思うのでした。

まとめ

死に戻り令嬢の仮初め結婚という作品についていろいろとお話ししてきました。多分人によって好みは分かれると思うんですよね。派手な展開とか主人公をいじめていた敵役のざまあ展開なども今ところは全然出ないですし、むしろどんどん不安を煽ってきますし。

けれど今にも崩れそうなセレストとフィルの小さな幸せを、もふもふの星獣や仲間達とともに見守りたくなるその暖かさは、なかなか得難いものなんじゃないかなあと思います。気になる方はぜひぜひ無料試し読みからでも見てみてくださいね。

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死に戻り令嬢の仮初め結婚~二度目の人生は生真面目将軍と星獣もふもふ~(1) (ヤングキングコミックス)

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