エヴァンゲリオンのアスカはツンデレか?

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知り合いと話していたときにふと出た会話。

「ツンデレといえばエヴァのアスカだろ?」

「は?」

世間一般ではアスカはツンデレとされているのでしょうか?アンケートをとったわけでもないので分かりませんが、彼が言うには、一般にアスカはツンデレだと言うのです。

けれども私としては、その意見には異を唱えたいと思います。彼女はツンデレではないのです。

今回はそんなエヴァンゲリオンのアスカの話です。

アスカがツンデレと言われる理由

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エヴァンゲリオンのアスカといえば「あんたばかぁ?」のセリフが有名です。シンジに対してこれでもかというくらいに食ってかかって、けれども心のどこかでシンジを頼っていると言うか、信頼して心を寄せているような描写が見られます。

例をあげると、「瞬間、心重ねて」ではペアルックに文句を言いながらもしっかりとシンジと呼吸を合わせて使徒を倒していますし、「マグマダイバー」のプールのシーンではぶつぶつと文句を言いつつも、「見て見て〜」と飛び込みの際にシンジの気を引こうとしています。また決定的なのはやはり「嘘と沈黙」のキスシーンでしょう。

「ねぇ、キスしよっか」と言ってシンジにキスを迫るシーンはなんとも言えないドキドキが伝わってきます。嫌いな人とキスなんてまず間違いなくできないでしょうから、確かにアスカはシンジのことを嫌っているということではないのですね。

なるほど、確かにこれだけ聞くと、アスカはシンジにに対して普段ツンツンしていて、けれどもどこかのタイミングでデレている、とも捉えられます。けれどもこれは本当にツンデレなのでしょうか。

そもそもツンデレとは何か

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ツンデレについて、Wikipediaを見ると、以下のような記述がありました。

「初めはツンツンしている(敵対的)が、何かのきっかけでデレデレ(過度に好意的)状態に変化する」、「普段はツンと澄ました態度を取るが、ある条件下では特定の人物に対しデレデレといちゃつく」、「好意を持った人物に対し、デレッとした態度を取らないように自らを律し、ツンとした態度で天邪鬼として接する」ような態度である。

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私見ですが、ここで論点になるのは、果たしてアスカはシンジに対してデレているのかという点ではないでしょうか。もっと言うと、確かにアスカはシンジのことを嫌っていたわけではないでしょうが、特段好意を寄せていたわけでもないのではないか、ということです。

アスカの人物像と背景。

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4歳のときにエヴァンゲリオンパイロットの適格者として選出され、以後英才教育を受けてきたエリート中のエリート、登場した14歳の時点ですでに飛び級で大学を卒業しているほどの才女です。一方で非常に自立心が強く、他人に認めてもらえないと自身の価値を確認できないようなところがあります。

物語終盤ではシンジにシンクロ率で負けてしまい、使徒にも敗北するなど自信を喪失してしまういくつかの出来事を経て、その精神を病んでしまいます。それも上記の性格が災いしてのことでしょう。

その主だった原因はアスカの幼少時の出来事にあります。アスカが幼い頃、母親が事故により精神を病んでしまい、本来母親からの愛情を一身に受けるべき時期に愛情を受けられなかったことが劇中でも示されています。

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アスカがツンデレではないと考える3つの理由。

その1:誰かに認められたくて仕方がない。

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精神を病んだ母親に振り向いてもらいたくて認められたくて一生懸命努力して、結局それすらも叶わなかった。その過去が尾を引き、それがシンジへの態度にも現れていると推察されます。

もっと言うと、アスカは愛情にとことん飢えているのです。とにかく誰かに認められたい、自分を見てほしい。

もちろん、誰でもいいわけではないでしょう。けれども誰がいいというわけでもないのです。

たまたま縁があって一緒に暮らすようになった相手がシンジだったから、シンジに対してデレているような態度をとっているだけです。逆にいえば、もし一緒に暮らしていたのが他の男性キャラクターであったら、その時はシンジではなく別なキャラクターとキスしていたのではないでしょうか。

その2:ツンデレの定義に当てはめてみる。

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ツンデレにも複数の意味がありますので、1つ1つ検証していきます。

時間経過とともにツンがデレになるツンデレ。

はじめはツンツンしているけれど、後にデレるというパターンです。アスカは最後はデレていません。時間を追うごとに追い詰められていき、最後は精神を崩壊させてしまいます。

精神を崩壊させてしまう少し前アスカはシンジにキスを迫りますが、これについても好意というよりは加持とミサトに対する当て付けのようなところが大きいでしょう。キスを迫ったちょうどその時間、アスカが想いを寄せていた加持はミサトと会っていて、それをアスカは察していたからです。

普段はツンだけれど特定条件下でデレになるツンデレ。

仲良く話をしているシーンもなくはないですが、デレるというほどに好意を見せているような描写はあまりありません。またシンジに多く絡む時は大抵レイも一緒にいることが多いです。

シンジに対する好意というよりは、どちらかというとレイに対する対抗心の方が先に立っているように感じられます。

好意を持った相手に対してデレないように自ら律しているツンデレ。

デレないように自らを律しているような描写は見受けられません。アスカは自由です。

言いたいことを言って、好きなように振る舞います。あれでシンジに対する好意を隠しているのだとしたら相当の演技派ですが、アニメの表現としてそこまで徹底的に隠す必要はないでしょう。

その3:アスカの余裕のなさと拠り所。

アスカがツンデレではないなと感じる理由としてもう1つ、アスカの余裕のなさが挙げられます。アスカは愛情に飢えている、もしくは幼少期に愛情の受けれなかったことがトラウマになっているため、自分の価値を自分で決められないヒロインなのです。

するとどうなるか。劇中後半、アスカはどんどん自信をなくしていって、ついにはシンジからも行方をくらませてしまいます。

の頃というのは、レイとは明らかに決別してしまっていますし、想いを寄せていた加持は結局アスカを方を向くことは一切なくミサトとくっついてしまいます。

エヴァンゲリオンを動かせなくなった以上他のネルフスタッフに頼れるはずもないですし、加持を奪ったミサトに至っては頼るなど論外です。

もしこれが普通のツンデレだったら、こういうときにこそシンジに寄りすがるのではないでしょうか。ネルフに必要とされなくても、シンジは受け入れてくれると無意識に思ってしまうのですね。

けれどもアスカにその選択肢は一切ありません。エヴァンゲリオンの操縦というアスカの1番のアイデンティティでシンジに負けてしまった以上、シンジはアスカにとっては敵なのですから。

常にマウントを取りたがる大人というものがよくネットで話題に上がりますが、まさしくその最終形態、拗らせた状態がアスカだと言っても過言ではありません。自分の価値を自分で決めることができないのですから。

レイもミサトもツンデレといえばツンデレだけど。

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レイ。

レイもシンジに対して、時間の経過とともに心を許すようになってくる描写が見られます。これもある意味ツンデレと言えなくもないのでしょう。

けれどもこれまでアスカを題材にしてツンデレを論じてきた内容を考えると、レイもツンデレとは言い難いでしょう。レイはどちらかというと成長ですよね。

考えてみると、レイは登場人物の中で唯一と言っていいほど物語終盤に向けて成長しているように思えます。他はみんな壊れてしまうのに。

ミサト。

ミサトも、加持に対してツンデレ要素が多いように感じます。周りが中学生ばかりの中1人アラサーということでツンデレ談義に上がってこないような気もしますが、アスカやレイに比べればよほどツンデレしています。

好意を持った相手に対して気持ちを隠して、その分過剰に反応しているタイプのツンデレです。後に、加持に対して父親を見ていたと告白するシーンがありますが、まあそのくらいは些細なことでしょう。

エヴァンゲリオンにおける真のツンデレ。

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エヴァンゲリオンにおける真のツンデレ、洞木ヒカリ。

実はエヴァンゲリオンの中で、これぞまさしくツンデレというツンデレが存在します。トウジに淡い恋心を抱く委員長、洞木ヒカリです。

普段はトウジに対して「〜しなさい!」と怒ってばかりいますが、ふとしたきっかけでトウジのお弁当作りを申し出るなど、適切なデレ具合を発揮します。またトウジはだいたいいつもシンジと一緒にいるわけですが、そんなシンジによく絡むアスカについて回り、一緒になってシンジやトウジを口やかましく注意すします。

このような姿もまさしく、正しいツンデレの姿と言えるでしょう。

アスカはお弁当を作れない?

例えばこれがアスカであれば、シンジに対してお弁当作りを提案するなど絶対に有り得ないことでしょう。ヒカリは、自分がお弁当を作ると提案すればトウジがきっと食べてくれると思っていて、食べてもらえなかったらそれはそれで仕方ないくらいに思える強さがあります。

ではアスカの場合はどうでしょうか。きっと「お弁当を食べてくれ」などとは言えないのではないでしょうか。

受け入れてもらえるかどうかという選択肢が発生しないアスカはツンデレにはなれない。

その理由は自分の弱みを相手に見せられない弱さにあります。アスカは、万が一断られた自分を相手に見せるわけにはいかないのです。

失敗できないヒロインはツンデレにはなれません。なぜならツンデレのヒロインは、常に相手に受け入れてもらえるかもらえないかの瀬戸際を走り続けなければいけないからです。

ツンとは、相手との反発があってはじめて成り立つものなのですから。

新劇場版は別。

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ここまでアスカはツンデレではないと述べてきましたが、新劇場版のアスカに関しては全く別です。シンジに対して名前で呼ぶことを許したり、シンジにお弁当を渡すレイを見てあからさまにやきもちを焼いたり、またシンジの好みの味を考えるなど、テレビアニメ版とは明らかに言動が変わっています。

それもそのはずで、新劇場版ではアスカの母親に関するトラウマの描写がありません。人物の性格を構成する背景がガラリと変わって、全くの別人になっているのです。

こちらについては確かに、アスカをツンデレと言っても差し支えないでしょう。ただ大変申し訳ないことに、リアルタイムでシンジと同年代だった私にとって、エヴァンゲリオンはテレビアニメ版なのです。

エヴァンゲリオンのアスカはツンデレかのまとめ。

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ツンデレについてあれこれと述べてきましたが、結局のところ私の独りよがりでもあります。ツンデレという言葉自体その意味がだいぶ揺らいでおり、定義も非常に広くなっていることは間違いありません。

だからあくまでも私の私見であることをご理解いただければと思います。そして私の勝手な意見であることを付け加えた上であえて大声で叫びたいと思います。

「アスカはツンデレではない!」と。

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